GeForce GTX 700 Seriesは、Keplerアーキテクチャまたは第1世代Maxwellアーキテクチャを採用する、ミドルレンジからハイエンドクラスの2013年後半 - 2014年前半の製品群である。
Keplerアーキテクチャでは192基のCUDAコアでSMXを構成していたのに対し、Maxwellアーキテクチャでは128基のCUDAコアでSMM (Maxwell Streaming Multiprocessor) を構成。128基のCUDAコアを4つのプロセシングブロックに分割し、32個のCUDAコア毎にシンプルな制御ロジックを配置、L2キャッシュを大幅に増加させたことで、コア当たりのパフォーマンスが35%向上、電力効率は2倍になったという[54]。
GTX 760以上でDisplayPort 1.2出力端子を標準で搭載し、4Kモニタの60Hz表示に対応する。GTX 750 Ti以下ではDisplayPort出力端子は標準で搭載されず、HDMI 1.4出力で4Kモニタの30Hz表示までの対応となる。(GTX 750/GTX 750 TiでDisplayPort 1.2出力端子を搭載する製品もある)
製品名コア名 (プロセス)コアクロック ハイエンドの中でもさらに最上位クラスの製品ブランドとして、GeForce GTX TITAN Seriesが追加された。ただし、製品世代としては、GeForce GTX 700シリーズと同列である。 GeForce GTX TITANシリーズのGK110コアのSMXの中には64基の倍精度演算ユニットも搭載されている。倍精度演算ユニットは、GK104コアの単精度演算ユニットによる倍精度演算の8分の1のクロック数で倍精度演算するが、コアクロックの8分の1のクロック速度で動作している。これをNVIDIA Control Panelの設定を変更することで、コアと同クロックで動作させられるように変更できる。この倍精度浮動小数点演算のフルスピードモード化機能を「DPフルスピードモード」と呼ぶ。但し、DPフルスピードモード時は消費電力が上がり、コアクロックが抑えられるため、実際の倍精度演算性能は理論値の8倍には届かない。
[Boost]
(MHz)コア数メモリフィルレート[注釈 5]FLOPS[注釈 5]SLI消費電力
(W)補助電源接続
SMCUDATMUROPL2タイプクロック
(GT/s)バス幅
(bit)帯域
(GB/s)容量
(GB)ピクセル
(GPix/s)テクセル
(GTex/s)単精度
(TFLOPS)
GeForce GTX 745 (OEM)GM107 (TSMC 28 nm)1033338424162 MBDDR31.812828.82 / 416.524.80.79×55?PCIe 3.0
×16
GeForce GTX 7501020 [1085]451232GDDR5580.21 / 216.332.61.04
GeForce GTX 750 Ti5640405.486.42 / 4[55]40.81.3160
GeForce GTX 760 (192bit) (OEM)GK104 (TSMC 28 nm)824 [889]611529624384 KB5.61921341.5 / 319.879.11.903-way1306pin
GeForce GTX 760980 [1033]32512 KB62561922 / 431.494.12.261706pin×2
GeForce GTX 760 Ti (OEM)915 [980]71344112229.31022.46
GeForce GTX 7701046 [1085]8153612872242 / 433.51343.212308pin+6pin
GeForce GTX 780GK110 (TSMC 28 nm)863 [900]122304192481.5 MB63842883 / 6[56]41.41663.98250
GeForce GTX 780 Ti875 [928]1528802407336342.02105.044-way
GeForce GTX 700 Series の製品
GTX 745 (OEM)
DELLのOEMモデル(ロープロファイル、4 GB)とFujitsuのOEMモデル(2 GB)が存在する。クリエイター向けのQuadro K620と同様に、SMX 5基中の2基が無効化され、DDR3メモリを搭載するが、こちらはGPU Boostは非対応。下位のGK208コアのGTX 730、GK107コアのGTX 740と比べて、TMUの数が3/4となるため、テクセルフィルレート(texel fill rate)は低くなる。
GTX 750、GTX 750 Ti[57]
2014年2月18日発表。第1世代MaxwellアーキテクチャのGM107コアを採用するエントリーミドルレンジモデル。L2キャッシュを2 MB搭載する。GTX 650 Tiの後継としてGTX 660の下位に位置付けられる(GTX 660はUEFIに対応して存続)。電力効率に優れたMaxwellアーキテクチャの採用により消費電力は半減し、補助電源が不要となった。同年5月にはロープロファイル対応の製品も発売された。GTXクラスの最下位モデルの性能は、GTX 460 SE (150 W) →GTX 550 Ti (116 W) →GTX 650 (64 W) でほぼ変わらなかったが、GTX 750 (55 W) によって約1.65倍に大きく底上げされた。GTX 750 Ti (60 W) の性能はGTX 650の約1.9倍で、GTX 650 Ti BOOST (134 W) と同程度となった。その低価格と低消費電力から2017年初頭まで人気は続いた。(最終的にGTX 750 Tiの価格は9,000円程度まで下落した)
GTX 760[58]
2013年6月25日発表。GTX 660 Tiの後継と位置付けられ、GTX 660 Ti、GTX 670と同じGK104コアを採用する。GTX 660 TiはGTX 670からメモリバス幅が192bitに抑えられていたのに対し、GTX 760はGTX 670からSMX 1基が無効化され、コアクロックが引き上げられている。性能はGTX 660 Tiと同程度だが[59]、消費電力が高い。
GTX 770[60]
2013年5月30日発表。GTX 680の後継と位置付けられ、GTX 680と同じフルスペックのGK104コアを採用し、8基のSMXで4基のGPCを構成する。GDDR5メモリはGTX 680の6.0 Gbps品から7.0Gbps品に変更されたが、消費電力が上がって6ピン補助電源と8ピン補助電源が1系統ずつ必要になった。
GTX 780[61]
2013年5月23日発表。GTX TITAN Black同じGK110コアを採用するが、SMX 15基中の3基が無効化されている。GeForce TITANシリーズにあった「DPフルスピードモード」は利用できない。
GTX 780 Ti[62]
2013年11月7日発表。GTX TITAN Blackと同じフルスペックのGK110コアを採用し、15基のSMXで5基のGPCを構成する。GeForce TITANシリーズにあった「DPフルスピードモード」は利用できない。
GeForce GTX TITAN Series