IRA暫定派
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アイルランド共和軍暫定派
Provisional Irish Republican Army
北アイルランド紛争に参加
IRA暫定派のエンブレム
活動期間1969年 - 2005年
活動目的北アイルランドの分離、「統一アイルランド」の建国
構成団体アイルランド共和派
指導者IRA軍事協議会
兵力10,000人(最大時)
関連勢力シン・フェイン
敵対勢力イギリス
アルスター忠誠派
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アイルランド共和軍暫定派(: Provisional Irish Republican Army)は、アイルランド民族主義者私兵組織。日本語ではIRA暫定派、英語ではPIRAまたは俗にプロヴォ(: the Provos)と略されることが多い。
概要

IRA暫定派は、1969年にアイルランド共和軍(IRA)主流派から分裂して結成された。自称は「IRA」(アイルランド共和軍、アイルランド義勇軍、Oglaigh na hEireann) であるが、アイルランド共和国の正規軍であるアイルランド国防軍を含め、歴史上複数の組織が「IRA」を名乗っている。支持者からは単にジ・アーミー[注釈 1]、またはザ・ラー[注釈 2]なお「Provos」の単数形「Provo」は組織の一員を指す。

これまでに一般市民および警察官、英軍兵士へのテロ事件を惹き起こしていることから、アイルランドイギリスアメリカ合衆国など多くの政府によってテロ組織と認定されている[注釈 3]。1969年の創設以来、暫定派は自身の存在目的をアイルランド全島を統治する単一統治国家としての「統一アイルランド」建国であると宣言しており、これは武装闘争によってのみ解決されると主張していた。しかし1990年代になり北アイルランド紛争の政治的解決が進められるようになったことを受け、2005年7月28日にIRA軍事協議会から全面的な武装解除と平和的手段への転換が発表された。
歴史統一アイルランド
1969年のIRA分裂まで

IRAの起源は、19世紀の始めに英国統治下にあったアイルランドの独立を目的に設立されたアイルランド義勇軍である。このアイルランド義勇軍は第一次世界大戦中のイースター蜂起において主導的な役割を果たし、大戦終結後に発生したアイルランド独立戦争においてアイルランド共和国 (Irish Republic) 暫定政府の正規軍として認められた。現在のアイルランド国防軍はここに端を発している。また、IRA暫定派の「暫定」とは、この暫定政府にちなんでいる。

独立戦争の講和条約である英愛条約においては、アルスター6県を北アイルランドとして英国統治下に残留させること、新たに建国されるアイルランド自由国イギリス連邦傘下の自治国とすることなどが取り決められた。アイルランドではこの条約の賛否を巡って、穏健派と強硬派との間にアイルランド内戦が勃発した。この内戦に敗北した条約反対派のIRAメンバーは、北アイルランド政府およびアイルランド自由国は非合法であると非難し、統一アイルランド「正統政府」の設立を主張するようになった。

1960年代後半になると、アメリカ合衆国の公民権運動の影響がヨーロッパにも及び、北アイルランドにおいて政治的に差別されていたカトリック教徒と北アイルランド政府との対立が深刻化し始めた。1969年12月に行われたIRAの特別軍事会議は、アイルランド共和国議会への参加の是非と北アイルランド問題への対応を巡って激しく対立した。マルクス主義の影響を受けていた主流派はオフィシャルIRAを組織して穏健主義を掲げたが、北アイルランドのカトリック・コミュニティを実力で守ることを選んだメンバーによってIRA暫定派が結成されることになった。
IRA暫定派の創設IRA暫定派のメンバー

オフィシャルIRAは1950年代に実行されたボーダー・キャンペーンの失敗を引き合いに出して、IRA暫定派の動きを分派主義者による無謀な賭けであるとして非難した。オフィシャルは労働者の間に政治的基盤を形成して政治的な解決を図ることを模索していた。それに対して暫定派は、武力を用いなければ北アイルランドのカトリック教徒を保護できないと主張し、北アイルランド政府への積極的な攻撃を指向した。暫定派はオフィシャルIRAの「コミュニスト的傾向」を批判し、伝統的なアイルランド共和主義の考えに則って北アイルランド政府はもちろんのこと、アイルランド共和国の正当性をも否定していた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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