IBM_PC_XT
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IBM Personal Computer XT (IBM 5160)
製造元IBM
種別パーソナルコンピュータ
発売日1983年3月8日
販売期間(販売終了 1987年4月)
OSIBM BASIC / PC DOS 2.0-3.20 / PC/IX / SCO XENIX / MINIX
CPUIntel 8088 4.77MHz
メモリ128KB - 640KB
前世代ハードIBM PC
次世代ハード

IBM PCjr

IBMポータブルPC

IBM PC AT

IBM PCコンバーティブル

IBM PS/2 (モデル30)

関連商品IBM PC互換機

IBM PC XT(: IBM Personal Computer XT)は、IBM1983年に発表したパーソナルコンピュータ(PC)。オリジナル(元祖)のIBM PCの改良版で、後継はIBM PC AT。略称はPC XT、PC/XT、XTなど。
名称

正式名称は「IBM Personal Computer XT」、型番は「IBM 5160」。「XT」は「eXtended Technology」(拡張技術)を意味する。「5160-084」の場合、「モデル 5160」、「モデル 084」などとも呼ばれる。
概要

IBM PC XTは、IBM PCのハードディスクドライブ搭載モデルで、1983年3月8日に「IBM Personal Computer XT model 5160」としてリリースされた。ハードディスクの搭載と細部の改良を除けば、オリジナルのIBM PCと基本は同一だった。XTは主にIBM PCのビジネスユーザー向けの拡張を意図した。後にフロッピーディスクのみのモデルが、オリジナルのIBM PC(モデル 5150)を置き換えた。また1983年10月に、IBM 3270端末のエミュレータ機能を持った「3270 PC」がリリースされた。

ハードディスクやフロッピーディスクの管理のために、PC DOS 2.0では階層化ファイルシステムが採用され、マイクロソフトから各社へ供給されたMS-DOS 2.0も同様となった。またXTの拡張スロットは、後にISA 8ビットバスとして標準化された。

1986年、演算能力を改善するためCPUを6MHzクロックIntel 80286に変更したPC/XT 286 (model 5162) が発売されたが、すでにPC/ATが市場に出ており、短期間で発売は中止された。
歴史

IBM PC XTは、当初は128KBのメインメモリ(RAM)、360KB両面の5.25インチ・フロッピーディスクドライブ、Xebec 1210 MFMコントローラを備えた10MBのシーゲイト ST-412 ハードディスクドライブ、非同期シリアル通信アダプター(8250 UART搭載のシリアル通信カード)、130ワットの電源装置などを搭載した[1]。マザーボードには4.77MHzで稼働するインテル 8088 マイクロプロセッサと、オプションのIntel 8087 数値演算コプロセッサ用のソケットが搭載された。

1983年初頭にIBMがIBM PCの後継機を発表した際、初期のユーザーは恐らくIntel 80186や他の先進機能を持った次世代マシンとなるだろうと推測した。しかしXTが実際に公開されると、オリジナルのIBM PCと同じ8088 CPUを搭載した僅かな改良のみの新マシンであったため、軽い失望が発生した。1983年11月、雑誌『BYTE』は記事で「DOS 2.0は、このコンピュータ自体よりも、より革命的で先進的である」と記し、拡張スロットの間隔が狭いため拡張カードが収納できるか確認するよう消費者に助言し、XTは「競争力のある価格」で「技術的に控えめだが、(オリジナルの)IBM PCに忠実に設計された」と結論付けた[2]

1983年末には、XTの販売はオリジナルのIBM PCと並び、IBMは製造したものを全て販売し続けた。1984年、80286 CPUと16ビット拡張バスを搭載したIBM PC ATが発売され上位モデルとなった。1987年4月、PS/2 モデル 30 に置き換えられた形で、IBMはXTの販売を終了した。
基本仕様

CPU: 8088 4.77MHz

メモリ: 256KB?640KB(標準)

外部記憶: フロッピーディスク 360KB×2基、ハードディスク 10MBまたは20MB

ディスプレイ: MDAまたはCGA

ROM-BASIC (Microsoft GW-Basic)

83キーボードまたは101キーボード

XT拡張バス

メインメモリー

標準搭載メモリは128Kだったが、すぐに256KBに増加された。また拡張スロットはメモリー拡張用にも使用できた。
ディスプレイカード

当初使用可能なディスプレイカードは、オリジナルのIBM PCと同様にMDAまたはCGAであったが、1984年にEGAおよびPGCが追加された。
拡張バス

XTの拡張バス(通称:XTバス)は、オリジナルのIBM PCのバス(通称:PCバス)と基本的には同じだが、一部のレイアウト変更や制御信号の追加などが行われ、後のATバスのベースとなり、更には8ビットISAとして標準化された[3]

1981年8月のオリジナルのIBM PCリリース後より、IBMはすぐに5つの8ビット「I/Oチャネル」拡張スロットが不十分と認識した。1981年10月のIBM社内の出版では、必要に応じて拡張カードを入れ替える事をIBMが奨めた事を報告し、「私の意見では、これは問題となる」と記した[4]。事実上、全てのPCは少なくともディスプレイカードとフロッピーディスク用コントローラカードを必要とするため、プリンター用パラレル通信カード(CGA使用時)、シリアル通信カード、メモリ拡張ボード、サードパーティーのハードディスクコントローラカード、2枚目のディスプレイカード、その他の専用アダプターカードなどには、残りの僅か3つのスロットしか使用できなかった。

XTは8つの拡張スロットを持った。うち6つの拡張スロットは、オリジナルのIBM PCの5つの拡張スロットと同じスペースに配置され、アダプターカードの長さも同じだった(フルサイズ)。2つの拡張スロットはフロッピーディスクドライブの背後に配置され、アダプターカードの長さは短かかった(ハーフサイズ)。多くのカードは2つの拡張スロットには収納できず、また特に2枚構成のボードなどいくつかのカードはスロット間の狭さのために6つの拡張スロットには装着できなかった[2]。多くの場合、フロッピーディスクドライブおよびハードディスクドライブのカード、シリアルポートのカード、ディスプレイアダプターなどがスロットを占有した。
ハードディスク

XTはシーゲート ST-412を標準搭載し、最初の2年間はフロッピーディスク・モデルを提供しなかったが、2台のフロッピーディスク用のコネクターとリボンケーブルが含まれていた。当時の多くのマイクロコンピュータのハードディスクシステムとは異なり、XTはフロッピーディスクから起動(ブート)することなしに、ハードディスクから直接起動することができた。
オペレーティングシステム

XTと一緒に購入されたのは通常はPC DOSで、発売当時はPC DOS 2.0、1987年4月の販売終了時はPC DOS 3.2であった。またオリジナルのIBM PCと同様に、IBM PC XTにはROMの形でIBM BASICが標準搭載された。IBMとマイクロソフトの契約により全てのPCにはBASICを含める必要があり、ROM BASICを前提として稼働するIBM Advanced BASIC (BASICA)プログラムがDOSに含まれた。
その他

オリジナルのIBM PCとは異なりIBM PC XTのBIOSでは、POSTの際にメモリーのカウントを表示した。

XTのデスクトップケースはオリジナルのIBM PCと似ており、重量は32ポンド、幅は約19.5インチ、奥行きは約16インチ、高さは約5.5インチだった。アメリカ合衆国で販売された当初のXTの電源ユニットは120ボルトのみで、240ボルトは使用できなかった[1]。このため後に240ボルトの電源ユニットを搭載したXTが国際市場向けに発売されたが、消費電力はどちらも130ワットであった。
モデル「IBM PC#IBM PCファミリー」も参照

XTの主なバリエーションには以下がある。

5160 XT

モデル 084 - 最初のバージョン[5] 。標準搭載メモリ128KB。

モデル 086 - 標準搭載メモリ256KB。IBM 3270エミュレータ用にスロット8を変更。

モデル 068, 078 - 1985年、フロッピーディスクモデル

モデル 568, 588, 589 - XT/370 (メインフレーム System/370のエミュレーション)


5160 拡張ユニット - XT用の拡張シャーシで、XTと同じシャーシと電源ユニットを持ち、マザーボードの代わりに8つの拡張スロットを持ったバックプレーンを内蔵した。

5162 (XT 286) - 1986年、Intel 80286 6MHzを搭載。IBM PC ATの下位モデルとして販売された。

脚注^ a b Scott Mueller, "Upgrading and Repairing PCs 2nd Edition" Que Books, 1992 .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 0-88022-856-3, pp. 59-79


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