Jリーグの選手契約条件
[Wikipedia|▼Menu]

Jリーグの選手契約条件(Jリーグのせんしゅけいやくじょうけん)とは、Jリーグにおけるプロサッカー選手の契約条件のこと。
概説

Jリーグには、選手契約に際して大きく3つの段階を用意している。これは、選手の契約金や年俸の高騰化、またそれでクラブ経営を著しく悪化させる懸念があることから、選手の年俸に一定の上限を設けてクラブの経営安定化を目指そうとするものである。

選手の移籍期間はJリーグが定めた期日(基本的に8月の最終金曜日を刻限とする)まで移籍を受け付け、それ以後はシーズン終了までレンタルも含め一切の移籍か認められない。但しこの間も移籍を伴わない契約の解除決定はできる(解除された選手は次の解禁まで新規の契約はできない)。

以下は基本的にJ1J2JFLについて記しており、J3については若干異なるため、別項にて詳述する。
契約の種別
プロA契約

年俸の上限は無いが、人数制限があり1チーム原則25人まで。後述のホームグロウン制度の定員以下の場合、プロA契約選手の上限人数からホームグロウンの不足人数分を削減する。最低でもJ1所属チームは15人、J2所属チームは5人以上と選手契約を結ぶことが条件とされている。

プロA契約の最低保有人数をクリアしていれば、アマチュア契約選手の登録も認められる。アマチュア選手は基本給(年俸や契約金)に関する契約を結ぶことが出来ないが、出来高払いの試合給は支給される。アマチュア選手を登録する例としては、2種登録選手特別指定選手(ユースチーム所属の選手や、高校・大学チーム所属選手を所属させることのできる制度)や、サテライトなどに多い練習生契約の選手などである。また、下部組織(ユースなど)からJリーグ、JFLの公式戦に出場して上記時間帯の出場経験があり、A契約に移行した場合もそのシーズンから3年間は25人を超えてもよい(但し外国人は対象外)。

新人選手がA契約を結ぶ場合は、初年度に限り出場給を含む報酬に670万円の上限が設けられる。これには、世代別も含む日本代表としての出場時間が規定を満たしている場合や、ユース世代の身分でJリーグの試合に出場した場合などの限定条件が付く。2年目以降もA契約を結ぶ場合は上限なし。

なお、2005年度からAFCチャンピオンズリーグに進出するチーム(J1の上位3位までのクラブと天皇杯で優勝したクラブ 天皇杯の優勝チームがJ1上位3クラブの場合はJ1 4位が繰り上げ)は、A契約選手を1チーム27人まで拡大することが可能となっている。これは、チャンピオンズリーグとJリーグの日程が過密(主としてチャンピオンズリーグは火・水曜日開催)であるため、選手の体力的負担を抑える目的がある。

また、2014年から原則25人の例外措置として、自クラブの下部育成組織(第3種(U-15・ジュニアユース)、ないしは第2種(U-18・ユース))に3年以上在籍選手は25(27)人の対象外とした。
プロB契約

年俸の上限は460万円。人数制限なし。
プロC契約

年俸の上限はB契約と同じ460万円だが、新卒入団後以下に示す所定の出場時間をクリアしていない者がこれに該当する。

J1 - 450分(5試合フル出場相当)

J2 - 900分(10試合フル出場相当)

J3・
JFL - 1350分(15試合フル出場相当)[1]

C契約選手がこの条件をクリアした場合はA契約締結の権利を得ることができるが、一旦切り替えるとC契約には戻せない。また4年目以降の選手についてもA契約・B契約のみとなる。

シーズンの途中でプロC契約選手が上記条件の時間数をクリアしA契約に移行した場合は、そのシーズンに限ってプロA契約選手が25人を超えてもいいことになっている。
ホームグロウン制度

ホームグロウンとは、家庭、あるいはその地域や国で栽培・生産されたという意味[2]、およびそれから発展し、サッカー競技において、自国のクラブチームに所属し、育成した選手のことを指す。「フランチャイズ・プレイヤー」および「ワン・クラブ・マン」も参照

Jリーグでは2019年から「ホームグロウン制度」を設けた。2019年 - 2020年(予定。以下同文)はJ1のみ2人以上、2021年はJ1のみ3人以上、2022年以降はJ1は4人以上、J2とJ3は1人以上のホームグロウン選手を保有することを義務付け、定員以下の場合、プロA契約選手の上限人数から、ホームグロウンの不足人数分を削減する[3]。ホームグロウンの登録人数はリーグ開幕時の登録ウィンドー(移籍)期間終了時点をもってカウントする。

ホームグロウン選手の要件は、

満12 - 21歳の間で、少なくとも3シーズン以上、自クラブに登録している選手(12歳の誕生日を含むシーズン - 21歳の誕生日を含むシーズンを対象)。

期間は必ずしも連続していなくても良い。

国籍、プロ・アマ、年齢などで区分けしない。

期限付き移籍選手の育成期間については移籍元(パス保有クラブ)の人数とみなしてカウントする。ただし、規定人数のカウントに関しては移籍先(レンタル先)のクラブでの登録数とみなす。

特別指定選手についてはホームグロウンの対象とはみなさない。

上記の自クラブの下部育成組織で3年以上育成し、プロA契約を結んだ選手についての、25(27)人枠を外れての登録は引き続き存続するが、その場合の当該選手もホームグロウン選手の対象とみなす。
外国籍選手

2019年シーズン以降は登録人数に制限はない(無制限)。[4]

試合出場の外国人制限に関しては、外国人枠 (サッカー)を参照。
J3での扱い
クラブチーム

J3のクラブチームについては、「プロ契約選手の保有人数を3人以上」とする規定になっているが、この下限条件については「A契約」とは書かれていない他、A契約に移行するに必要な出場時間についても記載がなされていない(Jリーグ規約2014年改正版29ページ参照)が、日本サッカー協会の公式サイト[1] ではJFLと同じ1350分以上出場でA契約に移行できるとしている。

なおスポーツニッポンによると、J3発足以前から、Jリーグでは、若手選手の出場機会を増やすため、2012年10月31日に契約関係者会議を開き、2013年シーズンにおいて試験的に、23歳以下の選手が保有権を持つクラブのディビジョンより下位(例:J1からJ2以下)のカテゴリーに属するチームへ移籍する場合に限り、期間制限を設けないことを決めたという(いわゆる育成型期限付き移籍制度)。反対するクラブもあることから1年間の試行とし、その結果に基づき本格導入するかどうか決めるとしていたが、継続中である[5]

また日本人選手(外国から国籍帰化した選手含む)の育成の観点から、2015年度までは別頁にも記したとおり、日本国籍に帰化した選手以外の外国人枠についてはJ1・J2よりも大幅に減らしており、一般外国人枠2名+提携国枠1人の最大3人までとし、在日枠、アジア枠は設定されていなかったが、2016年度からはこれをJ2以上と同じ形式に変更された。これは「J2・J3入れ替え戦」において、J3側の主管試合では従来のJ3ルール、J2側の主管試合はJ2ルールを準用するなどのレギュレーションの混乱を招きかねなかったためである[6]
Jリーグアンダー22選抜

J3では2014年・2015年の2シーズン、J1・J2に加盟するクラブに所属する18 - 22歳の若手選手を対象とした「Jリーグ・アンダー22選抜チーム」を編成し、選手のメンバー登録を行っていた。
セカンドチーム

2016年から上記J-22に代わって、希望クラブに対してJ3リーグへの参加を認めていた23歳以下(U-23)によるセカンドチームについては、選手登録について明確なトップ・U-23の線引き・区分けは行わず、同じ第1種登録で自由にトップとU-23の行き来ができるようになっていた(チーム登録はトップとU-23で同一扱いとするが、選手については事実上二重登録が可能であり、背番号がトップチームとU-23チーム別々でもよいこと<但しシーズン途中での変更は一切禁止>、同一日にトップチームとU-23の開催日が重複した場合は、2試合ともベンチ入りは可能であるが、どちらか一方の試合に1分でも出場した場合はもう一方の試合出場は不可とするなどの特例あり)[6]。またC契約の選手がA契約に移行するために必要な出場試合時間はU-23チームの一員として出場した試合の分も合算されていた[7]
報酬

基本報酬(年俸)は上記項を参照

変動報酬

A契約 - 制限なし

B契約 - 原則として制限なしであるが、出場プレミアム給を受給する場合は1試合当たり5万円以下とする

C契約 - 出場プレミアム給(B契約に同じ)、および勝利プレミアム給のみ

統一契約書以外の契約を結んだ外国籍選手はプロA契約と同等の扱いとするが変動報酬はなし。

社員選手とアマチュア契約選手についても変動報酬なし。


トレーニングコンペンセーション

A・B契約選手

A契約提示時 - 原則として算定基準に基づく

B契約提示時、およびA契約提示時でも現報酬50%未満の選手 - 30万円×在籍年数

クラブが契約更新の意思がない場合 - なし


C契約選手

A契約提示時、または現報酬を下回らない範囲でのC契約を継続する場合 - 原則として算定基準に基づく

B契約提示時、または現報酬を下回る範囲でC契約を継続する場合 - 30万円×在籍年数

クラブが契約更新の意思がない場合 - なし


統一契約書以外の契約を結んだ外国人選手 - なし

社員契約選手 - 30万円×在籍年数

社員契約以外のアマチュア契約選手 - トレーニング費という名目で支給

なお、2020年のJリーグから、J2J3のそれぞれにおいて、若手選手の育成の観点から、21歳以下の日本人選手(帰化者・在日枠・2種登録選手特別指定選手含む)を対象とした「JリーグU-21選手出場奨励ルール制度」を設け、21歳以下の選手の1年間の総出場時間が、J2で3780分、J3で3240分(ゴールキーパーは出場時間を2倍とみなして計算する)以上に達した場合、その当該クラブに対して、J2は300万円、J3は200万円を奨励金として支給する。ただし対象となる試合はリーグ戦のみとし、J1参入プレーオフなどのカップ戦は含まない。またJ3の23歳以下のセカンドチームについても対象外とする[8][9]
脚注^ a bプロサッカー選手の契約、登録及び移籍に関する規則
^ コトバンク・ホームグロウン
^ 「ホームグロウン制度」の導入と「外国籍選手枠」の変更について
^ “「ホームグロウン制度」の導入と「外国籍選手枠」の変更について”. Jリーグ. 2018年11月20日閲覧。
^ “J契約担当者会議 23歳以下の選手、期間外移籍OKに”. スポーツニッポン. (2012年11月1日). https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2012/11/01/kiji/K20121101004453730.html 2012年11月6日閲覧。 
^ a b 『 ⇒2016明治安田生命J3リーグへ参加するU-23チームが決定!』(プレスリリース)日本プロサッカーリーグ、2015年12月15日。 ⇒http://www.jleague.jp/release/post-40975/。2015年12月17日閲覧。 
^【2016Jリーグ】大会方式が一部変更 昇格プレーオフ決勝はリーグ戦上位のホームで開催(日本プロサッカーリーグ2015年12月15日 12月16日閲覧)
^ JリーグU-21選手出場奨励ルールを導入(2019年12月19日 日本プロサッカーリーグ)
^ 21歳以下若手出場で奨励金 Jリーグ(2019年12月19日 時事通信)

関連項目

スペシャル・ライセンス・プレーヤー(Jリーグの前身である日本サッカーリーグ時代に容認された、事実上のプロ選手制度)

外国人枠 (サッカー)

外部リンク

Jリーグ規約・規定集










Jリーグ 2024


日本プロサッカーリーグ(法人)

日本サッカー協会

J1
北海道コンサドーレ札幌

鹿島アントラーズ

浦和レッズ

柏レイソル

FC東京

東京ヴェルディ

FC町田ゼルビア

川崎フロンターレ

横浜F・マリノス

湘南ベルマーレ

アルビレックス新潟

ジュビロ磐田

名古屋グランパス

京都サンガF.C.

ガンバ大阪

セレッソ大阪

ヴィッセル神戸

サンフレッチェ広島

アビスパ福岡

サガン鳥栖

J2

ベガルタ仙台

ブラウブリッツ秋田

モンテディオ山形

いわきFC

水戸ホーリーホック

栃木SC

ザスパクサツ群馬


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:40 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef