JR東日本E721系電車
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JR北海道721系電車」とは異なります。

JR東日本E721系電車
仙台空港鉄道SAT721系電車
青い森鉄道青い森703系電車
阿武隈急行AB900系電車
SAT721系(左)とE721系0番台(右)
(2007年8月13日 仙台駅)
基本情報
運用者東日本旅客鉄道
仙台空港鉄道(SAT721系)
青い森鉄道(青い森703系)
阿武隈急行(AB900系)
製造所川崎重工業[* 1]
東急車輛製造[* 2]
総合車両製作所横浜事業所[* 3]
総合車両製作所新津事業所[* 4]
製造年2006年 -
製造数172両(2019年現在)
運用開始2007年2月1日
主要諸元
編成2両編成(1M1T
4両編成(2M2T・1000番台)
軌間1,067 mm(狭軌
電気方式交流20,000V(50Hz)
最高運転速度110 km/h
設計最高速度120 km/h
起動加速度2.2 km/h/s(単独走行時)[1]
減速度(常用)単独走行時4.2[2][3]km/h/s
701系併結時3.6[2][3]km/h/s
減速度(非常)単独走行時4.2[2][3]km/h/s
701系併結時3.6[2][3]km/h/s
車両定員0番台・青い森・AB900系:270(座席定員:106)
500番台・SAT721系:269(座席定員:104)
1000番台:574(座席定員:230)
編成重量74.4 t(0番台・青い森)
142.6 t(1000番台)
全長20,000 mm
全幅2,950 mm
全高3,550 mm
床面高さ950 mm
車体ステンレス
台車ボルスタレス台車
動台車:DT72
付随台車:TR256[* 5][* 6][* 7]
主電動機MT76
主電動機出力125 kW / 基
駆動方式TD平行カルダン駆動方式
歯車比1:5.93
編成出力2両編成:500 kW(MT比1:1)
4両編成:1,000 kW(MT比1:1)
制御方式IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ直通予備ブレーキ抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ・純電気ブレーキ
保安装置ATS-Ps
備考総合車両製作所発足以降は全て同社で製造されている。
脚注
^ 0・500番台、SAT721系
^ 0・500番台
^ 1000番台先頭車、青い森703系、AB900系
^ 1000番台中間車
^ 1000番台は動台車がDT72A、付随台車がTR256A(Tc'車前位側)/B(その他)
^ 青い森703系は動台車がTS-1037、付随台車がTS-1038
^ AB900系は動台車がTS-1043、付随台車がTS-1044

第48回(2008年ローレル賞受賞車両※受賞車両は0・500番台
 およびSAT721系
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E721系電車(E721けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交流一般形電車[4][5][注 1]

本項では同型車両である、仙台空港鉄道所有のSAT721系(SAT721けい)、青い森鉄道所有の青い森703系(あおいもり703けい)および阿武隈急行所有のAB900系(AB900けい)についても記述する。
概要

本系列は当初、仙台支社で運用されている在来線電車の車両更新と、仙台空港アクセス線での運用を目的に開発された。

仙台地区の低床プラットホーム[注 2]に対応すべく、低床車として車体構造などの設計が従来車から細かく見直された上で製作された。また、ワンマン運転を想定したレイアウトとなっており、一部車両ではワンマン運転関連機器を設置するほか、非対応車についても機器類の準備工事がなされている。

その後2016年からは仙台地区の719系の置き換え用として1000番台の増備が行われているほか、2014年には青い森鉄道が輸送力増強を目的に本系列をベースとした青い森703系を投入し、また、2019年から阿武隈急行が老朽化の進んだ従来車両の置き換えを目的にAB900系を投入した。

製造は0・500番台の大半とSAT721系全車が川崎重工業、0・500番台の一部が東急車輛製造、1000番台と青い森703系およびAB900系が総合車両製作所がそれぞれ担当した。

0・500番台とSAT721系に対しては、鉄道友の会より2008年ローレル賞が贈られている。
導入の経緯

2007年平成19年)3月18日に開業した仙台空港鉄道仙台空港線名取駅 - 仙台空港駅)の建設事業では、仙台空港鉄道仙台空港駅とJR仙台駅間の直通運転が計画されており、そのための両社共通車両の増備が必要であった。

加えて、本系列の導入以前、JR東日本仙台地区の在来線は比較的通勤輸送にも適した3扉車として、1989年(平成元年)から1992年(平成3年)にかけ719系1994年(平成6年)から2001年(平成13年)にかけ701系が導入されていたものの、依然国鉄から継承した455・457系717系417系が多く用いられてきた。それらの国鉄形車両は(一部はデッキ付きの)2扉車だったため、ラッシュ時の乗降手間取りに伴う列車の遅延が続出していたことに加え、老朽化の進行により、取り替えが見込まれていた。また、従来車はJR車も含め、仙台地区をはじめとした地方線区の低いホームに対応するため、出入り口部にステップが設けられており、バリアフリー化推進の障害となっていた。

このため、本系列は「地方都市圏における通勤通学・都市間輸送用車両としての汎用性[6]」を持った車両として、2006年仙台空港アクセス線向けの500番台を皮切りに、同型の仙台空港鉄道所属車SAT721系、地域輸送用の0番台が投入された。これらは、3扉セミクロスシートという、従来車と比較して通勤輸送にも適した車内レイアウトの採用に加え、低床・ステップレス化を実現したことで、乗降の円滑化と列車遅延防止など、仙台地区の大幅な輸送改善に寄与することとなった。
共通事項

本節では便宜上、先行製造された500番台P-501編成を先行車、以降の車両を量産車と呼称する。また、特記ない限り、共通の事項を述べることとし、番台ごとの差異は後述する。
車体高さ920mmのホームの駅(黒磯駅)に停車中のE721系の乗降口。段差が廃されている。

構体は軽量ステンレス製であり、混雑緩和・着席数の増加を図るため片側3扉の拡幅車体を採用する。車体形状についても建築限界との兼ね合いから裾しぼりの始点を高くしている。車体については製造メーカーで工法が異なっており、川崎重工業製造の車両については、同社製造の量産型車両としてはじめて側構体にレーザー溶接を採用している[7]。また、低床化のため台枠横ばり高さを標準の150mmから130mmに縮小しており[7]、構体強度の確保のため、側鋼体と屋根鋼体の主要な柱の位置を合わせる「リング構造」を採用している[8][注 3]

低床化により、客室の床面高さは950mm(701系比?180mm)となり、ホームとの段差が30mm(920mmホームの場合)または190mm(760mmホームの場合)と従来車に比べ小さくなった[注 4]。このため従来車に存在した乗降口のステップは省略されたほか、出入口のくつずりを延長したことにより車両とホームの間のすき間も小さくなっている。ドア・窓の割付は2両編成を基準に設定されており、1000番台に存在する中間車についてもそれに合わせ左右非対称となっている。また、床面の低床化に合わせ屋根高さも70mm低下しているが、屋根上点検台との高さを合わせるため歩み板(ランボード)を設けている。

前面形状は「701系など仙台地区の既存車両のイメージから脱却、ざん新さを出すとともに親しみを感じていただけるデザイン[9]」が目指されている。先頭部は厚さ70mmのFRP製であり、貫通路が設けられ、併結時には幌を用いて貫通させることが可能である[9]。灯火類は地上側からの視認性向上・着雪防止のために、前面上部のガラス内側に配置されている[10]前照灯HID(1000番台・青い森703系はLED2連)、尾灯がLEDであり、いずれも横並びに左右の前面窓上部に設置される[10][11]。また、標識灯部分の前面ガラスは熱線入りとしている[10]。前面下部のスカートは排雪性を考慮し、隙間が少なく、幅の広いものとしている[7][12][8]。車外の行先表示器は16ドット高輝度3色グラフィックLED式のものを、側面は車体中央部に各車1か所、先頭部は貫通路上部に設け、行先のほか、ワンマン運転や快速運転の場合は種別なども表示する[13]。また、車内収受型ワンマン運転を行う車両については扉横に出入口表示器が設置されており、非対応車も1000番台を除き準備工事が行われている。

側面には片側2か所にスピーカーが設置されており、車外への案内放送や乗降促進用発車メロディ(JR所属車とSAT721系は東洋メディアリンクス制作の「Water Crown」、青い森703系は福嶋尚哉作曲の「青い森のファンタジー」[14]、AB900系は同じく福嶋作曲の「Pastoral・光」・「Pastoral・風」[15])の放送が可能である。

編成単位での分割・併合を容易にするためにMc車、Tc'車の前位側に自動解結装置と2段式電気連結器を備える密着連結器を装備し、その他は半永久連結器となっている。なお、1000番台のTc'車後位、T車前位の半永久連結器は、衝撃を吸収する塑性変形タイプの緩衝機能を有し、衝突時の衝撃が伝達しにくい構造としている[11]

なお、701系との併結は電気連結器の接点で自動的に検知する(701系との併結時は上段のみを使用)[10][8]LED式側面行先表示器
車内

運転台部の天井高さを確保するため、前述の通り床面高さを180mm低下させた一方で、屋根高さの低下を70mmに抑えたため、客室の天井高さは701系より110mm高い2380mmとなっている[7]。内装はE231系E531系E233系に準じている。

インテリアは、「自然豊かな環境を意識しながらも、都会的な上品さを合わせ持ったイメージ[7]」とされ、壁や床敷物は自然素材の色彩や柄を用いた、柔らかなイメージとしている。


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