この項目では、ラテン文字のHとhについて説明しています。ギリシア文字のΗについては「Η」を、キリル文字のНについては「Н」を、キリル文字の?については「?」を、グルジア文字の?については「?」を、アルメニア文字の?については「?」をご覧ください。
Hh Hh
ラテン文字
Hは、ラテン文字(アルファベット)の8番目の文字。小文字は h 。ギリシャ文字のΗ(イータ)に由来し、キリル文字のИは同系である。
キリル文字のНは別字で、ラテン文字のNに相当する文字である。
字形筆記体ジュッターリーン体
はじめの字形がある。
2本の縦棒とそれを中央で結ぶ横棒から成る。大文字は普通この字形である。
右の縦棒の上半分を欠く。右の角は丸まり、左の交点も同じ方向に丸まる。小文字はこの字形である。フラクトゥールは H h {\displaystyle {\mathfrak {H\ h}}} のように、大文字、小文字ともこの字形である。
呼称
拉・独・蘭・洪・尼:ハー
仏: ache(アシュ)
伊: acca(アッカ)
西: hache(アチェ)
英: aitch(エイチ)/e?t?/
愛・豪: haitch(ヘイチ)/he?t?/
葡: aga(アガー)
羅: ha?(ハッシュ)
エス・典・諾・丁・芬:ホー
波・越:ハ
日:エイチ /e?it?i/、エッチ /e?t?t?i/、ヘイチ /he?it?i/、ヘッチ /he?t?t?i/
これらの呼称はラテン語「ha」→後期ラテン語 "aha" → "ahha" → "accha"→イタリア語 "acca"→スペイン語 "hache" → フランス語 "ache" → 英語 "aitch"
というような推移によるものと考えられている。
なお、英語名は、当初古いフランス語そのままにおおむね [a?t??] のごとく発音していたが、その後の規則的な変化(大母音遷移)により現在の音 [e?t?] になっている。現在の英語では一般に単音節語の -aCe を [-e?C] と発音する(ここで C は任意の子音とする)ものの、C にあたる位置に ch [t?] が立つ場合についてはほとんど例がないため、H [e?t?] を ache と綴ることは通常行われない。ache という綴りは [e?k] と発音する別の語彙に当てられている。 ギリシャ文字のΗ(イータ)に由来する。現在のΗやИが母音字なのに対し、このHが/h/を表すのは、Ηの古い音韻(ヘータと呼ばれ、/h/を表した)に基づくものである。
音価
ドイツ語や英語では原則として無声声門摩擦音/h/ないしその類似音を表す。ドイツ語では語頭以外で前に母音、またはt,rを伴うhは発音されない(複合語中のhは元の単語の発音に準ずる)。また、その前の母音を長く伸ばすように作用し、英語でもそうなる場合があり、この場合hの文字そのものは発音されない。
ドイツ語ではiの前で無声硬口蓋摩擦音[c]を表すこともある(例えばHitomiなど)。
ポーランド語や中国語のピンインでは無声軟口蓋摩擦音/x/を表す。
多くのロマンス語では発音されない。
フランス語では、「無音のh」と「有音のh」の2種類がある。両者とも単独では発音されることは無いが、有音のhで始まる単語はリエゾン・エリジオン・アンシェヌマンを起こさない(語頭以外のhはこの区別を考える必要は無い)。黙字#フランス語も参照のこと。
イタリア語では発音に関わらないhについては、英語のhaveに相当する動詞avereの活用、感嘆詞、外来語を除き、書かれなくなった。なお、hはcやgの後ろに置かれてcやgを/k/や/g/の発音に保つ働きを持つ。
例外的に、ルーマニア語では/h~x/で発音される。ch, ghはイタリア語と同じ。
多くの言語で、"ch", "ph" などのように他の子音字の後ろに置かれ、類似の別音を表す。摩擦音になることが多い。
他の子音字の後ろに置いて有気音を表すことがある。タイ語やヒンディー語などの有声無声の区別、有気無気の区別の両方がある言語のローマ字表記で使用される。
日本語のローマ字表記ではハ行の子音に用いる。但しヘボン式では「フ」の子音は他のハ行の子音と異なる為別の字 (F) を用いる。また、「ヒ」の子音も他のハ行の子音と異なるが、これには訓令式でもヘボン式でも他のハ行と同じHを用いる。オ段の長音の表記に使用する場合もある(佐藤→Satoh、妹尾→Senoh)。
朝鮮語のローマ字表記では初声の「?」に用いる。一般的ではないが、イェール式等、激音を示す為にも使用される表記法がある。
歴史
Hの意味
学術的な記号・単位
十七を意味する数字。二十進法など、十八進法以上(参照: 位取り記数法#Nが十を超過)において十七(十進法の17)を一桁で表すために用いられる。
大文字
水素の元素記号。
インダクタンスのSI組立単位、ヘンリー(大文字)。
電磁気学における磁場(磁界)の意。
熱力学におけるエンタルピーの意。
解析力学におけるハミルトニアンの意。
天気図における高気圧 (High pressure area) の意。
洋楽の、ドイツ音名の1つ、「ハー」。イタリア式では「si」、日本式では「ロ」、英米式や中国式では「B」に相当。→ロ (音名)
音階の7番目の音であることから、音楽関係者の間で7を表す隠語として使われる。例:H(ハー)万=7万(円)
大文字太字のHあるいは H {\displaystyle \mathbb {H} } は、数学において四元数 (Hamilton) の全体を表す。
コンピュータプログラムで数値リテラルが十六進数 (Hexadecimal) であることを示す接頭語または接尾辞。(例:マイクロソフト系BASICにおける「&HC9」、Z80のアセンブリ言語における「0C9H」)
接眼レンズの中で、ホイヘンス形式を表す。
真空管の端子の1つ。ヒータ (Heater)
(コ)ホモロジー
HQ9+において、Hello worldを出力する文字。
小文字
高さ (height) の量記号
100倍を表すSI接頭語のヘクト
時間(英: hour、仏: heure)を表す単位(小文字)。