Girl/ガール
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Girl/ガール
Girl
監督
ルーカス・ドン
脚本ルーカス・ドン
アンヘロ・テイセンス
製作ディルク・インペンス
出演者ヴィクトール・ポルスター(英語版)
音楽ヴァランタン・アジャジ
撮影フランク・ファン・デン・エーデン
編集アラン・ドゥソヴァージュ
製作会社Menuet Producties
Frakas Productions
Topkapi Films
配給 リュミエール
クロックワークス/STAR CHANNEL MOVIES
公開 2018年5月12日 (カンヌ映画祭)
2018年10月17日
2019年7月5日
上映時間106分[1]
製作国 ベルギー
言語フラマン語
フランス語
製作費?1,500,000[2]
興行収入 $4,160,282[3]
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『Girl/ガール』(Girl) は、2018年ベルギーのドラマ映画。ルーカス・ドンの長編監督第一作であり、ドンとアンヘロ・テイセンスが脚本を執筆した。本作が俳優デビューとなるヴィクトール・ポルスター(英語版)を主演に、プロのバレリーナを目指すトランスジェンダーの女性を描く。
概要

映画は第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門で披露され、新人監督賞にあたるカメラ・ドールと、LGBTをテーマにした作品に贈られるクィア・パルムを受賞した。ポルスターはある視点部門の俳優賞を受賞した[4]。映画は第91回アカデミー賞外国語映画部門のベルギー代表に選ばれたが、12月の最終候補リストを前に落選した[5]。第9回マグリット賞(英語版)では9部門にノミネートされ4部門で受賞を果たした。

本作の着想となったのは、ベルギー出身のトランス女性ダンサーであり、本作の製作過程にも関わったノラ・モンスクールである。本作はもっぱらシスジェンダーの批評家からは高い評価を得たものの、トランスジェンダーやクィアの書き手から性別違和や自傷の描写に関して批判された[6]。批判を受けてモンスクールは映画を擁護している。
ストーリー

プロのバレリーナになることを目指す15歳のトランスジェンダーの少女ララは、フランス語が母語の理解ある父親マティアス、そして弟とともに、ダンス学校へ通うためフラマン語圏の町に越してくる。性別適合手術を予定しておりホルモン補充療法を受けているララは、治療が遅々として効果を上げないことに不満を覚えている。学校では、バレエの練習中はペニスをテープで覆い隠し、またクラスメートの差別的な言動に晒される。テーピングのため陰部は炎症を起こし、ララは医師から手術の延期を宣告される。耐え切れなくなった彼女ははさみでペニスを切り落とす。いくばくか後、街中を歩くララを映して映画は幕を閉じる。
キャスト

※括弧内は日本語吹替[7]

ララ: ヴィクトール・ポルスター(英語版)(鈴木裕斗

マティアス: アリエ・ワルトアルテ(フランス語版)(伊藤健太郎

ミロ: オリヴェール・ボダール(神戸光歩

ルイス: タイメン・ホーファーツ(小野寺悠貴

ナート先生: カテライネ・ダーメン(オランダ語版)(所河ひとみ

パスカル先生: ファレンタイン・ダーネンス(フランス語版)

クリスティーヌ: マガリ・エラリ

ロイス: アリス・ド・ブロクヴィル

アラン: アラン・オノレ

ハンナ: クリス・ティス(オランダ語版)

ヘンドリックス: アンヘロ・テイセンス

マリー・ルイーズ: マリー=ルイーズ・ウィルデリックス

アランの助手: ヴィルジニア・ヘンドリックセン

製作パリで行われた『Girl/ガール』の上映に登壇したヴィクトール・ポルスターとルーカス・ドン。

本作の着想となったのはベルギー出身のトランス女性ダンサー、ノラ・モンスクールである[8]。2009年、当時18歳で映画学校の新入生であったドンは、モンスクールが所属するバレエ学校でポワントを学べるよう女子クラスに編入することを求めたことを報じた新聞記事を目にした[9][10][11][12][13]。映画の主人公と異なり、モンスクールは女子クラスへの編入を断られ、その後バレエからコンテンポラリー・ダンスに軸足を移した[14]。ドンは当初モンスクールにドキュメンタリーの制作を打診したが、彼女がこれを断ったため、ドンはモンスクールおよびテイセンスと劇映画の執筆を開始した。本人の希望によりモンスクールは脚本のクレジットに残らなかった[9][10]。ドンは本作のためモンスクールや他のトランスジェンダーの人々、および医療従事者に取材を行った[8][15][12]。モンスクールも治療を受けたゲント大学病院(英語版)の医師たちは、性別移行の重要な時期にあたるとしてトランスの女の子は起用しない方がよいと忠告した[16]

主役のキャスティングは演者のジェンダー不問で行われた。14?17歳の約500人(うち6人がトランス女性)がオーディションを受けたが、演技とダンスの技術を十分に兼ね備えた俳優が見つからなかったため、製作陣は映画に登場する他のダンサーを先に配役することに決めた。このグループキャスティングの過程で見出され主演に抜擢されたのがポルスターである[11][12][16]。モンスクールはポルスターの配役に関わり、また撮影現場を訪れた[10]。ポルスターは3か月にわたって発声やトウシューズを使ったダンスの訓練を受けた[16]。撮影には両親の了承の下、当時14歳のポルスターのヌードシーンが含まれた。その際には顔と下半身が同一画面内に映らないよう注意が払われた[17]。フランドル王立バレエ団(英語版)の芸術監督シディ・ラルビ・シェルカウイが振り付けを担当した[16]
公開

『Girl/ガール』は2018年5月12日、第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門で初上映された[18]。同月、Netflixが北米およびラテンアメリカにおける同作の配給権を獲得した[19]。Netflixは当初2019年1月18日の配信開始を予定していたが[20]、2019年3月15日に延期された[21]。配信時には「この映画は繊細な題材を扱っており、性的な内容、露骨なヌード、自傷行為が含まれます」という警告がトレヴァー・プロジェクト(英語版)の自殺防止ホットラインなどの情報を提供するウェブサイトへのリンクとともに掲示された[22]
評価
批評家の反応

Rotten Tomatoesは47件の批評に基づき、高評価の割合を85%、評価の平均を7.59/10、批評家の総意を「『Girl/ガール』はダンサー志望者の物語を、相応に魅力的な品位をもって困難なテーマに取り組む痛ましいドラマに用いている」としている[23]Metacriticは14件の批評に基づき74/100という「概ね好評」の加重平均値を示している[24]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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