HE_1523-0901
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HE 1523-0901

HE 1523-0901の想像図。
星座てんびん座
見かけの等級 (mv)11.50 ± 0.16[1]
分類赤色巨星
低金属星
種族種族II
天文学上の意義
意義最も古い恒星
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α) 15h 26m 01.069s[1]
赤緯 (Dec, δ)?09° 11′ 38.86″[1]
赤方偏移-0.000737[1]
視線速度 (Rv)-221 km/s[1]

距離~7500 光年[2]
(~2300 pc)
絶対等級 (MV)-0.31 ± 0.16
物理的性質
質量0.8 M?[3]
色指数 (B-R)1.894 ± 0.301[1]
色指数 (B-V)0.87 ± 0.46[1]
色指数 (V-R)1.024 ± 0.161[1]
色指数 (V-I)1.637 ± 0.162[1]
色指数 (V-J)2.473 ± 0.188[1]
色指数 (V-H)3.079 ± 0.191[1]
色指数 (R-I)0.613 ± 0.003[1]
色指数 (R-J)1.449 ± 0.029[1]
色指数 (J-H)0.606 ± 0.059[1]
色指数 (H-K)0.069 ± 0.058[1]
金属量[Fe/H]-2.95 [Fe/H][4]
年齢132億年[4]
他のカタログでの名称
TYC 5594-576-1,
2MASS J15260106-0911388[1].
Template (ノート 解説) ■Project

HE 1523-0901とは、地球から見ててんびん座の方向に約7500光年離れた位置にある恒星である。HD 140283に抜かれるまでは、発見されている中で最も古い恒星の1つであった。
年齢

HE 1523-0901は、誕生してから132億年経過していると推定されている。発見時は銀河系で最も古い恒星であると同時に、発見されている中で宇宙で最も古い恒星であった[4]。HE 1523-0901の年齢は、恒星の年齢の推定としては初めて、放射性同位体を持つウラントリウムによる放射年代測定が行われ、安定同位体を持つユウロピウムオスミウムイリジウムの量と組み合わせて、年代測定のデータ検証が行われた[5]。2種類の放射性同位体と3種類の安定同位体による同時の年代測定は非常に珍しい[6]。132億歳という年齢は、宇宙の年齢である137億7000万歳からわずか5億7000万歳しか若くない年齢である。

しかし2013年に、HD 140283の年齢が136億6000万歳から152億6000万歳と推定されたため、最古の恒星の座を明け渡した形となった[7]

HE 1523-0901は、現在赤色巨星の段階であり、もうすぐ寿命を迎えると考えられている。
宇宙論への影響

HE 1523-0901は、金属量が[Fe/H] = -2.95と、極端に金属に欠乏した低金属星である[4]。しかし、少量ながらも恒星に金属があるという事は重要である。宇宙誕生時のビッグバンにおける元素合成では、水素からヘリウムと、極微量のリチウムおよびベリリウムしか合成されず、これ以上重い元素の合成には、恒星内元素合成と呼ばれる恒星内部における核融合反応で生成されるが、それでも合成できる最も重い元素はニッケルである。HE 1523-0901に含まれるウランやトリウムのような極端に重い元素の合成には、r過程と呼ばれる超新星爆発の周辺部で行われる急激な中性子捕獲によって誕生する。すなわち、HE 1523-0901に含まれる重元素の存在を説明するには、HE 1523-0901が誕生した分子雲が、既に寿命を迎えたもっと古く重い恒星の超新星爆発によってばら撒かれた物である事を示している。このことは、宇宙の誕生からどれくらいの時間で大質量の恒星が誕生したのかを論ずる上で影響を与える[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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