ISO/IEC_14496-3
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AAC LD

AAC LD(Low Delay)は符号化遅延を抑えた方式で、通信などリアルタイムで符号化と復号が必要な用途に用いられる。アルゴリズムから決まる符号化遅延はサンプリング周波数 48 KHz の場合で 20ms 以下である[17]

AAC での符号化の単位であるフレーム長を短くするなどの変更を加え、圧縮率の低下と引き換えに符号化遅延を小さくする。
HE-AAC「HE-AAC」も参照

AAC LC をコアに SBR(Spectral Band Replication、スペクトル帯域複製)ツールを組み合わせて圧縮効率を向上させたプロファイルを HE-AAC(High-Efficiency Advanced Audio Coding)、さらに PS(Parametric Stereo)ツールも組み合わせたものを HE-AAC v2 と呼ぶ[21]HE-AAC は aacPlus や AAC+、HE-AAC v2 は aacPlus v2 や eAAC+ の商標名で呼ばれることもある。

SBR は、入力信号の低域成分と高域成分の相関を利用し、高域成分をスペクトル情報など情報を復元するためのわずかな制御情報のみでパラメータ化し、復号時に低域成分の情報から予測復元することで情報の圧縮を行う。

PS は、ステレオ信号について同様の考え方を用いるものである。ステレオ信号の左右チャネルの相関を利用し、左右の両チャネルを足し合わせたモノラル信号とステレオの空間情報をパラメータ化したサイド情報に分けて符号化を行い、復号時はモノラル信号とサイド情報とから両チャネルの信号を復元する。サイド情報は高音質の場合でも 9 kbps 程度で[22]、左右チャネルをそのまま符号化するのに比べ圧縮効率が高くなる。

両方式とも元の信号と物理的に同じものを復元するのではないが、音響心理学的に自然な復元を行うことができ、大幅な情報の圧縮ができる。また、HE-AAC をサポートしていないコーデックでも、AAC LC で符号化されたコア部分のみはデコード可能である。

欧州放送連合が実施した MUSHRA 法による試験では、HE-AAC で符号化された 48 kbps ステレオ信号の評価は 80点 で、 同じビットレートの AAC や mp3PRO より音質が高かった[21]

また、Moving Picture Experts Group による HE-AAC と HE-AAC v2 の MUSHRA 法による比較試験では、24 kbps の HE-AAC v2 は同じビットレートの HE-AAC よりはるかに優れており、32 kbps の HE-AAC と同等か優れた評価だった[21]
パラメトリックオーディオ符号化

パラメトリックオーディオ符号化ツールは、音楽などをパラメータ化し低ビットレートで符号化する方式で、4 kbps?程度の低いビットレートを受け持つ MPEG-4 HILN(Harmonic and Individual Lines plus Noise)[23] や、高音質の音楽を対象とする MPEG-4 SSC(SinuSoidal Coding)[22] が含まれる。HE-AAC v2 で使われる PS(Parametric Stereo、パラメトリックステレオ)も MPEG-4 SSC を構成するツールの1つである[24]

MPEG-4 HILN は、音楽を複数の正弦波ノイズの組み合わせでパラメータ化する方式で、AAC よりさらに低いビットレートで音楽の符号化を行う。周波数や振幅のパラメータを変換・補間することで、復号時に音楽の速度とピッチとを独立して変更できる特徴がある。

MPEG-4 SSC(SinuSoidal Coding)は MPEG-4 HILN と比べると広帯域で高音質のオーディオ向けの符号化方式で、トランジェントツール(Transient tool)、正弦波ツール(Sinusoidal tool)、ノイズツール(Noise tool)、パラメトリックステレオ符号化ツール(Parametric Stereo coding tool)の 4 つのツールから構成される。トランジェントツールは音が大きく変わる部分をパラメータ化する。正弦波ツールは比較的定常的な部分を周波数、位相、振幅がゆっくりと変化する正弦波の組み合わせでパラメータ化する。ノイズツールは正弦波ツールで表現しきれない成分を特定の時間的エンベロープスペクトルエンベロープを持つノイズとして表現する。パラメトリックステレオ符号化ツールはステレオ信号用で、ステレオ信号をモノラル成分と左右チャネルの違いを表す少数のパラメータで表現する。左右チャネルの違いを表すパラメータとして、フィルターで分割した各周波数領域でのチャネル間の強度差、位相差、相互相関を用いる[21][22]
Structured Audio

Structured Audio(構造化オーディオ)はデコーダー側で音楽やサウンドエフェクトを合成するツールで、非常に表現力の高い音楽を 2?3 kbps 以下のビットレートで符号化することができる[25]

Structured Audio は特定の合成方法を定義するのではなく、合成方法を記述するための言語を定義する。Structured Audio は以下の要素を含む[26]
SAOL(Structured Audio Orchestra Language)
合成と制御のアルゴリズムを記述するためのデジタル信号処理言語。シンタックスはC言語に近い。楽器やオーディオエフェクトを定義しそれらの関係を記述。
SASL(Structured Audio Score Language)
単純な楽譜と制御のための言語。実際に音を生成するために SAOLで定義されたアルゴリズムの使い方を記述する。楽譜に相当する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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