HTV技術実証機
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HTV技術実証機ISSから撮影
種類HTV
所属JAXA
宇宙ステーションISS
ステーションメンバー第20次長期滞在
第21次長期滞在
主契約者JAXA
三菱重工業 (LSP)
ロケットH-IIB
射場種子島LP2(英語版)
打上げ日2009年9月11日
2時1分46秒 (JST)
軌道減衰2009年11月2日
午前6:26頃 (JST)
COSPAR ID2009-048A
ドッキング
ドッキングポートハーモニー CBM
ドッキング日時2009年9月18日
07時26分 (JST)
アンドッキング日時2009年10月31日
午前0時02分 (JST)
軌道
種類LEO
軌道傾斜角51.6°
重量
カーゴ4,500 kg (9,900 lb)

HTV技術実証機(HTVぎじゅつじっしょうき、HTV Technical Demonstration Vehicle: HTV-1)は2009年9月11日に打ち上げられた宇宙ステーション補給機(HTV)の初号機。日本宇宙航空研究開発機構に所属。同月17日国際宇宙ステーション(ISS)に結合し、物資をISSに輸送した後、10月30日に結合を解除し、11月2日に大気圏再突入を果たした。HTVの愛称決定後は「こうのとり初号機」や「こうのとり1号機」とも呼ばれる。
ミッション内容
目的

HTV-1ミッションではH-IIBロケットの初打上げ、およびHTV-1によるISSへの補給物資の輸送を実施する。またこれと共に、以下の技術検証を行う[1]

ISSへのランデブー飛行技術の検証[1]

安全化技術、管制技術の検証[1]

軌道上における大型機体構造の検証[1]

多重化したアビオニクス、推進系の構成(部品点数約80万点)の検証[1]

宇宙飛行士の乗り込みが可能な有人対応設計(ISS係留中)の検証[1]

搭載品補給キャリア与圧部の内部 補給キャリア非与圧部

HTVの最大補給量は約6トンだが、HTV初号機ではISSドッキングの前に運用検証を行なうため、通常より多くの推進剤とバッテリをHTV-1に搭載した。そのため、HTV-1の補給量は与圧部3.6トン、非与圧部0.9トンの計4.5トンであった[2][3]

補給キャリア非与圧部にはきぼう船外実験プラットフォームに取り付けられる日本の超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES, 475kg)とNASAの「沿岸海域用ハイパースペクトル画像装置および大気圏/電離圏リモート探知システム実験装置」(HREP, 381kg)が搭載された[2]

補給キャリア与圧部にはHTV補給ラック(HRR)が7台、きぼう保管ラック(PSRR)が1台搭載された。これらの内容物は食料(重量33%)、科学実験用物資(20%)、きぼうロボットアームの子アーム(18%)、衣服・洗面用化粧品・手紙・写真・蛍光灯・屑入れバケツといったクルーへの補給品(10%)、その他(19%)である[2][4]
サクセスクライテリアHTVのドック位置(CG)

HTV-1ミッションでは以下の3つのサクセスクライテリア(成功基準)が設定された。
ミニマムサクセス


軌道間輸送の技術実証として、HTV技術実証機がISSにランデブ飛行し、ISSのロボットアームで把持可能領域まで最終接近ができ、HTV運用機の運用開始に支障がないことが確認できること[5]

フルサクセス


HTV技術実証機がISSのロボットアームにより把持された後、ISSとの結合ができること[5]

ISSと結合した後、与圧カーゴ及び曝露カーゴのISSへの移送ができること[5]

ISSからHTV技術実証機が分離・離脱した後、再突入させ、安全に洋上投棄ができること[5]

エクストラサクセス


フルサクセスに加え、以下のいずれかを達成すること。

実運用結果に基づき、余剰能力を再配分し、運用機の能力向上の見通しが得られること[5]

前提とする運用条件以外での運用実証等を通じて、運用機の運用の柔軟性を拡大できる見通しが得られること[5]

運用
打上げ前

4月22日HTV-1の本体(電気モジュール+推進モジュール)、非与圧キャリア、与圧キャリア、曝露パレットを種子島島間港にて陸揚げし、種子島射場に搬入された[6]。それぞれ以下のようなスケジュールを経て6月23日から26日に全機結合された[6]

本体 : 外観点検(4/25)、適合性試験(5/23 - 26)、重量重心測定(5/29 - 6/2)[6]

与圧キャリア : 前方推進系点検(5/4 - 7)、ラックの搭載(5/11 - 20)、ハッチ閉鎖(5/27)、重量・重心測定(6/2 - 6/4)[6]

非与圧キャリア : 外観点検(4/28 - 29)、コントローラ点検(5/21 - 25)、曝露パレットを搭載(5/25 - 28)、重量・重心測定(5/27 - 6/1)[6]

曝露パレット : 曝露カーゴ搭載(5/9 - 14)、カーゴ搭載後点検(5/18 - 23)、非与圧キャリアに搭載(5/25 - 28)[6]

その後推進系・電気系の点検(6/25 - 7/22)、推進薬の充填(7/28 - 8/10)を経て、8月18日の納入前審査で組立及び射場搬入後試験結果が審査され、21日にHTV-1が製造企業より受領された[7]。そしてHTV・ペイロード分離部の結合(8/21 - 22)、フェアリング装着(8/23 - 24)、大型ロケット組立棟への移動(8/30)、ロケットへの結合(8/31)が行われた[7]

そして9月3日から4日にかけて、打上げ直前に積み込む必要のある実験試料など、最後のペイロードを補給キャリア与圧部へ搭載する作業が行われ、打上げに向けた準備が整った[8]
H-IIBロケットの試験

HTV-1の打上げにはH-IIBの初号機が使用された。

打上げの前に、2度の実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)が行われた。初回の試験では2009年3月27日に10秒の燃焼を行う予定だったが、事前に行われた極低温点検で冷却水供給異常事象が確認され、試験は延期された[9]。後に移動発射台に冷却水を供給する供給元弁(手動弁)が閉じていたことが原因と判明し[10]、試験日は4月1日に再設定された。しかし、4月1日に防消火系設備配管の継手部から漏水が発見され、試験はまたしても延期となった[11]。翌日の4月2日の14時00分に第1回CFTが実施され、良好に終了した[12]

続いて2回目の試験では4月20日に150秒間の燃焼を行うことが予定された[13]。天候の悪化が予想されたため22日に延期され、22日13時00分に第2回CFTが実施された[14]

7月11日にはH-IIBロケットの地上総合試験が行われた[15]
打上げからISSとのランデブーHTV-1の打上げISSに接近するHTV-1アームの作業を行うニコール・ストットHTV-1のスラスタ


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