当初JSTORはアンドリュー・メロン財団の資金提供により運営されており、2009年からは非営利団体としてニューヨークとミシガン州アナーバーにオフィスを置いて独立した。その後JSTORは、2003年に設立された非営利組織のIthaka Harbors, Inc.(英語版)に統合された[6]。 JSTORのコンテンツは900以上の出版社から提供されており[2]、書誌データベース
コンテンツ
また、JSTORの派生サービスとして、アーカイブされたコンテンツを利用したコーパス解析ができるサービスを提供するData for Research[8]や、植物の標本画像などを収蔵、公開しているJSTOR Plant Science[9]などがある。Data for Researchでは、XML形式やCSV形式でデータセットをダウンロードできるが、文献の全文は提供していない。またJSTOR Plant Scienceは、Global Plants Initiative (GPI)[10]などの協力を得て、主にアフリカやラテンアメリカなどの植物の標本を提供している。 JSTORは、主に研究機関や公的な図書館、博物館、学校などとライセンス契約を結んでいる。通常はそれらの機関に在籍する研究員や学生などにアクセス権限を付与しているが、2013年には卒業生らも利用できるようにするためのパイロットプログラム (The Alumni Access Program) が開始された[11]。また、出版元との個別契約によって、各雑誌ごとに購読契約を結ぶこともできる[12]。 2012年現在、JSTORには1億5200万アクセスがあり、累積1億1300万記事が閲覧され、7350万記事がダウンロードされている[2]。ただし非契約者は論文のタイトルや一部の要旨を無料で閲覧できるが、本文へのアクセスはできない。そのためJSTORは、非契約者からの論文への1億5000万アクセスをブロックしているとされる[13]。 2012年に、Wikipediaの編集者100人に対してアクセス権を付与するパイロットプログラムが発表された[14]。Wikipediaでの編集回数が1000回以上などの条件をクリアした編集者が対象とされており、2014年から希望者に順次アクセス権の付与が進められている。 2010年から2011年にかけて、アメリカ合衆国のプログラマ・インターネット活動家であったアーロン・スワーツが、マサチューセッツ工科大学 (MIT) のデータネットワークを利用し、JSTORから大量の学術雑誌の記事ファイルをダウンロードしていたことが発覚した[15][16]。スワーツはハーバード大学の研究員であったため、JSTORのアクセス権を有していたが、MITのオープンキャンパスを訪れて、自身のコンピューターをMITのネットワークスイッチに接続してダウンロードスクリプトを実行し、大量のファイルを短時間でダウンロードしたとされている。これを受けて連邦検事は、情報窃盗の疑いで操作を進め、2011年1月6日、スワーツはハーバード大学のキャンパス近くで逮捕された[17][18]。 スワーツは同年7月に連邦検事によって起訴され、通信詐欺
アクセス
アーロン・スワーツによる不正アクセス事件詳細は「アーロン・スワーツ」を参照
JSTORは、彼の逮捕後に、スワーツのアクセスは権限の無い仕方で行われた「著しい誤用」だが、彼に対して民事訴訟をするつもりはない」という声明を出した[20]。JSTOR側は、スワーツが服役しないための司法取引に応じる考えを示していたが、MIT側はそれに応じなかった[21]。そのためスワーツが服役する可能性が高まっていたが、2013年1月11日、集合住宅でスワーツが自殺しているのを恋人が見つけた[22]。遺書は発見されなかった[23]。
JSTORはスワーツの死後すぐに、無料登録で閲覧できる記事を「450万件以上の記事」に拡大すると発表した[24]。
関連項目
学術研究に関するデータベースと検索エンジンの一覧(英語版)
アーロン・スワーツ
Aluka(英語版) - アフリカの植物に関するデジタルアーカイブ。JSTORに統合された。
ARTstor(英語版)
ArXiv
デジタルアーカイブ
プロジェクトMUSE
Japanese Historical Text Initiative(英語版)
参考文献[脚注の使い方]^ “ ⇒About”. Ithaka. 2009年10月25日閲覧。
^ a b c d e “ ⇒Annual Summary”. JSTOR (2013年3月19日). 2013年4月13日閲覧。
^ “ ⇒Register and read beta”. 2014年8月28日閲覧。
^ Leitch, Alexander. ⇒"Bowen, William Gordon". Princeton University Press.
^ a b Taylor, John (2001). “JSTOR: An Electronic Archive from 1665”. Notes and Records of the Royal Society of London 55 (1): 179?81. doi:10.1098/rsnr.2001.0135. JSTOR 532157.
^ “ ⇒Introducing the JSTOR Publisher Digest”. JSTOR. 2012年5月23日閲覧。
^ “ ⇒A new chapter begins: Books at JSTOR launches”. JSTOR (2012年11月12日). 2012年12月1日閲覧。
^ ⇒Data for Research. JSTOR.
^ ⇒JSTOR Plant Science. JSTOR.
^ ⇒Global Plants Initiative. JSTOR.
^ “ ⇒Access for alumni”. JSTOR. 2012年12月1日閲覧。
^ “ ⇒Individual subscriptions”. JSTOR. 2012年12月1日閲覧。
^ ⇒Every Year, JSTOR Turns Away 150 Million Attempts to Read Journal Articles. The Atlantic. Retrieved 29 January 2013.
^ JSTOR、Wikipediaの記事編集者100人に対して電子ジャーナル等への無料アクセスを提供 [1] (2014年8月28日閲覧)
^ “ ⇒JSTOR Statement: Misuse Incident and Criminal Case”. JSTOR (2011年7月19日). 2014年8月28日閲覧。
^ “Aaron Swartz, Internet Pioneer, Found Dead Amid Prosecutor 'Bullying' In Unconventional Case”. The Huffington Post (2013年1月12日). 2014年8月28日閲覧。
^ Singel, Ryan (2011年2月27日). ⇒“Rogue academic downloader busted by MIT webcam stakeout, arrest report says”. Wired (N.Y.C.). ⇒http://www.wired.com/threatlevel/2011/07/mit-webcam-swartz/ 2014年8月28日閲覧. "Swartz is accused … of stealing the articles by attaching a laptop directly to a network switch in … a 'restricted' room, though neither the police report nor the indictment [mentions] a door lock or signage indicating the room is off-limits."
^ ⇒Gerstein, Josh, MIT also pressing charges against hacking suspect, Politico, 22 July 2011. Retrieved 24 January 2013.
^ “ ⇒USA v. Swartz, 1:11-cr-10260, No. 2 (D.Mass. Jul. 14, 2011)”. MIT (2011年7月14日). 2013年1月23日閲覧。 Superseded by “USA v. Swartz, 1:11-cr-10260, No. 53 (D.Mass. Sep. 12, 2012)”. Docketalarm.com (2012年9月12日). 2013年1月23日閲覧。
^ a b Schwartz, John (2011年7月19日). ⇒“Open-Access Advocate Arrested for Huge Download”. The New York Times. ⇒http://www.nytimes.com/2011/07/20/us/20compute.html