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IUPAC名
(10R,13R)-10,13-dimethyl-17-(6-methylheptan-2-yl)-2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17-dodecahydro-1H-cyclopenta[a]phenanthren-3-ol
別称(3β)-コレスタ-5-エン-3-オール
コレスタ-5-エン-3β-オール
識別情報
CAS登録番号57-88-5
PubChem5997
日化辞番号J2.804E
KEGGC00187
D00040 (医薬品)
RTECS番号FZ8400000
SMILES
CC(C)CCCC(C)C1CCC2C1 (CCC3C2CC=C4C3(CCC(C4)O)C)C
特性
分子式C27H46O
モル質量386.65 g/mol
外観白色または微黄色固体[1]
密度1.052 g/cm³
融点
360 ℃(分解)
水への溶解度0.095 mg/L (30 ℃)
溶解度アセトン、ベンゼン、
クロロホルム、エタノール、
ジエチルエーテル、ヘキサン、
ミリスチン酸イソプロピル、
メタノールに溶解
比旋光度 [α]D−31.5° (c = 2, Et2O, 20 ℃)[2]
出典
⇒NIST
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
コレステロール(英: cholesterol)は、ステロイドの中で、ステロールと呼ばれているサブグループに属する有機化合物の一種である。トリテルペノイドの一つでもある。1784年に胆石からコレステロールが初めて単離された。室温で単離された場合は白色もしくは微黄色の固体である。生体内ではスクアレンからプロトステロール(ラノステロールなど)を経て生合成される。
コレステロールは動物細胞にとっては生体膜の必須構成物質であり、さらに細胞内のさまざまなプロセスに関わる主要生体分子の一つである。一方、精製物は化粧品・医薬品・液晶の原材料など工業原料として広く利用されている。コレステロールを含めてステロールは脂質の主要カテゴリの一つを構成する(ステロール脂質)。
いわゆる「善玉/悪玉コレステロール」と呼ばれる物質は、血管中を流れているリポタンパク粒子をあらかじめ高密度リポタンパク質(HDL)と低密度リポタンパク質(LDL)に超遠心分離法または化学的な分別剤を使って分離し、各粒子中のコレステロールを、生化学的分析法で測定したもので、HDL中のコレステロールを善玉、LDL中のコレステロ?ルを悪玉と呼称し、決してコレステロール自体に差があるというものではない。最近はコレステロールそのものの違いより、リポタンパク質の「質」の違いにより動脈硬化性疾患の治療や予防が行われるようになってきた。詳細は「脂質異常症」を参照 名称は1784年に研究者が胆石からコレステロールの固体を初めて同定した際、ギリシア語の chole-(胆汁)と stereos(固体)からコレステリン (cholesterin) と命名されていたが、その後化学構造がアルコール体であるため、化学命名接尾辞 -ol が付けられて現在の名称となっている[注 1]。 ヒトのあらゆる組織の細胞膜に見出される脂質である。ヒトを始めとした哺乳類においては、コレステロールの大部分は食事に由来するのではなく、体内で合成され、血漿に含まれるリポタンパク質と呼ばれる粒子を媒体として輸送される。コレステロールはそれを生産する臓器や細胞膜や小胞体のような膜組織が密集している細胞で構成される臓器、例えば肝臓、脊髄、脳に高濃度に分布している。成人の体内コレステロール量である100-150 gのうち約1/4が脳に集中し[3]、約1/3が脳を含めた神経系に集中している[4][信頼性要検証]。動脈硬化叢に形成されるアテローム(血管の内側に詰まるカスのようなもの)にも高濃度で存在する。また、コレステロールが胆汁中で結晶化すると胆石の原因となる。 植物の細胞膜においてはわずかな量のコレステロールが認められるに過ぎず、他の種類のステロイド(フィトステロールと呼ばれる)が同様の役目を担う。真核生物は、一部の例外(昆虫、繊毛虫など)を除き大部分の種が何らかのステロールを自身で生合成する。そして各真核生物はそれぞれが特有のステロール組成を有する。動物の主要ステロールがコレステロール、植物ではフィトステロール、菌類はエルゴステロールを合成することが知られている。真核生物以外では、コレステロールは今のところ検出されていない(ステロール自体が稀)。 ヒト組織コレステロールの重量比[5] コレステロールは、工業製品原料として化粧品・医薬品・液晶などに利用される。これらは全て天然物から精製し原料に供される。コレステロールを多く含む高等動物の組織、あるいはイカの内臓からも抽出され、工業原料として利用される。 コレステロールを多く含む天然物から抽出すると、ヒドロキシ基(OH基)の部分に脂肪酸が結合したエステル体であるアシルコレステロール、さらに他のステロイド(コレスタノール 単離された純粋なコレステロールは白色ないしは微黄色の固体で味は無い。クロロホルム、ジエチルエーテルに溶けやすく、1,4-ジオキサンにやや溶けやすく、エタノール (99.5%)、石油エーテル、冷アセトンにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。含水エタノールからは一水和物が板状晶として析出する。比旋光度 [ α ] D 20 {\displaystyle \left[\alpha \right]_{D}^{20}} = −31.5°(c = 2、エーテル、20 ℃)[2]。遮光された気密容器中に保存する[6][7]。 分析化学において、コレステロールを同定する定性反応が幾つか知られている。これらのうちいくつかはコレステロールと同じ部分構造のステロイドに対しても反応する。日本薬局方ではサルコフスキー反応とリーバーマン‐ブルヒアルト反応とでコレステロールを同定するよう指示している。 コレステロール脂質を含むいくつかのコレステロール誘導体はある種の液晶として知られており、この分子はコレステリック液晶と呼ばれる配向状態をとる。コレステリック液晶はネマティック液晶の一種であり、ネマティック液晶のダイレクタ(分子集合体の向き)が空間的に歳差運動のようにねじれながら回転していき、らせん状に配向する性質を持つ。これはコレステリック液晶分子がキラリティを有することに起因している(下図参照)。コレステリック液晶はキラルネマティック相とも呼ばれる。コレステリック相のらせんピッチは可視光線の波長と同程度であることが多く、このとき選択反射 コレステリック液晶は表示の書き換え時にのみ電圧印加が必要となるだけで、透過状態でも反射状態でも電気を消費しない。低い電圧で横向きらせん姿勢をとるため透過状態となり、通常は背面の黒を表示する。より高い電圧を加えれば縦向きらせん姿勢をとるため反射状態となる。 コレステリック液晶は色彩を反射するのでバックライトが不要であるという長所の一方、単色では1層の表示構造で済むが、擬似フルカラーでは少なくともRGBのような3層分を積層する必要があり、透過時の光損失によって表示が暗くなるという短所がある。 2005年には日本の家電メーカーがコレステリック液晶の試作品を製作した[10]。コレステリック液晶を液晶ディスプレイとして用いたChLCD
名称
生物界における分布
胆石(コレステロール結石)
胆石(コレステロール結石)98%?99%
上皮脂肪13%?24%
毛髪1%?5%
脳2.7%
神経1.5%
血液0.015%?0.025%
資源
精製
化学瓶に入ったコレステロール
物性
定性試験
サルコフスキー反応 (Salkowski reaction)
クロロホルム溶液 (0.01 g/1 mL) に濃硫酸 (1 mL) を加えて室温で振り混ぜると、クロロホルム層は赤色を呈し、硫酸層は緑色の蛍光を発する[7][8]。
リーバーマン・ブルヒアルト反応 (Liebermann-Burchard reaction)
クロロホルム溶液 (5 mg/2 mL) に無水酢酸 (1 mL)、硫酸1滴を室温で振り混ぜると、クロロホルム層は赤色を呈し、黄色を経て緑色に変わる[7][9]。
チュガーエフ反応 (Chugaev reaction)
氷酢酸溶液に塩化亜鉛と塩化アセチルを加えて煮沸する。液は紅色を呈し紫色に変じる[9]。
トーテリィ・ヤッフェ反応 (Tortelli-Jaffe reaction)
酢酸溶液に臭素のクロロホルム溶液を重層すると8位に二重結合を持つステロールは境界面に緑色のリングを形成する[5]。
ジギトニン沈殿反応
ジギトニン (Digitonin) のアルコール溶液を加えると、3-β-ヒドロキシステロールは沈殿を生じる[5]。
コレステリック液晶
コレステリック晶の顕微鏡像
コレステリック(晶)状態の分子配列
生化学