HDCAM(エイチディーカム)とは、ソニーが開発した高精細度テレビジョン放送(HDTV)向けの撮影用ビデオテープ。Digital BETACAMのHD対応仕様である。
HDCAMHDCAMテープ
HDCAMは1997年に導入された。
映像ビットレート144Mbit/sで、コンポーネント4:2:2サンプリング・3:1:1帯域圧縮と8ビットDCT+可変長符号フィールド内圧縮とで全体で1/7圧縮となっている。1080iで24PsFと23.98PsFモードに互換性を持つ。
HDCAMは1440×1080で収録され、HD-SDIベースバンド入出力時に10ビット 1920×1080スケーリングしている(このためin/outを繰り返すと映像の劣化が目立ってくる場合がある。ただしSDTIインターフェース接続の場合には劣化は起きにくい)。
音声はAES/EBU 20bit/48kHzで4CHのデジタルオーディオである。
HDCAM-SRHDCAM-SRテープ
HDCAM SRは高密度磁気粒子採用のベータカムテープを使い、2003年に導入された。
映像ビットレート440Mbit/sで、コンポーネント4:2:2サンプリング・10ビットDCT圧縮で1/2.7圧縮を実現した規格である。HDCAMより増えたビットレートによって1920×1080を収録することができる。
HDCAM SRは新しい圧縮技術「MPEG-4スタジオプロファイル」を採用している。
音声はAES/EBU 24bit/48kHzで12chまで対応している。
倍速記録を使用した場合、映像データレート880Mbit/sで高画質RGB4:4:4を一系統収録かYCbCr 4:2:2を二系統収録できる。440Mbit/sモードはSQ、880Mbit/sモードはHQと呼ばれる。
2005年にポータブル機SRW-1で利用可能になった。オプション機器を装着することでRGB 4:4:4での1080/60p記録ができる。
2008年発売のアドバンストHQプロセッサーボードの装着によりスタジオ機SRW-5800でも880Mbp/sに対応する。
愛知万博のスーパーハイビジョン画像展示の送出にも使われていた。
SR MASTER
記録フォーマットはHDCAM SRのままで、新たにメモリーメディアであるSRMemoryを使用し、ファイルベースでの記録を実現した。また新たに、SR-Liteという圧縮方式を加えた。ファイルフォーマットはMXF(Material Exchange Format)方式。
記録メディアSRMemoryは、容量は最大1TB、記録レートは最大5.5Gbpsである。
テープ
一部のHDCAMデッキは旧来のベータカムフォーマットのテープを再生可能である。
カセットあたりの録画時間はデジタルベータカムと同じくSカセットで40分、Lカセットで124分。24pモードでは少し伸びて、50分と155分である。
HDCAMカセットテープは黒く、リッドがオレンジ色。HDCAM-SRカセットはリッドがシアン(青色)である。
ソニーが約7割のシェアを持っている[1]。
その他
ソニーのCineAlta商品群にHDCAM/HDCAM-SRが使われている。
HDCAMおよびHDCAM-SRのカメラおよび録画・再生機器については、2016年3月に販売を終了することが発表された。記録用テープなどは引き続き販売が継続される[2]。
脚注[脚注の使い方]^ [1]
アナログ
2インチ(1956)
VERA(英語版)(1958)
ソニー2インチヘリカルVTR(英語版)(1961)
Ampex 2 inch helical VTR(1962)
タイプA(英語版)(1965)
CV-2000(1965)
AKAI(英語版)(1967)
Uマチック(1969)
EIAJ-1(1969)
カートリビジョン(1972)
フィリップスVCR(英語版)(1972)
Vコード(1974)
VX(1974)
ベータマックス(1975)
IVC(英語版)(1975)
タイプB(英語版)(1976)
タイプC(1976)
VHS(1976)
VK(英語版)(1977)
SVR(英語版)(1979)
Video 2000(1980)
CVC(英語版)(1980)
M規格(1981)
VHS-C(1982)
BETACAM(1982)
8ミリビデオ(1985)
MII(1986)
S-VHS(1987)
S-VHS-C(1987)
EDBeta(1987)
Hi8(1989)
Ruvi(1998)
デジタル
D1(1986)
D2(1988)
D3(1991)
DCT(英語版)(1992)
デジタルBETACAM(1993)
D5(1994)
Digital-S(D9)(1995)
BETACAM-SX(1996)
Digital8(1999)
MPEG IMX(2000)