JR西日本287系電車
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JR西日本287系電車
きのくに線を走行する287系
基本情報
運用者西日本旅客鉄道
製造所川崎重工業車両カンパニー
近畿車輛
製造年2010年 - 2012年
製造数97両
運用開始2011年3月12日
投入先くろしお
こうのとり
きのさき
はしだて
まいづる
まほろば
らくラクやまと
主要諸元
編成3・4・6両(全車0.5M電動車
軌間1,067 mm
電気方式直流1,500V (架空電車線方式
最高運転速度130(曲線通過+15km/h) km/h
設計最高速度130 km/h
起動加速度1.6 km/h/s[* 1]
減速度(常用)4.6 km/h/s[* 2]
減速度(非常)5.2 km/h/s[* 2]
編成定員345名(普)+15名(グ)=360名 (6両編成時)
編成重量236.8 t (6両編成時)
全長21,100 mm
車体長先頭車:20,670 mm
中間車:20,600 mm
全幅2,915 mm
全高先頭車:4,090 mm
中間車:3,855 mm
集電装置折畳高:3,970 mm
車体高3,490 mm
車体アルミニウム合金
台車軸梁式ボルスタレス台車ヨーダンパ付
動力台車:WDT67
付随台車:WTR249・WTR249A
主電動機かご形三相誘導電動機
WMT106-G1
主電動機出力270 kW
駆動方式WNドライブ
歯車比5.65
編成出力6両編成:270kW×2×6=3,240kW
4両編成:270kW×2×4=2,160kW
3両編成:270kW×2×3=1,620kW
制御方式2レベルIGBT-VVVFインバータ制御
制御装置WPC15A-G2(静止形インバータ一体型)
制動装置回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重遅れ込め直通・救援・抑速耐雪ブレーキ付き)
保安装置ATS-SW2・ATS-P3列車防護無線装置
EBTE装置
出典:『鉄道ファン』2011年2月号・3月号 交友社^ 車輪径820mm時
^ a b 車輪径860mm時

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287系電車(287けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流特急形車両である。
概要

特急きのさき」や「こうのとり」(2011年3月11日までは「北近畿」[1])などの「北近畿ビッグXネットワーク」で運用されている183系老朽化にともなう置き換え用として、4両編成7本(28両)と3両編成6本(18両)の計46両を約80億円をかけて導入することが発表され[2]2011年3月12日ダイヤ改正から運転を開始した[3]

また、南紀方面の特急「くろしお」用として、6両編成6本(36両)と、3両編成5本(15両)の計51両も製造が発表され[4][5]2012年3月17日のダイヤ改正から営業運転を開始した[6]

車両の製造は川崎重工業近畿車輛が担当した。

現在くろしおまほろばこうのとりはしだてきのさきまいづる、らくラクやまとで運用されている。

2024年3月18日より、特急「らくラクやまと」の運転を開始すると発表した。運転区間は、奈良?新大阪で、全車指定席。なお、大和路線及び奈良県内を走るJRの定期特急としてはこれが初である。[7][8]
構造
車体

特急「サンダーバード」で使用されている683系4000番台の設計思想が踏襲されており、全電動車編成とすることによって、車両構体の共通化によるコスト削減が図られている。具体的には、パンタグラフ搭載スペースは全車種に2か所ずつ設けられたほか、どの車種にも車両制御装置・空気圧縮機・蓄電池を搭載できるようになっている。

オフセット衝突対策として近郊型の225系に続き衝撃吸収構造を採用した。車体配色も683系に準じているが、客室側窓下部のラインカラー帯については、北近畿方面用の車両は「北近畿」で馴染みがあり沿線の緑豊かな地域に映えるダークレッド■を、「くろしお」用の車両は283系で既に採用されているオーシャングリーン■を、それぞれ採用している。

ダークレッドの帯が施された北近畿方面用の287系

オーシャングリーンの帯が施された「くろしお」用の287系

主要機器パンタグラフ

125系321系・225系で採用された、0.5Mシステムと呼ばれる、運転に必要な機器類を1両にまとめて搭載する考え方を基本とし、すべての車両が電動車である。そのため、全車両に車両制御装置[注 1]を搭載するが、集電装置・空気圧縮機の有無によって287形と286形の区別を行っている。
電源・制御機器

車両制御装置 (WPC15A-G2) は東洋電機製造東芝が製造を担当した。主回路部はIGBT素子による2レベル電圧形PWMインバータ1基で2基の電動機を制御する、いわゆる1C2M構成のVVVFインバータを搭載し、速度センサレスベクトル制御および純電気ブレーキに対応している。これに対し補助電源部は三相交流440V、75kVAの容量を有している。主回路部と同じくIGBTを用いた2レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御し、他車の補助電源部と並列運転を行うことで故障時の編成全体での冗長性を確保する設計である。

集電装置はシングルアーム型のWPS28C を採用し、クモハ287・モハ287形後位寄りに1基搭載を基本とする[注 2]。バネ上昇、空気下降式で電磁カギ外し装置および上昇検知装置を備える。北近畿方面の特急列車用として落成した3両編成の一部と4両編成では、各車あたり2基搭載されるが、それ以外の編成では各車あたり1基搭載されている[注 3]。なお、中間車両(モハ287形)では、集電装置の関節を車端側に向けているが、先頭車両(クモハ287形)の場合は、城崎温泉方に向けている。

主電動機は、センサレスベクトル制御を採用した1時間定格出力270kWのかご形三相誘導電動機 (WMT106A-G1) が1両当たり2基搭載されている。

電動空気圧縮機は、223系2000番台などの実績である除湿装置一体型の低騒音形スクリュー式 WMH3098-WRC1600 を採用し、モハ287形・クモハ287形に1基搭載されている。

車両情報システムとして、321系・225系と同様のデジタル転送装置を採用した。伝達速度の高速化・高容量化を図っている。

空調装置は、集中式の WAU704E が1両あたり1基屋根上に搭載される。冷房能力は39,000kcal/hであり、フロン規制対応冷媒 (R407C) を使用している。
台車WTR249A台車

台車は、225系や683系4000番台をベースとした軸はり式ボルスタレス台車を採用し、部品共通化および省メンテナンス化を図っている[9][10]。225系に準じてバネ帽部の強化構造の採用や省メンテナンス化を図るための速度発電機の非接触化、ワンタッチカプラ化された空気ホースを採用するとともに、乗り心地改善のために683系と同等のアンチローリング装置を搭載する[9]。0.5Mシステムを採用したことから、1両あたり電動台車 (WDT67) と付随台車 (WTR249) を1台ずつとしている[10]。ただし、先頭車両(クモロハ286形・クモハ287形・クモハ286形)の付随台車に関しては、駐車ブレーキを備えたWTR249Aを装着する[10]。雨天時の車輪粘着を考慮し、クモハ286形・クモロハ286形のみ付随台車が前位(運転室寄り)となっている。他は電動台車を後位[注 4]に、付随台車を前位[注 5]に装着する。

基礎ブレーキは、電動台車が踏面ブレーキ、付随台車が踏面ブレーキと1車軸あたり2枚のディスクブレーキの併用である[10]

低重心設計により曲線通過性能の向上が図られている681系・683系をベースとしていることと、製造コスト削減の目的から、381系と異なり振り子機能は搭載されていない。曲線通過速度はR=400m以上で最大本則+15km/hと振り子式車両より10km/h程度低く設定されており、これにより「くろしお」では381系・283系と比較して約3 - 6分程度、所要時間を多く要している。
その他装備

連結器は1編成を1車両として運用する考え方を基本としたため、中間連結部は半永久連結器を使用している。先頭車運転台寄りの連結器は電気連結器・自動解結装置を備えた密着連結器である。

保安装置は、新製当初からATS-SWATS-Pに加えてEBTE装置、映像音声記録装置を搭載する[11]。ATS制御装置は、従来のATS-P制御装置を小型化し、ATS-SWとの機能集約を行ったATS-P3制御装置を新設計した[12][13]
車内

客室内にLED式の車内案内表示装置が設置され、グリーン車の全席と普通車の車端部座席にモバイル機器などの使用に対応したコンセントが設置されている。

3両に2両の割合で便所(小便器1か所と洋式大便器1か所)が設置されている。そのうち、編成中に1か所、女性専用トイレが設けられている。さらに、バリアフリー設備として多目的室や車いすスペースが編成中に1か所設置されている。

座席は683系4000番台に準じた回転リクライニングシートを採用し、グリーン席は茶色表地の1+2列配置で1,160mmピッチ、普通席は青色表地の2+2列配置で970mmピッチで展開する。

乗降扉は原則として後位に690mmの引戸で1か所としているが、車いすスペースが設置された車両については前位に1,000mmの引戸を追加し2か所となっている。また、乗降扉にはドアチャイムが設置されている。

普通車車内

グリーン車車内

形式・編成
クモロハ286形 (M'sc)
グリーン席と普通席を備える貫通型(準備工事のみ)の制御電動車。前位寄りにトイレ・洗面所、後位寄りに乗降扉1か所と
運転台が設置され、車両制御装置・蓄電池などを搭載する。定員15名(グリーン席)+23名(普通席)、計38名。形式記号日本国有鉄道(国鉄)時代を含めて初の「クモロハ」となった[注 6]
クモハ287形 (Mc)
普通席を備える貫通型の制御電動車。前位寄りに運転台、後位寄りに乗降扉1か所が設置され、車両制御装置・蓄電池・空気圧縮機・集電装置などを搭載する。定員64名。
クモハ286形 (M'c)
普通席を備える貫通型の制御電動車。前位寄りにトイレ(女性専用含む)・洗面所、後位寄りに運転台と乗降扉1か所が設置され、車両制御装置・蓄電池などを搭載する。定員56名。
モハ287形
普通席を備える中間電動車。車両制御装置・蓄電池・空気圧縮機・集電装置などを搭載する。
100番台 (M)
乗降扉2か所・多機能トイレ・洗面所・多目的室・車椅子スペースが設置されている。定員50名。
200番台 (M2)
乗降扉1か所・車販準備室が設置されている。定員72名。
モハ286形
普通席を備える中間電動車。


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