GeForce 400 Series(ジーフォース・400・シリーズ)は、2010年3月27日に発表された、GeForceシリーズの第11世代製品群である。NVIDIAのグラフィックスチップとしては初めてDirectX 11に対応し、また、GPGPUへの最適化が進められた製品である。開発コードはGF100(GT300という開発コードで呼ばれていた時期もあった)。これはGeForce/Fermi第1世代を意味する。
FermiアーキテクチャではGF100コアとGF110コアで32基、その他のコアで48基のCUDAコアでSM (Streaming Multiprocessor) 構成する。シェーダクロック倍速機能により、シェーダコア部分のクロックはメインコアクロックの2倍速になっている。
製品名コア名 (プロセス)コアクロック
(CUDA)
(MHz)コア数メモリフィルレート[注釈 5]FLOPS[注釈 5]SLI消費電力
(W)補助電源接続
SMCUDATMUROPL2
(KB)タイプクロック
(GT/s)バス幅
(bit)帯域
(GB/s)容量
(GB)ピクセル
(GPix/s)テクセル
(GTex/s)単精度
(TFLOPS)
GeForce GT 420 (OEM)GF108 (TSMC 40 nm)675 (1350)14884256DDR31.812828.822.705.400.13×50?PCIe 2.0
×16
GeForce GT 430700 (1400)2961612.8011.20.2749
GeForce GT 440 (DDR3)810 (1620)1 / 23.2413.00.3165
GeForce GT 440 (GDDR5)GDDR53.251.20.5 / 1
GeForce GT 440 (OEM)GF106 (TSMC 40 nm)594 (1189)31442424384DDR31.819243.21.5 / 314.314.30.342-way56
GeForce GTS 450783 (1566)41923216256GDDR53.612857.7112.525.10.601066pin
GeForce GTX 460 SEGF104 (TSMC 40 nm)650 (1300)628848325123.425610920.831.20.751506pin×2
GeForce GTX 460 (768 MB)675 (1350)733656243843.619286.40.7516.237.80.91
GeForce GTX 460 (1 GB)32512256115121.6160
GeForce GTX 465GF100 (TSMC 40 nm)607 (1215)11352443.210319.426.70.863-way200
GeForce GTX 4701444856406403.353201341.2524.334.01.09215
GeForce GTX 480700 (1401)1548060487683.73841771.533.642.01.342508pin+6pin
GeForce 400 Series の製品
GT 420 (OEM)
2010年9月3日(日本時間)Webサイトにて発表。Fermiアーキテクチャの下位モデルで、GF108を採用した製品。
GT 430
2010年10月11日(日本時間)発表。GT 420と同じFermiアーキテクチャの下位モデルで、GF108を採用した製品。
GT 440
2011年2月1日(米国時間)発表。GT430のオーバークロック版。GDDR5メモリにも対応。
GTS 450
2010年9月13日(日本時間)Webサイトにて発表。Fermiアーキテクチャのバリューモデルである、GF106を採用した製品。GF106はGF104のちょうど半分のスペックのコアである。リファレンスモデルで6ピン補助電源が1系統で済む製品はGeForce 400シリーズで初。OEM版も存在するがスペックは異なる(CUDAコアなどが削減されている)。なおMicrosoft Expression Encoder 4 でのCUDAによるGPUエンコーディングを使用する際には、通常のPCを使用した1ストリームのMP4エンコードの場合で1 GBのメモリーと128以上のCUDAコアを持つGPUが推奨となっており、現在の製品ラインアップではGTS 450/GTX 550以上が推奨スペックとなる[33]。
GTX 460 SE
2010年11月15日(米国時間)発表。GTX 460 (1 GB) からSM 1基が無効化されている。
GTX 460 (768 MB)、GTX 460 (1 GB)
2010年7月12日(日本時間)NVIDIAウェブサイトにて発表と同時に販売開始。FermiアーキテクチャであるGF100の派生コア、GF104を初めて採用した製品。GF100とGF104の相違点は以下のとおりである。
GPC数が4基から2基に半減
一つのSM当たりのCUDAコア数が32基から48基に増加、テクスチャマッピングユニット (TMU) が4基から8基に倍増
ROPパーティション(ROPユニットが8基まとまったもの)が6基から4基に削減
メモリバス幅が384bitから256bitに削減
GF104のフルスペックはCUDAコアが384基、テクスチャユニットが56基、ROPユニットが32基、メモリバス幅が256bitであるが、GF100採用製品と同じ様に歩留まり向上の為にCUDAコアが336基に削減されている。更に768 MB版はメモリ周りもメモリコントローラとROPパーテーションが1基ずつ(つまりはメモリバス幅64bit分、ROPユニットで8基)削減されている。仕様変更により、GF100に比べて、DirectX 9、10世代のアプリケーションでのパフォーマンスが向上し、768 MB版ではGTX 465に匹敵、1 GB版ではGTX 465を上回る性能となっている。どちらのモデルも6ピン補助電源が2系統必要であるが、消費電力はGTX 465に比べて大きく減少し、メーカーオリジナルデザインであれば768 MB版は6ピン補助電源1系統の製品も存在する。カードサイズも短小化され、取り回しが容易になっている。
GTX 465
2010年5月31日(台湾時間)COMPUTEX TAIPEI 2010開幕前日に開催した報道関係者向け説明会にて発表。FermiアーキテクチャであるGF100を採用した製品。歩留まり向上の為に、GTX 470から更に一部のCUDAコア等が無効化されている。Point of View GeForce GTX 480
GTX 470、GTX 480
2010年3月27日(米国時間)発表。NVIDIAのGPUとして初めてDirectX 11に対応した。その構造は、CUDAコアを32基、超越関数ユニット (SFU) やキャッシュ、テクスチャマッピングユニッ ト(TMU) を4基、頂点処理エンジン(PolyMorph Engine、いわゆるテッセレーター)が1基で、Streaming Multi-Processor (SM) という最小構成単位を形作り、SMが4基集まってGraphics Processing Cluster (GPC) というミニGPUを構成している。GF100は4基のGPCでクラスタ化された構造を持ち、クアッドコア的な構成となっている。GF100のフルスペックなCUDAコアは512基であり、GTX 470、GTX 480の両方で歩留まり向上の為に一部のCUDAコアが無効化されている。本来はこの世代で倍精度演算が大幅に強化される予定であったが、予定の1/4の性能にとどまっている(ただしこれでも前世代のGeforceを多少上回っている)。今後発売予定のTeslaでは計画通りの性能を発揮できるようになる予定である。前世代のハイエンドであるGT200系のチップに比べ、ピクセルシェーダー機能の性能向上は押さえられ、頂点シェーダー機能が大幅に強化された(GTX 280はGeForce FX 5800に比べ、ピクセルシェーダーの性能は150倍になった一方で、頂点シェーダーの性能は3倍にも達していなかった)。これは、GF100がDirectX 11の新機能であるテッセレーションに最適化されている為である。また、GeForce FXシリーズの教訓から、GeForce 6シリーズより続いた、ハイエンドは枯れたプロセスで生産する原則を破り、TSMCの最新プロセスである40 nmプロセスを採用している。GTX 480は非常に発熱が激しく、基板に吸気口を持ち、ヒートパイプを利用した特徴的なGPUクーラーを採用している。GTX 480は消費電力の公称値は250 W[34]となっているが、フルロード時に消費電力が300 W近くになるという動画やレビューが日本国外で掲載されている[注釈 6](なお、電源供給は6ピン補助電源と8ピン補助電源の2系統と、PCI-Expressスロットからの給電で合計300 Wになるので、電力不足になる事はない)。
GeForce 500 Series「en:GeForce 500 series」も参照
GeForce 500 Series(ジーフォース・500・シリーズ)は、2010年11月9日に発表された、GeForceシリーズの第12世代製品群である。Fermi第2世代のGF11xコアを採用しているが、コアのアーキテクチャは前世代とほぼ同じである。
製品名コア名 (プロセス)コアクロック
(CUDA)
(MHz)コア数メモリフィルレート[注釈 5]FLOPS[注釈 5]SLI消費電力
(W)補助電源接続
SMCUDATMUROPL2
(KB)タイプクロック
(GT/s)バス幅
(bit)帯域
(GB/s)容量
(GB)ピクセル
(GPix/s)テクセル
(GTex/s)単精度
(TFLOPS)
GeForce 510 (OEM)GF119 (TSMC 40 nm)523 (1046)14884128DDR31.86414.41 / 22.094.180.10×25?PCIe 2.0