JIS_X_0213
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これによると、U+02E5-U+02E9の5つの記号のうち複数が隣り合うと、上下の声調変化を示す記号ができるというものである。

˩˥(U+02E9 U+02E5)、˥˩(U+02E5 U+02E9)
CJK互換漢字の正規化「CJK互換漢字#日本語処理における問題点」も参照

JIS X 0213とUnicodeでは包摂規準が異なる。そこで JIS X 0213 での人名用漢字の字形(字体)を区別するために、一部の文字をUnicodeではCJK互換漢字として収録している。CJK互換漢字は、Unicode正規化によりCJK統合漢字に分解(変換)される。この対応として互換漢字用の異体字セレクタ(SVS)を使用して変換前の情報を維持する必要がある。また、CJK統合漢字と字形選択子(英語版)の組み合わせを1文字として処理する必要もある。SVS対応フォントとしてはIPAexフォント、モリサワのAP版書体などがある。

例えば、KS X 1001由来のCJK互換漢字が誤って入力された場合に、入力エラーとせずUnicode正規化処理で対処する方式(CJK統合漢字のみに変換)を採用すると、CJK互換漢字に収録されている人名用漢字が入力された場合に意図せず変換されてしまう。[3][4]

例えば、神(U+FA19)をUnicode正規化すると神(U+795E)となる。これをSVSを使って 神︀(U+795E U+FE00)とすることで元のCJK互換漢字(の情報、字形)を維持する(SVSの数値文字参照に対応しない閲覧環境では表示が異なることに注意が必要[3])。


CJK互換漢字のIVS対応

CJK互換漢字やCJK統合漢字+SVSを使用せず、CJK統合漢字と字形選択子補助
(英語版)の組み合わせ(IVS/IVD対応)により異体字(Unicodeでは包摂されるが、JIS X 0213として別の字体)を表現する場合、JIS X 0213の文字をこの組み合わせに変換する方法(複数あるため1つの方法を選んで変換)と、組み合わせを処理および表現(IVS対応フォントの導入)する必要がある。異体字セレクタ#実装も参照。




例えば、IVSとしてAdobe-Japan1コレクションを使用すると神(U+FA19)は神󠄀(U+795E U+E0100)となる。(游書体ヒラギノ花園フォントなどのIVS対応フォントが必要である)

例えば、IVSとして文字情報基盤整備事業のMoji_Johoコレクションを使用すると神(U+FA19)は神󠄃(U+795E U+E0103)となる。(IPAmj明朝花園フォントなどのIVS対応フォントが必要である)


各OSでの対応状況

なお、Windows Vista以降やmacOSではこれらに対応している。Windows XPではサロゲートペア(代用対)に対応しており、Service Pack 2以上を適用することによってグリフ置換にも対応する。Windows 2000はサロゲートペアに対応しているものの初期設定では無効化されておりレジストリの設定が必要である(Help:特殊文字#古代文字と人工文字参照)。またグリフ置換には未対応である。

アプリケーション側の対応も必要である。Microsoft OfficeのXP以降のバージョンやWindows Vistaに付属するInternet Explorer 7.0、Windows XP以降に付属するメモ帳やワードパッドなどでは対応済みである。
ほかの実装方法

JIS X 0213が制定されてすぐのころは、UnicodeにはJIS X 0213が実装されていなかったため、
外字領域に文字を定義して使用することが多く行われていた。いくつかのフリーフォントではそのような実装が行われている[※ 1]

日本のデータ放送などで使用されるARIB STD-B24では、ARIBの文字符号化方法の文字セットとしてJIS X 0213が使用可能となっている。「JIS互換漢字1面集合」でJIS X 0213:2004の1面、「JIS互換漢字2面集合」でJIS X 0213:2004の2面が使用される。この符号化方式の中には「国際符号化文字集合」を使用する方法があり、通常のUnicodeのマッピングのほか、「BMPセット」としてUnicodeでの「基本多言語面」で全てを表現できるようにJIS X 0213での「追加漢字面」の文字を「基本多言語面」の外字領域にマッピングしなおした文字セットが別に使用可能とされている。

JAVA 7では通常のShift_JIS-2004形式の実装(x-SJIS_0213)のほかShift_JIS-2004にMicrosoftコードページ932を上書きした符号化方式(x-MS932_0213)に対応している。

先行実装との互換性

JIS X 0213の第1面13区にはNEC特殊文字が、一部を除き同じ面区点番号で登録されている。NEC特殊文字はPC-9801やWindowsで幅広く使われていたにもかかわらず、機種依存文字であった。
JIS X 0213:2004の改正

表1: JIS X 0213:2004 により変更された文字変更のあった文字
.mw-parser-output .jis90font{font-family:"Hiragino Kaku Gothic Pro","ヒラギノ角ゴ Pro","ヒラギノ角ゴ Pro W3","A-OTF 新ゴ Pro R","ヒラギノ角ゴ2","ヒラギノ角ゴ3","ヒラギノ角ゴ4","小塚ゴシック Pro R","小塚ゴシック Pro","SH G30-P","FC平成角ゴシック体","FA ゴシック","IPA モナー ゴシック","VL ゴシック","Droid Sans Japanese","MS PRゴシック","TGothic-GT01","東風ゴシック","さざなみゴシック","Komatuna","M+1P+IPAG","Mona","JSPゴシック","AR P丸ゴシック体M","EPSON 丸ゴシック体M","Osaka","CRPC&Gれいしっく","FGP平成明朝体W3","GT2000-01","和田研細丸ゴシック2000P","和田研細丸ゴシック2000P4",YOzFont90,YOzFontN90,"Yu Gothic UI","Meiryo UI";font-variant-east-asian:jis90}逢芦飴溢茨鰯淫迂厩噂餌襖迦牙廻恢晦蟹葛鞄釜翰翫徽
祇汲灸笈卿饗僅喰櫛屑粂祁隙倦捲牽鍵諺巷梗膏鵠甑叉
榊薩鯖錆鮫餐杓灼酋楯薯藷哨鞘杖蝕訊逗摺撰煎煽穿箭
詮噌遡揃遜腿蛸辿樽歎註瀦捗槌鎚辻挺鄭擢溺兎堵屠賭
瀞遁謎灘楢禰牌這秤駁箸叛挽誹樋稗逼謬豹廟瀕斧蔽瞥
蔑篇娩鞭庖蓬鱒迄儲餅籾爺鑓愈猷漣煉簾榔?冤叟咬嘲
囀徘扁棘橙狡甕甦疼祟竈筵篝腱艘芒虔蜃蠅訝靄靱騙鴉
字体の変更前後の比較(
GIFアニメ


例示字形の変更

JIS X 0213:2004は、JIS X 0213:2000の例示字形を変更している。変更があったのは表1の通りである。

全部で168字あり、おおむね、拡張新字体から、いわゆる康熙字典体型へ変更されている。「叉」や「釜」などは筆押さえを取っている。また、「蟹」(「解」と「虫」を離した)や「祟」(出を小さくした)などのように違いが分かりにくいものもある。

この変更は、国語審議会の答申「表外漢字字体表」に示されている字体に合わせるものである。ただし、文字コード規格とは文字の符号化表現を定めるものであり、例示字形は何ら規範的な役割を持たないことを謳っていながら、こうした変更を行うことに対して批判的な意見が公開レビューなどで寄せられた。
追加された10文字

表2: JIS X 0213:2004 で追加された文字追加された10文字
??𠮟???????
従来の文字
倶剥叱呑嘘妍屏并痩繋

第3水準に追加された10字は表2の通りである。Unicodeで別の符号が与えられていたために追加されたものである。これらは表の下に示した従来の文字に対する異体字である。
フォントの対応

マイクロソフト2007年に発売したWindows Vistaから、標準搭載フォント[※ 2]の字形を旧来のJIS X 0208:1990のものから、JIS X 0213:2004のものに変更した。また、旧来の字形を表示できるフォントパッケージも公開された[5]

Appleも2007年発売のMac OS X v10.5において、例示字形の変更に対応したヒラギノ Nフォントを追加している。

情報処理推進機構LinuxなどのOSで使用するためのフリーフォントとして公開しているIPAフォントもフォントの字形をJIS X 0213:2004のものに変更した[※ 3]

上記対応によりほぼ全てのOSにおいてJIS X 0213:2004の字形が標準で使用可能となった。

JIS X 0213:2004では、JIS X 0213:2004で規定されている全ての文字種が含まれていて、各文字がJIS X 0213:2004での包摂基準に従っており、JIS X 0213:2004で規定されているそれぞれの文字の区別がつけることができる(たとえばJIS X 0213:2004での異体字関係となる「神(片仮名の「ネ」の字形に似た示偏)」と「神(漢字の「示」の字形の示偏)」が違う字形となっている)ことが求められているだけであり、例示字形と完全に同一の字形であることが求められているわけではないので、JIS X 0213:2004の包摂基準範囲内で自由に字形を選択してもJIS X 0213:2004に従った字形(たとえば「辻」が二点之繞でなくてもJIS X 0213に従った字形)ということができる。ただし、一般的にJIS X 0213:2004に従った字形のフォントとして発売されているフォントは、二点之繞や食偏なども含めてJIS X 0213:2004の例示字形に沿った字形を選択しているフォントがほとんどである。
JIS X 0213:2012の改正

2010年(平成22年)11月30日常用漢字表改定に対応して、引用例の変更、附属書12の追加がなされた[1]
注釈^ [新漢字則 (JIS X 0213:2004)] にあるイオが作成した「Windows 9x/NT を JIS X 0213 対応にするパッチ」はそのような実装が行われている例である。
^メイリオ」、「MS ゴシック3書体(MS ゴシック、MS Pゴシック、MS UI Gothic)」および「MS 明朝2書体(MS 明朝、MS P明朝)」がJIS X 0213:2004対応フォントである。
^ 2007年10月に公開したIPAフォントVer.2からJIS X0213:2004に準拠した。詳細はIPA フォント新シリーズの公開 (PDF) (2010年3月7日時点のアーカイブ)を参照。

出典^ a b c “JIS X 0213:2000 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化拡張漢字集合”. 2021年1月23日閲覧。
^出典: フリーグリフデータベース『グリフウィキ(GlyphWiki)』 グループ:第3水準に存在する常用・人名用漢字


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