H-2A
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H-IIA
H-IIA23号機
基本データ
運用国 日本
開発者NASDAJAXA
三菱重工
運用機関NASDA(1 - 5号機)
JAXA(6、8、10 - 12号機)
RSC(7、9号機)
三菱重工(13号機以降)
使用期間2001年 - 現役
2024年度 退役予定[1]
射場種子島宇宙センター内吉信射点
打ち上げ数48回(成功47回)
開発費用1,532億円[2]
打ち上げ費用85 - 120億円
原型H-IIロケット
姉妹型H-IIBロケット
発展型H3ロケット
公式ページJAXA - H-IIAロケット
物理的特徴
段数2段
ブースター2基/4基
総質量289 t / 445 t(4基)
全長53 m
直径4 m
軌道投入能力
低軌道10,000 kg / 15,000 kg(4基)
300 km / 30.4度
太陽同期軌道3,600 kg(夏)/ 4,400 kg(夏以外)
800 km / 98.6度
静止移行軌道4,000 kg / 6,000 kg(4基)
250 km x 36,226 km / 28.5度
ロングコースト
静止移行軌道2,900 kg / 4,600 kg (4基)
近地点高度2,700 km / 20度 / 凾u=1500m/s
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H-IIA ロケット(エイチツーエー ロケット)は、宇宙開発事業団 (NASDA) と後継法人の宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と三菱重工が開発し三菱重工が製造および打ち上げを行う、人工衛星打ち上げ用液体燃料ロケット使い捨て型ローンチ・ヴィークル。日本の衛星打ち上げの自律性をになうロケットとして基幹ロケットに位置づけられる[3]。成功率は合計で97.91%になっている。JAXA内での表記は「H-IIAロケット」で、発音は「エイチツーエーロケット」であるが、新聞やテレビなどの報道では、「H2Aロケット」または「H-2Aロケット」と表記され、「エイチニーエーロケット」と発音をされる場合が多い[4]2001年から運用開始。
概要

H-IIAロケットは、先代のH-IIロケットを全体にわたって再設計して構造を大幅に簡素化し、一部に海外の安価な製品を利用をすることで、信頼性を高めながら急激な円高により失われたコスト競争力を回復させることを目的に開発された。また、開発中に起きたH-IIロケット5号機8号機の相次ぐ失敗や、H-IIAロケット6号機の失敗による信頼性の低下を回復するため、運用開始後にも改良が行われた。

1996年に開発が開始され[5]、開発費(H-IIからの改良開発費)は約1,532億円であった[2]。H-IIAと同じくH-IIを技術基盤とするH-IIBの開発費約270億円との合計は1,802億円であり、同じく前機種から改良開発されたデルタ IVの開発費2,750億円、アトラス Vの開発費2,420億円との比較でも安価に開発されているといえる[2]

打ち上げ費用は構成によって異なるが約85億円 - 120億円であり、H-IIロケットの140億円 - 190億円に比べると大幅に低減されている。静止トランスファ軌道への打ち上げ能力は4.0 - 6.0 tであり、H-IIロケットと同等 - 約1.5倍の能力である。

2001年夏に試験機1号機が打ち上げられて以来、48回中47回の打ち上げに成功している。2002年、「H-IIAロケット試験機1号機」が第33回星雲賞自由部門を受賞した。

2005年の7号機から40機連続で打ち上げに成功しており、打ち上げ成功率は97.9%。H-IIAの強化型バリエーションであるH-IIBロケットも含めると57回中56回の打ち上げに成功しており、打ち上げ成功率は98.2%(2024年1月12日時点)。原型のH-IIロケット(7回中5回成功)を含めた「H-IIシリーズ」全体としても、2021年の44号機の成功をもって国際水準と言われる95%を達成している。

当初、H-IIAロケットは2023年度に退役する予定であったが[6]、後継機のH3ロケットの初打ち上げが延期された[7]影響で、最新の宇宙基本計画工程表(令和5年度改訂)では2024年(令和6年)度の50号機の打ち上げを最後に退役予定となっている[1]
特徴

コア機体は、液体水素液体酸素を推進剤とする1段目・2段目を組み合わせた、2段式ロケットとなっている。打ち上げ時に十分な推力を得るために左右2基の固体ロケットブースタSRB-A)を有し、搭載する衛星・探査機等の質量に応じてさらにSRB-Aや固体補助ロケット(SSB)を追加して柔軟に対応する事ができる。複数の衛星を同時に打ち上げて、個別の軌道に投入する事もできる。

材質は、機体外壁と推進剤タンクとフェアリングがアルミニウム合金、SRB-AがCFRPであり、強度を確保したまま機体を軽量化するためにアルミ合金製の推進剤タンクの内面を格子状に彫り込んだアイソグリッド構造をしている[8]

基本的には H-II の設計コンセプトを踏襲するが、全体にわたり調達・組立・打上げ費用を下げるための見直しが行われている。また、部品技術の国産化にこだわらず、有利であれば輸入品も用いた。これは H-II で国産化にこだわったことから後退しているように見えるが、技術を習得したからこそ有利に購入できる(技術がなければ言い値で購入するしかないが、技術があればコストメリットがないなら購入しないという選択ができ、交渉の主導権を握ることができる)という面もあり、自主技術を持つことには一定の意義がある。また、部品点数・作業工程の低減は信頼性の向上にも貢献する。これらの費用改善を行った結果、H-IIロケットで最高約190億円であった打ち上げ費用を、世界市場の相場である100億円未満まで下げることができた。H-IIAロケット202型の部品総点数は約100万点[9]

H-IIからの主な変更点を以下に記す。

第1段エンジンLE-7Aの液体燃料配管系の簡素化による部品点数・溶接箇所など作業工程削減。

第1段推進剤タンクドーム(両端の半球形状の部分)を、H-IIでの溶接組立から、輸入品の一体成型品に変更。

第2段エンジンLE-5Bも推進力の向上とともに部品点数・作業工程の低減。H-IIロケット5号機の事故で問題となったろう付けの施工箇所なども大幅削減されている。

第2段推進剤タンクを一体型から独立型に変更。一体型だと隔壁を通して保存温度の異なる液体水素液体酸素が接するため温度管理が複雑になっていた。また第2段推進剤タンクはデルタIIIロケットの第2段や、デルタIVロケットの4 m型第2段と共通で、いずれも液体水素タンクを三菱重工業が、液体酸素タンクと液体水素タンク・ドームをボーイング(旧マクダネル・ダグラス)が製造している[10]

固体ロケットブースタを4分割構造から一体型に変更したうえ、ストラットを追加して推力を第1段の最下部に伝達する構造に変更し、第1段の簡素化も図った。

1/2段の段間部をアルミ合金から炭素繊維複合材と発泡材のコアによるサンドイッチ構造に変更し軽量化[11]

搭載電子機器の小型・軽量化と配線のデータバス化による配線数の削減。

アンビリカル(地上設備とロケットを接続する管や配線)を、H-IIでは射座点検塔(PST、射点脇の構造物)と接続していたが、H-IIAでは移動発射台(ML)と接続するように変更した。

人工衛星の取り付けを、H-IIでは射点で行っていたが、H-IIAでは大型ロケット組立棟(VAB)で行うこととした。

前述のアンビリカルおよび衛星搭載場所の変更により、H-IIAは大型ロケット組立棟(VAB)でアンビリカル接続と衛星搭載の双方を終えて、打ち上げ半日前に大型ロケット組立棟(VAB)から射点へ移動すれば良いことになった。また、H-IIは衛星を外さなければ大型ロケット組立棟(VAB)に戻ることができなかったが、H-IIAは打ち上げが中止されても短時間で大型ロケット組立棟(VAB)に戻ることが可能になった。

射点設備が大幅に簡素化され、H-II用に建設された第一射点には、アンビリカル接続や衛星取付を行い、観音開き式にロケット全体を格納することもできる射座点検塔(PST)と呼ばれる構造物が建設されたが、H-IIA用に増設された第二射点は、気象観測用の簡素な塔を設置するだけで済んだ。第一射点の射座点検塔(PST)はH-IIAでは使用しないため、観音開き式の部分を撤去した上で、打ち上げ時の機体監視用カメラの設置や、打ち上げ号機の掲示などに使用されていたが、老朽化が進んだため2010年11月から2011年3月にかけて解体された[12]

構成と諸元
主要諸元一覧

H-IIAロケット主要諸元一覧段数(Stage)第1段固体ロケットブースタ
(1本あたり)固体補助ロケット
(1本あたり)第2段衛星フェアリング
(4S型)
全長37.2 m15.2 m14.9 m9.2 m12.0 m


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