H-IIIロケット
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H3ロケット[1]

20分の1模型
基本データ
運用国 日本
開発者JAXA三菱重工業[2]
使用期間2024年2月17日 - 運用中[3]
射場種子島宇宙センター吉信第2射点
打ち上げ数2回(成功1回)
打ち上げ費用約50億円[4]
(H3-30S/L)
公式ページJAXA宇宙輸送技術部門 H3ロケット
物理的特徴
段数2段[4]
ブースター0基, 2基, 4基[4]
総質量574t(H3-24L)
全長約63 m (H3-24L)[4]
直径約5.2 m[4]
軌道投入能力
太陽同期軌道4,000 kg 以上
(H3-30S/L)[4]
500km 円軌道
ロングコースト
静止移行軌道6,500 kg 以上
(H3-24S/L)[5][注 1]
近地点高度2,700 km / 20度 / 凾u=1500m/s
ISS軌道16,000 kg
(H3-24W)[6]
415km 円軌道
脚注
開発中のため、値は全て計画値。
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H3ロケット(エイチ・スリー・ロケット、短縮形:H3)[1]は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と三菱重工業H-IIA/Bロケットの後継機の次期基幹ロケットとして開発し、三菱重工が製造および打ち上げを行う、液体燃料ロケット使い捨て型ローンチ・ヴィークルである。2024年から運用開始。
概要

H3ロケットは、H-IIA/Bロケットと比較して、打ち上げ費用の削減、静止軌道打ち上げ能力の増強、打ち上げ時の安全性の向上、年間打ち上げ可能回数の増加を同時に達成して、宇宙開発における日本の自立性確保と同時に、商業受注で国際競争力のあるロケットを実現させるために開発される。また、年間打ち上げ可能回数の増加による産業力の維持、新規ロケット開発機会の提供による技術力の維持、老朽システムの更新も開発の目的である。2014年(平成26年)度から開発が開始され、総開発費は約2061億円[7]H-IIロケットを原型とした改良開発であったH-IIA/Bと違い、H3ロケットは新しい設計概念に基づいた、大型液体燃料ロケットとしてはH-II以来の新規開発ロケットとなる[4][8][9]

名称の「H3ロケット」は、大型液酸/液水ロケットの系譜であることや信用度を確保するため“H”(水素元素記号[10])を継承すること、設計概念をH-IIA/Bから根本的に見直したロケットであるためH-IICとはしないこと、IIと混同しない明確さと報道などでの実質的な認知度から”3”とすることを理由に決定された[4]。JAXAは正式な名称が決まるまで「新型基幹ロケット」という名称を用いており[2]、マスコミでは「次期基幹ロケット」[11]「次期主力ロケット」[12]とも呼ばれていた。

抜本的な打ち上げ費用の削減のため、日本では初めて、機体の設計・開発段階から民間企業(三菱重工)が主体的役割を果たしている。また、三菱重工が開発段階から絶えず受注活動も行い将来の打ち上げ機会を確保し続けることで、従来のようにロケットを受注してから生産に取り掛かるのではなく、ライン生産方式で絶えず生産が行われるようにして費用削減に繋げる。ロケットシステム全体を極力モジュール化し、第1段に新規開発エンジンを採用することも含めて全体にわたって新規技術の開発をすることで部品点数の削減に努め、民生部品の利用等も行ってさらに費用削減を進める。これらにより最小構成時の打ち上げ費用をH-IIAの半額の約50億円を目標としている。また、射場整備作業期間をH-IIAから半減させ、年間打ち上げ可能回数を6回に増加させる[4][9]

プロジェクトマネージャーのJAXAの岡田匡史は、このように開発段階から運用後の商業受注による事業継続を強く意識してロケットシステムを開発することを、「技術開発」ではなく「事業開発」であるとしている[9]

2023年3月7日に試験機1号機の打ち上げに臨んだが失敗し[13][14][15]2024年2月17日の試験機2号機の打ち上げで初めて衛星の軌道投入に成功し打ち上げに成功した[16]。(打ち上げ参照)
構成と諸元
主要諸元一覧

主要諸元一覧[17]段数(Stage)第1段固体ロケットブースター第2段衛星フェアリング
(S型/L型/W型)
全長37m14.6 m9.6m10.4 m/16.4 m[18]/16.4 m[6]
外径5.2 m2.5 m5.2 m5.2 m/5.2 m/5.4 m[6]
質量242302(4本)29TBA
使用エンジンLE-9SRB-3LE-5B-3?
推進薬重量217 t133.6 t(2本)
267.2 t(4本)23 t?
推進薬液体酸素
液体水素
(LOX/LH2)コンポジット固体推進薬液体酸素
液体水素
(LOX/LH2)?
推力[注 2]2,942 kN(300 tf)(エンジン2基)
4,413 kN(450 tf)(エンジン3基)約4,395 kN(約440 tf)(2本)
約8,630 kN(約880 tf)(4本)約137 kN(約14 tf)?
比推力425 sec283.6 sec448 sec?
有効燃焼時間205/307 sec105 sec740 sec?
姿勢制御方式TBATBATBA?
主要搭載
電子装置TBATBATBA?

構成と機体識別名称

H3ロケットの構成はペイロードの重量や投入軌道により第1段エンジンの基数と固体ロケットブースターの本数が異なり、第1段エンジン3基でブースター0本、第1段エンジン2基でブースター2本、第1段エンジン2基でブースター4本の3種類の組み合わせが設定される[19]。第2段は3種類とも共通で、フェアリングはそれぞれ大小2種類が用意される。機体識別名称は「H3」にハイフンをつけた後ろの1つ目の数字が第1段エンジンの基数、2つ目の数字がブースターの本数、3つ目のアルファベットがフェアリングのサイズ(S:ショート、全長10.4m L:ロング、全長16.4m)となる。例えば「H3-24L」だと第1段エンジン2基、ブースター4本、フェアリングLサイズの構成となる。具体的には主に以下のバリエーションが想定されている[19]。またHTV-X打上機として、フェアリングのロングの直径を5.2mから5.4mに拡大したワイド(W)を用いる「H3-24W」がある[20]

H3ロケットの構成[6]機体識別名称1段主エンジン機数固体ロケットブースタ本数フェアリングサイズ目標用途備考
H3-30S30ショートペイロードは太陽同期軌道に4トン以上。 打ち上げ費用50億円。主に官需ミッション機体最小形態
H3-22S22ショート高い競争力試験機1号機で使用した構成[21]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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