ISO_639-3
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ISO 639-3 のコード表は変更可能であるが、すでに使われているコードを守るため、変更が許されるのは以下の場合に限られる:[17]

ある項目に対する参照情報の変更(言語名・型や範囲の分類を含む)

項目の追加

重複または誤った項目を非推奨にすること

ある項目を別の項目に併合すること

既存の項目を複数の新しい項目に分割すること

変更は年1回行われる。各変更要求は最低3か月の公開レビュー期間が与えられる。

ISO 639-3 のサイトの「命名の範囲」[18] およびSILの言語の型[19]において、コードを与える範囲と、どのような条件を満たさなければならないかを説明している。たとえば、人工言語に識別子を与えることはできるが、それが人間のコミュニケーションのために設計されており、かつ文献がある場合に限られる。この制約は個々人の発明に対する要求がなされることを防ぐためにある。

登録主体のWebサイトでは、ISO 639-3 のコード表がどのように保守されるかついて説明している[20]。同時に、変更要求を受けとり処理するためのプロセスも記述している[21]

このWebサイトでは変更要求の書式と、追加提案に関する情報を収集するための第二の書式が提供されている。任意の団体が変更要求を提出できる。提出された要求はまず登録主体によって不備がないかレビューされる。

不備のない文書による要求を受けとった場合、その要求が公開されている「変更要求インデックス[22]」に加えられる。同時に「Lingust List」の「LINGUIST」ディスカッション・リストおよび関連すると登録主体がみなしている他のリストに告知がなされ、変更要求に対する公開レビューに招待する。どのリストのオーナーおよび個人も特定の地域や語族に関する変更要求に関する通知を受け取ることができる。受け取ったコメントは他の団体がレビューするために公開される。コメントの総意にもとづいて、変更要求は撤回されるか、または「候補状態[23]」に昇格する。

毎年のレビュー期間が終了する3か月前に、LINGUIST のディスカッション・リストおよび他のリストに、「候補状態の変更要求[24]」に関する告知がなされる。すべての要求は、レビュー期間が終了するまでレビュー・コメントが可能である。

毎年のレビュー期間の終了時に決定がなされる。要求は全体あるいは一部が採用されるか、修正されて翌年に持ちこされるか、または検討が撤回される。各変更要求と、それに対する決定・決定の根拠の公開アーカイブが保守されている[25]
批判

言語学者のモーリー、ポストおよびフリードマンは ISO 639-3 に対してさまざまな批判を提起している[26]

3文字コード自身に問題がある。これらのコードは公式には恣意的で技術的なラベルとされているが、実際にはしばしば言語名の省略からなっており、そのうちいくつかは差別的である。たとえば、イェム語(英語版)には jnj が割りあてられているが、これは差別語の「Janejero」に由来する。これらのコードはその言語の話者を侮辱するものであるが、標準において割り当てを変更することができない。

標準の管理に問題がある。SIL はキリスト教の宣教団体であり、透明性や説明責任において不適当である。何が言語としてコード化するに値するかの決定が内部で行われる。外部の提案は歓迎されたりされなかったりするが、決定自身は不透明であり、多くの言語学者が標準を改訂することを諦めている。

言語に恒久的な識別子を与えることは、言語の変化と両立しない。

言語と方言はしばしば厳格に区別できない。方言連続体はさまざまな区分が可能である。そのような区分はしばしば社会的・政治的要因によってなされる。

ISO 639-3 は人々の所属に関する決定を行う権力者によって誤解ないし誤用され、言語の話者が自分の所属を決めたり自分の言語が何であるかを決めたりする権利を奪いかねない。SIL はこのような問題に対して注意を払ってはいるものの、確立した標準には本質的にこの問題をかかえており、ISO や SIL の意図しない方向に使われる(または誤用される)可能性がある。

マーティン・ハスペルマートはこの指摘のうちの4つを認めたが、言語変化については認めなかった[27]。ハスペルマートによれば、どのような言語の記述もそれが何の言語であるかを同定することが必要であるし、言語の異なる段階を区別するのは容易であるから、言語変化に関する指摘は不当なものである。ハスペルマートは、言語学者は languoid レベルのコード化を行うことを好むだろうとする。「言語学者にとって、それが言語であるか、方言であるか、緊密な関係にある複数の言語であるかが意味を持つことはほとんどない」ためである。ハスペルマートはまた、ISO が言語の同定を行うことが妥当かにも疑問を投げかける。ISO は工業規格の機関であるが、言語の文献と用語は科学的な努力であるとする。ハスペルマートは言語コードの本来の必要性は「翻訳とローカライズの経済的重要性」にあり、ISO 639-1 と ISO 639-2 はそのために作られたことを指摘する。しかし ISO 639-3 によって提供されるような「狭いコミュニティーで使われ、全くないしほとんど書かれることのない、しばしば絶滅の危機にある、ほとんど知られていない言語」を含む包括的なコードが工業的に必要かどうかは疑問とする。
日本の諸言語と ISO 639-3

ISO 639-3言語
ain
アイヌ語
jpn日本語
ryn北奄美大島語
ams南奄美大島語
kzg喜界語
tkn徳之島語
okn沖永良部語
yox与論語
xug国頭語
ryu沖縄語
mvi宮古語
rys八重山語
yoi与那国語
jsl日本手話

以上のうち日本語は ISO 639-1 と ISO 639-2 の両方で、アイヌ語は ISO 639-2 でコード化されている。
使用例

エスノローグ

Linguist List

OLAC

IETF言語タグ

Lexical Markup Framework(機械可読辞書を表現するための国際標準)

言語別 TLD (lcTLD) として提案[28][29]

Unicode の CLDR (ISO 639-2 に含まれない数百の言語について ISO 639-3 を使用)

Microsoft Windows 8[30] (公開時の ISO 639-3 のすべてのコードをサポート)

脚注[脚注の使い方]^ a b “ ⇒ISO 639-3 status and abstract(ISO 639-3 現況と梗概)”. iso.org (2010年7月20日). 2012年6月14日閲覧。
^ Codes for the representation of names of languages ? Part 3:Alpha-3 code for comprehensive coverage of languages
^ “ ⇒Maintenance agencies and registration authorities”. ISO. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒Types of individual languages - Ancient languages”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ Aryawibawa, Nyoman I. (2010) Spacial refeerence in Rongga (ISO 639-3: ror), Balinese (ISO 639-3: ban), and Indonesia (ISO 639-3: ind). UMI, ProQuest.
^Ethnologue report for ISO 639 code:zho on ethnologue.com
^ “ ⇒ISO 639-3 Macrolanguage Mappings” (英語). SIL.org. 2022年2月27日閲覧。
^ a b “ ⇒ISO 639-3 Code Set”. Sil.org (2007年10月18日). 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒ISO 639-3”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒Scope of Denotation: Individual Languages(区別の観点)”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒Scope of Denotation: Dialects(区別の観点:識別子)”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒Scope of denotation: Macrolanguages”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ a b 完全なマクロ言語の一覧は以下を参照“ ⇒Macrolanguage Mappings”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒Scope of denotation:Collective languages”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ 「 miscellaneous」に由来。
^Field Recordings of Vervet Monkey Calls. Entry in the catalog of the ⇒Linguistic Data Consortium. Retrieved 2012-09-04.
^ “ ⇒Submitting ISO 639-3 Change Requests:Types of Changes”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒Scope of Denotation for Language Identifiers”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒Types of Languages”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒ISO 639-3 Change Management”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。
^ “ ⇒Submitting ISO 639-3 Change Requests”. sil.org. 2012年6月14日閲覧。


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