H2_(漫画)
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練習を積み重ねる中で比呂と春華が急接近する一方、英雄とひかりは気持ちのすれ違いが続いていた。春の選抜で千川は優勝し、甲子園にて前年の夏の優勝チームとその年の春の優勝チームで最後の夏を戦うという英雄の希望がいよいよ現実味を帯びる。その後ほどなくしてひかりの母が急死。ひかりと息子同然に可愛がられていた比呂は激しく落ち込み、同じ痛みを共有できる絆を再確認する。2人は幼なじみと現在同じ学校で隣りにいる相手との関係を問い直すために悩み、ひかりをうまく慰められずにもどかしく思う英雄は、比呂への嫉妬とそれを感じてしまう自分に苦しむ。春華は3人の中学生からの因縁を傍から見ることしかできず悲しむが、比呂から今自分が高校で野球を頑張れているのは春華のおかげだと伝えられる。

そして最後の夏、千川は北東京大会で、明和一は南東京大会でそれぞれ優勝し甲子園出場(第80回全国高等学校野球選手権大会)。甲子園でも準々決勝に進出し、突破すれば準決勝で明和一との対決となる組み合わせが決まる。準々決勝は比呂の温存のため木根が先発で登板。チーム一丸でのバックアップも手伝い完投を果たして勝利する。準決勝前夜となるその夜、比呂は英雄とひかりの重大な秘密を野田の失言から不意に知ってしまう。この対戦を最後まで見届けて、自分か比呂かをもう一度選ぶように英雄がひかりに持ちかけていたのだ。試合開始時に比呂は英雄へ自分はひかりが大好きだと宣戦布告。両者ともに絶対に負けられない勝負が始まる。9回裏二死、2対0での英雄との対峙において、比呂は葛藤の末に二度と投げられないようなストレートを投げ、三振を奪う。

千川が勝利に沸き立つ中、比呂は勝利の嬉しさからではない涙をこぼす。ひかりが英雄の融通の利かないバカ正直さに惚れたことを、比呂は痛いほどに知っていた。英雄は1人海辺で悄然とするが、ひかりに見つけられ、比呂の真っ向勝負を疑ってしまい比呂にも自分にも負けたと吐露する。ひかりはそんな英雄のカギを閉めたような融通の利かなさを確認し、そのドアを開けた中にひかりの居場所があることを比呂の奪三振から教わったと英雄に伝える。比呂があえて試合前に挑発して悪役に回った理由と、終了時に涙した本当の意味を英雄は悟る。野球の勝敗にひかりとの恋愛関係を託し、負ければ身を引くつもりで自分か比呂かをもう一度選ばせようとした英雄は何もわかっていなかったのだ。ひかりは自分こそ選ぶ権利など最初からないのをわかっていなかったと語る。英雄は自分も比呂からだれよりもひかりのことが必要なのは自分だと教わったと応え、ひかりと抱き合う。一方、比呂は宿舎で仲間たちと準決勝の勝利を祝いながらも、内心の悲しみは野田に察されていた。

翌日の決勝戦当日の朝、早くに起きてきた比呂は紙飛行機を作り、同じく起きていた春華と、大リーグへ向かう比呂とスチュワーデスとなる夢を叶えた春華がともに搭乗するという冗談を交わし合い、受け入れる。決意も新たに、千川高校野球部の仲間たちを全員乗せたバスは甲子園に向かう。試合開始前の抜けるような青空の中をあの紙飛行機が風を受けて真っ直ぐに飛んでいき、登場人物たちの未来を示唆する形で物語は幕を閉じる。
登場人物「H2の登場人物」も参照

ここでは主要人物のみ紹介。

タイトル『H2』とは、「ヒーローふたり、ヒロインふたり」[6]を意味する。そのうちのヒーローふたり(比呂→ヒロ→HERO、英雄→「えいゆう」→HERO)に関しては、作中でも英雄が語っている。コミックス完全版表紙には「The Highschool Days of 2 Heroes and 2 Heroines, Hiro Kunimi, Hideo Tachibana, Hikari Amamiya, Haruka Koga.」と副題が付けられている。
国見 比呂(くにみ ひろ)
千川高校3年(開始当時:千川高校1年)。投手中堅手。右投げ・右打ち。物語の主人公。ひかりと野田は幼なじみで、英雄・ひかり・野田とは同じ青南中学校。中学時代から有名投手だったが、肘の故障を宣告され野球部のない千川高校に入学。誤診が判明し千川高校にて一からの甲子園出場を目指す。
橘 英雄(たちばな ひでお)
明和第一高校3年(開始当時:明和第一高校1年)。三塁手。右投げ・右打ち。明和第一高校野球部の4番バッター。比呂の親友でライバル。
雨宮 ひかり(あまみや ひかり)
明和第一高校3年(開始当時:明和第一高校1年)。比呂と野田の幼なじみ。中学時代に比呂の紹介で英雄と付き合うようになった。明和第一高校では弓道部に所属しており、夏季限定で明和第一野球部にもマネージャーとして籍を置く。
古賀 春華(こが はるか)
千川高校3年(開始当時:千川高校1年)。千川高校の野球部マネージャーで、古賀商事の社長令嬢。高校野球の大ファンで千川高校に野球部を創設させる立役者となり、甲子園を目指すという夢を比呂に再び与えるきっかけを作る。
書誌情報
単行本

あだち充 『H2』 小学館〈少年サンデーコミックス〉、全34巻
1993年1月15日初版第1刷発行、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}
ISBN 4-09-123151-9

1993年3月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123152-7

1993年6月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123153-5

1993年8月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123154-3

1993年11月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123155-1

1994年1月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123156-X

1994年4月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123157-8

1994年6月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123158-6

1994年9月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123159-4

1995年1月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123160-8

1995年4月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123501-8

1995年7月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123502-6

1995年8月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123503-4

1995年9月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123504-2

1996年1月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123505-0

1996年5月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123506-9

1996年7月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123507-7

1996年10月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123508-5

1997年1月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123509-3

1997年4月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-123510-7

1997年6月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125221-4

1997年9月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125222-2

1997年12月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125223-0

1998年3月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125224-9

1998年5月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125225-7

1998年8月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125226-5

1998年10月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125227-3

1999年1月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125228-1

1999年4月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125229-X

1999年7月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125230-3

1999年9月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125601-5

1999年11月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125602-3

2000年2月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125603-1

2000年4月15日初版第1刷発行、ISBN 4-09-125604-X


ワイド版

あだち充 『H2』 小学館〈少年サンデーコミックスワイド版〉、全17巻
2004年9月発行、
ISBN 4-09-127781-0

2004年10月発行、ISBN 4-09-127782-9

2004年11月発行、ISBN 4-09-127783-7


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