INSネット
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NTT日本電信電話株式会社・ネットメイトD64 仕20078号2版。NTTがINSネット(ISDN)回線のために初めて製造販売した、ISDN専用電話機 兼 ターミナルアダプタ。INSネット64に対応したマルチメディア電話機「telesse」。Webや電子メールの閲覧が可能であった[1]

INSネット(アイエヌエス ネット)は、日本のNTTNTT東日本およびNTT西日本)が提供する電気通信サービスの登録商標である[2]

国際的にはISDNと呼ばれる技術規格を採用しており、2本のBチャネル(=64kbps×2)と、1本のDチャネル(16kbps)を電話用の2本の銅線で重層伝送する「INSネット64」(2B1D、ISDNにおけるBasic Rate Interface)と、23本のBチャネル(=64kbps×23)と、1本のDチャネル(64kbps)を1本の光ファイバーで伝送する「INSネット1500」(23B1D、同Primary Rate Interface)の2つのメニューがある。詳細は「ISDN」を参照
電話番号

かつてはINS回線と通常のアナログ加入電話回線では加入者線が収容される交換機が異なるために、移行時には必ず電話番号が変更となった[注釈 1]

アナログ回線からINS回線への変更時に同番移行が全国で可能になったのは1997年4月末のことである[3]。この後もINSからアナログへの同番移行はアナログ→INS同番移行を行なった回線をアナログ回線に戻すときのみ可能であったが、2002年9月2日に全回線で可能となった[4]
歴史
サービス開始三鷹市・武蔵野市でISDNの実用化試験で使われていたDM1021形電話機 特仕7988号2版 Yインタフェース回線のISDN回線で動作する為、現在のISDN回線では利用することはできない。

日本電信電話公社によって1970年代から独自の研究が行われていた。高度情報通信システム(INS=Information Network System)と呼ばれ1984年三鷹市武蔵野市で現在のものと互換性のないYインタフェースで実用化試験が行われた。ちなみにYインタフェースでのINS(ISDN)回線は回線構成が1B+1Dで通話と同時にFAXの送受信が行えないなど不便があったため、デジタルで通信を行う以外は旧来の電話と機能に変化が無いため現行のIインタフェースのISDN回線では回線構成が2B+Dになったらしい。

1988年4月19日に旧NTTによって「INSネット64」[注釈 2]「INSネット1500」[注釈 3]商標でIインタフェースによる商用サービスが開始され、1999年のNTT再編後はNTT東日本西日本から提供されている。大阪市中央区淡路町にあるNTTのビルには「明日への通信 INS発祥の地 昭和63年4月」の石碑がある。また、2000年代に入り他の電気通信事業者のサービスも開始された。

登場当初はバーチャルコール方式パケット通信(INS-P:INS-Packet switching service)による、大型コンピュータなどのパケット通信網(DDX-P:Digital Data eXchange Packet switching service)へのアクセスなどから利用された。間欠送信であるアメダスクレジットカード信用照会CAFIS)などに、パケット通信特有のデータ量による課金体系であることを生かして使用された。

また「INSネット1500」1回線で23本の回線が取れることを生かして、インターネットサービスプロバイダダイヤルアップ接続アクセスポイントの拡充に使用された。
普及NTT-MEのMN128 SOHO

1995年12月に、低価格のターミナルアダプタ「MN128」(NTT-TE東京(現:NTT-ME)とビー・ユー・ジー(現:ビー・ユー・ジーDMG森精機)の共同開発)が発売されたことが引き金となり、翌1996年に入るとNECオムロンなどから低価格のターミナルアダプタの発売が相次ぎ価格が急速に低下。さらに深夜時間帯の市内・隣接地区の特定番号への通話が定額となる「テレホーダイ」サービスの開始もあり、それに伴いインターネットへのダイヤルアップ接続用途で個人や中小企業向けに一気に普及した。

また企業では構内交換機が比較的高価になるが「INSネット1500」1回線で23本、「INSネット64」1回線で2本の電話回線が取れることからアナログ電話回線を多数引き込むよりも電話加入権(施設設置負担金)や毎月の回線使用料(基本料金)が安くなるため、多数の外線電話を束ねる用途でも普及した。
契約数減少

2000年12月8日に1,000万回線を超えた契約数[5]が、2021年度末に160万回線まで減少[6]

大企業では、1990年代の公衆網と専用線との接続の自由化による外線本数の減少・交換設備の維持費の問題や料金の安いIPセントレックスの普及によって非常用通信の確保のための最低限の回線以外が解約されるようになった。i・ナンバーダイヤルイン電話FAXそれぞれに番号を与えて1つのISDN回線で兼用していた中小事業所では、複数回線対応の0AB-J番号のプライマリIP電話への置き換えが進んでいる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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