JR九州783系電車
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JR九州783系電車
783系CM1編成(2017年8月)
基本情報
運用者九州旅客鉄道
製造所日立製作所
近畿車輛
九州旅客鉄道小倉工場艤装のみ
製造年1988年 - 1991年
製造数90両
運用開始1988年3月13日
主要諸元
軌間1,067 mm
電気方式交流20,000V (60Hz)
架空電車線方式
最高運転速度130 km/h[注 1]
全長21,050 mm (先頭車)[1]
20,000 mm (中間車)[1]
全幅2,950 mm[1]
全高3,670 mm[1]
台車軽量ボルスタレス台車
主電動機MT61Q型直流整流子電動機(他励方式)
主電動機出力150 kW × 4 / 両[1]
駆動方式中空軸平行カルダン撓み板継手方式
歯車比3.95
制御方式サイリスタ連続位相制御[1]
他励界磁による弱め界磁 (60%)
制御装置RS400K型主制御整流装置
制動装置電気指令式回生抑速ブレーキ付)[1]
直通予備ブレーキ
応荷重装置
保安装置ATS-SKATS-DK
第29回(1989年ローレル賞受賞車両
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783系電車(783けいでんしゃ)は、九州旅客鉄道(JR九州)の交流特急形電車[1]。「ハイパーサルーン」の愛称を持つ[1]1988年昭和63年)3月13日に営業運転を開始した。
概要

九州島内特急列車の増発および競争力強化を目的に設計・開発された、JRグループ初の新型車両である[1]。1988年から1991年までの間に計90両が製造され[2]、メーカーは日立製作所近畿車輛のほか、JR九州小倉工場でのノックダウン生産も行われた[2]

車両自体の開発計画日本国有鉄道(国鉄)時代末期の1986年(昭和61年)夏にまで遡り[3]、設計には国鉄末期に開発された新しい技術を多く取り入れている[3]485系と比べると居住性は大幅に改善され、また130 km/h運転を前提として設計された[1]のも特徴である。

本形式の内外装のデザインはJR西日本近畿日本鉄道などの車両デザインを担当した南井健治が手掛けている[4]。「鉄道友の会」主催の第29回の審査で(1989年)ローレル賞を受賞した。
登場の経緯

本系列の開発当時、都市が点在している九州地方では高速道路網の整備が急速に進行していた。こうした背景から競合他交通機関(自家用車高速バスなど)も発展を続けており、十分に競争力を持つ特急車両が必要であった。しかしJR九州が国鉄から承継した485系は、車齢こそ最大20年程度であるもののサービス水準が低く、また今後の速度向上も望めなかった。そこで新しい設計思想を取り入れた車両として開発されたのが本系列である。
車両概説

この節では、製造時の構成について述べる。「有明」導入当初の783系
車体

車体製造には、軽量なステンレス車体が採用された[1]。乗降扉とデッキを車体中央部に配し、各車両の客室を前後に分割しているところが、一般的には車端部に乗降扉を設ける他の特急形車両と大きく異なっている[1]。客室側窓の上下寸法は従来の485系に比べてグリーン車は70 %、普通車は35 %拡大されており、客室からの展望に配慮された[1]。先頭車の前頭部は普通鋼製で、大型の前面窓には50度の傾斜角がつけられ、客室からの前面展望を可能とするため、運転台と客室との間の仕切り壁を低くするとともに、客室の腰掛部分の床面を通路より200 mm高くしている[1]前照灯は従来どおりのシールドビームだが、尾灯にはLEDが採用された。

車体断面は、211系等のステンレス製近郊形電車と同一とされ、全員着席を前提として車体断面を縮小した従来の一般的な特急形車両と比べて、車内空間が大きくなっている[注 2]

車体色はステンレス部分は無塗装で、側面窓下に赤色と白色の帯が入っている[1]。普通鋼製の先頭車前頭部は白色に塗装されているが、クモハ783形は先頭部正面まで帯が回り込んでいるのに対し、クロ782形およびクロハ782形では側面の運転席下部で帯が途切れており、正面までは回り込んでいない[1]。また、「かもめ」用として製造されたグループの先頭車(クモハ783-10・14、クロ782-5・8で、4両とも日立製作所製)は、前頭部から乗降扉までの帯色が水色になっている。また側面窓の間柱は黒く塗装されており、連続窓風の外観としている。
接客設備前面展望

前述のように、一つの車両の客室を二分化することで、グリーン席普通席指定席自由席、喫煙席と禁煙席とを必要に応じて柔軟に設定できるようになった[1]。1両を2室に分割したのは、輸送単位の小さい地域での短い編成での運用も想定した為である[1]。なお、分割した客室は下り方がA室、上り方がB室と呼ばれ、車内放送でも「各車両は、A室とB室に分かれています」と案内されている。また、この構造の為揺れの大きい車端部にも座席が設置されている[5]

グリーン室の座席は、485系クロハ481形で採用された横2列 + 1列の広幅リクライニングシート(2人がけのAB席と通路を挟んで1人がけのC席)を採用し、各座席は1,200 mm 間隔で配置している。肘掛にマルチステレオ設備を備え、座席の背面には液晶テレビを設置している[1]。ただし、2次車以降では肩部の角を切り落とし、客室からの前方視界を向上させている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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