JR西日本321系電車
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JR西日本321系電車
D17編成(2021年11月 元町駅
基本情報
運用者西日本旅客鉄道
製造所近畿車輛
製造年2005年 - 2007年
製造数39編成273両
運用開始2005年12月1日
主要諸元
編成7両編成(0.5M方式の6M1T)
軌間1,067 mm
電気方式直流 1,500 V
架空電車線方式
最高運転速度120 km/h
設計最高速度130 km/h(準備工事)
起動加速度2.5 km/h/s 以上[1]
減速度(常用)3.5 km/h/s
減速度(非常)4.2 km/h/s
編成定員721(立)+344(席)=1,065名
車両定員142名(クモハ321・クモハ320)
156名(モハ321・モハ320・サハ321)
自重33.3 - 35.6 t(電動車
27.3 t(付随車
編成重量232.8 t
全長20,000 mm
車体長19,550 mm (先頭車)
19,500 mm (中間車)
全幅2,950 mm
全高3,630 mm
車体ステンレス
(前頭部のみ普通鋼
台車軸梁式ボルスタレス台車(ヨーダンパ付
電動台車:WDT63
付随台車:WTR246・WTR246A
主電動機かご形三相誘導電動機 WMT106
主電動機出力270 kW × 2
駆動方式WNドライブ
歯車比1 : 6.53
編成出力270×2×6 =3,240 kW
制御方式IGBT素子VVVFインバータ制御
(2レベル・ベクトル制御・静止形インバータ一体型)
制御装置WPC15 (1C2M)
制動装置電気指令式直通回生全電気式)・抑速耐雪駐車ブレーキ付き)
保安装置ATS-SW,ATS-P
列車防護無線装置
EBTE装置
車両異常挙動検知システム(一部)
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321系電車(321けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流通勤形電車[2]
概要

JR京都線JR神戸線(東海道線山陽線)の普通電車で使用されていた201系205系の置き換えと、JR宝塚線脱線事故廃車となった207系の補充のために製造され、2005年(平成17年)12月1日より営業運転を開始した。編成記号はD。

JR西日本では通勤形電車として1991年から2003年まで207系が改良を重ねながら製造されたが、投入開始から約15年経過し、その後の社会情勢の変化や技術の進歩に対して充分な対応が困難となり始めていた。そこで陳腐化の目立つ各駅停車用の201系・205系の置き換えを行うに当たり全面的な設計の見直しが図られた本形式が開発された。

力行・ブレーキの台車単位制御やイーサネットを活用した車内伝送システム、側構体のレーザー溶接など、自社・他社での15年間の技術開発や運用で得られた成果を積極的に取り入れ、随所に新機軸を盛り込んだ。コストダウン[注 1]や工期短縮にも配慮され、部材別組立・後取り付けのユニット化や構体の全車共通設計化が図られている。

当初は2005年中に7両編成16本、翌2006年(平成18年)に同20本の計7両編成36本252両が製造される予定であったが[3]、実際には2005年に7両編成20本、2006年に同19本の計7両編成39本273両が製造された。これは、脱線事故で廃車になった207系の補充に入っていた103系の置き換え、また「ゆとりダイヤ」の実施や207系の帯色変更に伴う運用離脱で必要編成数が増加したためである。
車両概説
車体

SUS304ステンレス鋼を使用した連続溶接構造とした[4]。幅 2950 mm のワイドボディであり、1両の片側に4つの客用扉を持つ形態となっている。ドアピッチは207系と同じ 4700 mm(ドア中心間)である。断面は近郊形との共通化を念頭に置き、207系とも223系とも異なる新形状が起こされた。207系では構体に骨構造に外板をビード加工(断面が凹凸の細い帯状の補強構造)したものを組み合わせるものなしてたが、本形式では2003年223系5000番台で採用された、戸袋部を2シート工法、窓部を骨組み工法とすることでビードが廃止された。側構体腰部・吹き寄せ部にはレーザー溶接に変更され、従来より外観平滑性の高い構造となっている[5]。外板厚は 2.0 mm であり、レーザー溶接と相まって223系などを上回る車体強度を有する。207系に比べ床面高さを 30 mm 、屋根高さを 70 mm 下げ、バリアフリー化と低重心化が図られている。一方で床を207系より 5 mm 厚くし、床材も塩化ビニールからゴムチップに変更することで車内騒音・振動を軽減する設計である[6]

コストダウンや車種変更の容易化を目的に、各車の構造は極力共通化されている。パンタグラフ搭載スペースは全車種に2か所ずつ設けられた[注 2]ほか、台枠も全車共通設計で、どの車種にも車両制御装置・空気圧縮機・蓄電池を搭載できる。

207系の側窓はドア間が固定、連結面寄りが下降式で、車体片側の妻面下降窓の幅を拡げるため貫通路を車体中心からオフセット配置し、消火器は妻窓下の車外に設け取り出す際は窓を下げる必要があった。本系列では火災時の対応や妻構体の近郊形との共通化を考慮し、片側1面にあたり2か所の窓を下降窓とし、貫通路は中央に配置し妻窓は廃止され、消火器は室内側から取り出せるように改良されている。

先頭車前面のデザインは207系のイメージを踏襲しつつ、フォグランプの追加や下部の三角形の装飾、前面の濃紺色(計画時は黒)仕上げで、車体下に設置される排障器(スカート)は強度を207系の強化型(製造途中に設計変更)よりさらに向上した新型を使用している。この部分は普通鋼製となっており、紺色仕上げ面以外の部分は銀色の塗装がなされている。なお、側面先端部分には紺色のグラデーションが入れられている。

車体塗装は当初、側面が旧塗装の207系と同一の窓下に濃淡ブルー帯、前面が先述の通り黒色仕上げとなるデザインが公表されていた[7]が、実際の落成に際して帯色は濃紺色とオレンジ色の配色に、前面は先述の通り濃紺色仕上げにそれぞれ変更され、戸袋部分には当初の予定にはなかった濃紺色帯が追加された。本形式落成後、207系は全車、205系は京阪神緩行線用の編成が同じデザイン[注 3][8]に変更されている。

車外の行先案内設備は、221系以来の幕式種別表示器とLED式行先表示器を採用している。207系では省略されていた号車表示機能が設けられており、その分表示機の横寸法が長くなった。前面のLED行先表示器の文字が223系2000番台と同様のゴシック体になった。

207系と同じ調律のミュージックホーンが引き続き採用されている。他形式車と同様にペダルを軽く踏むとミュージックホーンだけが、強く踏むと通常の空気笛が同時に鳴る仕組みである。

先頭車側面部

上が207系、下が321系の行先表示器

車内

車内の配色は、207系がアイボリーの内壁とベージュの床であったのに対し、本系列では薄いグレーの内壁と濃いグレーの床が採用された。また、妻面は灰色、妻面貫通扉はステンレス無塗装とし、運転台仕切りはグレーで塗り分けられ、アクセントとなっている。手摺りなどの構造も大幅に簡略化され、コストの低減と内装との統一が図られている。妻面には大型の路線図が掲示されている。

座席はすべてバケットシートタイプのロングシートで[9]、車端部は4人掛、440 mm として在来車と同様の設計である。ドア間は207系の7人掛から6人掛に減らし、その分一人当たりの幅を 440 mm から 470 mm に拡げることで座り心地にゆとりを持たせるとともに、出入り口付近のスペースを拡大することで乗客の流れをスムーズにする狙いである[9]。座面高さは207系より 35 mm 高い450 mm とすることで、207系と比較して低反発なクッション材と相まって高齢者が立ち上がる際の負担軽減を狙ったものである[9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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