Green500
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Green500(グリーン500)は、TOP500ランキングの各ベンチマーク値をその消費電力で割った値による、電力効率の良い高性能計算の実現を評価するランキング、およびその一覧をメンテナンスしているプロジェクトである[1]。メディアでは『スーパーコンピュータにおけるグリーンITの指標の1つ』『スーパーコンピュータの省エネ性能ランキング[2]。』などと呼ばれることがある。
概要

Green500は2005年4月に発足し、2007年よりバージニア工科大学によってランキング発表が開始された。2008年は年3回発表されたが、2009年から2015年まではInternational Supercomputing Conference(ISC)でのTOP500ランキング発表後となる6月・11月の年2回に発表されていた。2016年以降はISCにてTOP500と同時に発表されている。

主な指標は、消費電力当たりの倍精度でのLINPACK測定性能(単位は「FLOPS/ワット」(FLOPS-per-Watt))を使用している。このLINPACK測定性能値はTOP500測定値を使用している。

2015年11月期まではTop500とGreen500は別々の尺度で評価されており、同じシステムでもTOP500のランキングを出す際は最もLINPACK実行性能が高くなるようなチューニングで、Green500のランキングを出す際は最もエネルギー消費効率が高くなるようなチューニングで測定が行われていた。しかしハイパフォーマンス志向のスーパーコンピュータでもエネルギー消費効率が重要になるとの見地から、2016年6月期よりGreen500はTOP500と統合され、Green500とTOP500は同一の設定で測定されるようになった。また、Green500のランキングはTOP500にランクインしたシステムの中から選ばれるようになったため、Green500の上位に入るように省エネに割り振ってチューニングする時でも、必ずTop500圏内に入るようなある程度の絶対性能を持つことが必要となった[3]

Top500では国家の威信をかけて膨大な国家予算を投入して制作されたシステムが上位にランクインする傾向がある。一方、Green500では電力効率が指標となるため、小規模なシステム[4]なども上位にランクインしている。こうしたクラスのシステムは納入直後以外はTOP500に参加しなかったりTOP500から脱落する場合があるため、上位であったシステムが次の時期になると早々にランキングから消えていることがある。
電力の測定方法

かつては顧客への納入前にベンダー側で計測してカタログに記載した値(カタログスペック)をGreen500に提出することが認められていた。このためGPUやサーバーの新製品の発売とGreen500のランキングの集計が被った時は、納入先や納入規模は違っても全く同一のスペックのシステムがランキングの上位を占めていることがあった(2015年11月期の6位から10位を占めたInspurのサーバー機、2012年6月期の上位20位を独占したIBMのサーバー機など)。

2016年1月に電力の測定方法が改訂された[5]。コンピュートノードの1/10以上の消費電力を実測し、そこにネットワーク機器の消費電力の推測値を加えた「レベル1」、ノードの1/8以上の消費電力を実測し、そこにネットワーク機器およびネットワーク以外の関連する機器の消費電力の推測値も加えた「レベル2」、システムの全ての機器の消費電力を実測した「レベル3」のレギュレーションが定められ、実測を伴わないカタログスペックの提出は「レベル0」として禁止された。

「レベル1」の計測方法で提出したシステムは、「レベル2」や「レベル3」で提出したシステムよりもGFlops/Wが高くなる傾向があることから、不公平であるという指摘があり、主催者側ではなるべく「レベル2」か「レベル3」のデータを提出することを推奨している。しかし大規模なシステムでは全システムの消費電力の計測を行うのは難しい場合もあることから、現状では「レベル1」の計測方法でも特にペナルティはない。
電力効率の変遷

首位の計算機の電力効率 (GFLOPS/W)

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現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。

Green500リスト

Green500リストは「The Green List」とも呼ばれ、各回上位の順位、性能、設置場所、システムは以下の通り。

性能の指標は2017年6月期以降はGFLOPS/W(ギガフロップス/ワット)、それ以前はMFLOPS/W(メガフロップス/ワット)。
2022年5月

2022年5月に発表されたGreen500リストの上位5位は以下の通り[6]。CPUにAMD EPYC、アクセラレータにAMD INSTINCT MI250Xが使われたCray EX235aシステムが上位4位までを独占した。前回1位だった日本のPreferred Networks社の独自開発アクセラレータを搭載したMN-3は5位となった。

1 62.684 (アメリカ、オークリッジ国立研究所Frontier TDS)

2 52.227 (アメリカ、オークリッジ国立研究所Frontier)

3 51.629 (フィンランド、EuroHPC/CSC、LUMI)

4 50.028 (フランス、GENCI、Adastra)

5 40.901 (日本、Preferred NetworksMN-3)

2021年11月

2021年11月に発表されたGreen500リストの上位5位は以下の通り[7]。前回1位だったPreferred Networks社のMN-3がさらに効率を上げて2連覇。

1 39.379 (日本、Preferred NetworksMN-3)

2 33.983 (韓国、サムスン電子、SSC-21 Scalable Module)

3 31.538 (アメリカ、NVIDIA社、Tethys)

4 30.797 (イギリス、ケンブリッジ大学、Wilkes-3)

5 29.521 (アメリカ、フロリダ大学、HiPerGator AI)

2021年6月

2021年6月に発表されたGreen500リストの上位5位は以下の通り[8]


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