GOTHICMADE+ゴティックメード+-花の詩女-
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花の詩女 ゴティックメード
GOTHICMADE
監督
永野護
脚本永野護
原作永野護
製作井上伸一郎
ナレーター榊原良子
出演者川村万梨阿
佐々木望
音楽長岡成貢
主題歌川村万梨阿「空の皇子 花の詩女」
製作会社オートマチック・フラワーズ・スタジオ
角川書店
配給角川書店
公開 2012年11月1日
2022年11月1日(リバイバル)
上映時間70分
製作国 日本
言語日本語
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『花の詩女 ゴティックメード』(はなのうため ゴティックメード、GOTHICMADE)は、2012年11月1日劇場公開の日本アニメーション映画作品。当初は、『GOTHICMADE ゴティックメード-花の詩女-』という名称で宣伝されていた。キャッチコピーは「氷の女王・カイゼリン、それは美しくも恐ろしい」。
概要

原作・監督・脚本・絵コンテ・レイアウト・原画・全デザインを永野護が担当した[1][2]

月刊ニュータイプ』2006年5月号から3か月連続で製作発表を行い、以後公開までに約6年を要している。企画発表時から長らく『GOTHICMADE ゴティックメード -花の詩女-』の題名であった。

巨大戦闘ロボットと少年と少女との出会いという単純な物語であることは明かされたが、その具体的内容は公開まで極力隠す方針がとられた。これほど情報漏洩がされなかった映画は、SNS登場後の映画界では異例となる存在であり、それだけ情報統制がされていた。当初は配信形態未定の30分程度となる予定だったが、公開延期を繰り返し、最終的には70分の劇場版長編アニメーションとして完成した。公開時期の変遷により、2012年春の公開の予告に合わせて角川書店65周年記念作品との名目を与えられたが、公開は同年秋への延期を経て11月1日と決定された。

メインの作画スタッフが3人と、劇場版アニメーションとしては異例とも言える少人数である。また、セルや背景美術の素の色彩の美しさを見せたいという意向で制作当時ではまだ珍しかった12K解像度(2018年末の監督舞台挨拶にて、この映画が4Kではなく12K、総容量1.5テラバイトであることが明かされた)を採用したり、カイゼリンの駆動音にIHIジェットサービスの協力を得るなど、随所に永野のこだわりが反映されている。そのため、2013年11月現在の一般家庭ではオリジナル版の解像度で視聴する術がない。

音楽は長岡成貢が担当。永野が、妻である川村万梨阿が出演と主題歌(エンディング)の歌唱を担当していたOVA作品『神秘の世界エルハザード2』で音楽を担当していた長岡を気に入り、この作品の企画に着手した時点で彼を起用することを決めていた。また、本作品のストーリーは2004年に催された第22回斎王まつりに作曲家とボーカリストとして参加した長岡と川村に永野が同行した際、斎宮からの着想で決定した。

2012年10月10日発売の『ファイブスター物語』期間限定スペシャルプライス版BDには、本作品についてのスペシャルガイドDVDが特典として同梱された[3]

永野による漫画作品『ファイブスター物語』の連載を休止して制作が行われてきたが、設定や登場人物などには同作品と共通する部分も多く、スピンオフとも窺える内容となっている。上映館での観覧者には、週替わりで登場キャラクターの絵柄とトランプスートの入ったカード(ハート:詩女・ベリン、スペード:皇子・トリハロン、ダイア:ツバンツヒ、クラブ:マウザー)が1枚配られる。上映館にて1800円で販売されている『ファイブスター物語トランプ』のエクストラカードとして、その裏面には『ファイブスター物語』のロゴが印刷されている。この配布ルールに沿った配布が行われていたのは初期だけで、上映期間が4週未満の上映館では全種の配布は行われない、上映館での公開日から配布自体が行われていない館もあり、その一方で割当数を配布してしまった上映館の中には代替品を配布する館もあった。

なお、『ファイブスター物語』は2013年4月に従来の設定を大幅に改変し、本作品の設定を引き継ぐ形で9年ぶりに連載を再開した。これに伴い、本作品中の出来事も『ファイブスター物語』の年表に 星団暦451年ロードヘリオシスの戦い(FSS13巻) と記載される。

原作者の意向によりソフト販売や配信はされていないが、公開10周年を迎え2022年11月1日-10日にかけて東京・TOHOシネマズ 新宿ほか全国約50館でリバイバル上映[4]
ストーリー

「茜の大地」とも呼ばれている惑星連合の管理下にある植民惑星「カーマイン・プラネット」で、詩女を継ぐことになった少女ベリンは、最初の公務として生まれ故郷からその任地、聖都「ハ・リ」への都行という任務により旅立った。出発間際、ベリンを狙ったテロ計画から一行を警護するとして現われた戦艦シワルベを率いて現れたドナウ帝国の第三皇子トリハロンが、ベリンたち一行に同行することになる。
登場人物

※カッコ内の名前はキャスト紹介時及びワールドガイド、DESIGNS4、FSS13巻にて明かされた別呼称
ベリン・アジェリ(ベリン・ラーン アジェリマグダル・ユニオV 花の詩女ラーン)
- 川村万梨阿本作の主人公。16歳(※地球人相当年齢)で詩女(うため)として「誕生」した少女。身長158cm。アジェリは本名ではなく、生まれ故郷の地名アジェリ地方に由来し、ベリンの生地の村人からベリン・アジェリと呼ばれている。詩女のしきたりに従い故郷で1年間の詩禊(うたみそぎ)と呼ばれるを済ませたのち、最初の任務、聖都「ハ・リ」への都行(みやこいき)を行うことになる。彼女を狙うテロの可能性があるとして、惑星連合評議会から要請を受けたドナウ帝国が派遣した皇子トリハロンが護衛として都行の旅を共にすることになる。礼儀正しく振る舞うが、ドナウ帝国次期皇帝に嘲り嫌味を言ったり、カーマインを見下すトリハロンに負けず劣らずの歪みを露骨に抱える。楚々とした乙女然としている分だけタチが悪く、文字通り慇懃無礼である。戦争・暴力・兵器を嫌っていたが、人殺しの道具と自身で評していたウォー・キャスターであるトリハロンが帯刀もせず豪雨の中を警護する姿に、自身の偏った考えを猛省し一定の理解を示すようになる。荒涼な都行の道すがら生まれ故郷の花の種子を撒いてきたことから後に「花の詩女」と謳われ後世に名を遺すことになる。トリハロンとの共通点である自らの存在が流血を招くとして、トリハロンと共にそれぞれの立場で流血を減らす努力をすることを彼に要請する。平和と惑星カーマインの地位向上に尽力した功績を讃え受け継ぐとして聖都「ハ・リ」も彼女の苗字を取って「ラーン」(DESIGNS4及びFSS13巻より)に改名される。
ドナウ・ガァ・トリハロン("サイレン・ザ・グレート"フィルモアI)
声 - 佐々木望超軍事大国「ドナウ帝国」の第三皇子。金髪碧眼で長身痩躯のいかにも王子様という外見。身長190cm。皇帝の子という意味ではなく皇位を継承する者として「皇子」と称される皇位継承者たる次期皇帝である。年齢は18歳くらい(※地球人相当年齢)。生まれながらにして世界最高クラスの地位と才能を持ち合わせ、少々へそ曲がりではあるが皇帝よりも高い人望と信頼を集めている。ベリンに対するテロの計画があるとして惑星連合評議会からの要請により、皇帝旗艦シワルベを率い母国からベリンの護衛として派遣された。育ってきた環境も価値観もまるで違うベリンとは悉く反目し合う。当初、カーマインを見下し根拠も無く一方的に批判するベリンと反発し合うが、都行でベリンに触れることで心を通わせるようになる。シワルベなどの兵器を近付けないようにベリンから要請を受けて、雨中停泊のベリンのセイラーの警護として人知れず帯刀もせず一人雨の中[5]を佇むなど、その行動は誠意に富む。テロリストと戦火を交えた結果、テロの標的はベリンだけでなく、むしろ自分自身であったことを知ることとなる。都行の警護のお礼として、ベリンから自ら織り上げた惑星カーマインの別名「茜色の大地」にちなんだ茜色の織物を贈られた。流血を減らすというベリンとの約束を交わし、国民から期待されていた次期皇帝位を兄に譲り、その後17年をかけて周辺諸国をまとめあげて西の大国「太陽王国」との巨大統合帝国「フィルモア帝国」の初代統合皇帝に即位する(NT2013年5月号より)。ベリンから贈られた布は皇帝が羽織る皇帝衣となった。統合帝国を血統で統治することを厳に禁じ、それを統合帝国の礎とした。自身も生涯妻を娶らず子孫を残さなかった。
ラブ(ザ・ライブ・オブ・セントリー / ゴッド・オブ・ファイブスターストーリーズ)
声 - 大谷育江ワラビットという動物の幼獣。ベリンが詩禊を行った石窟に住んでいたらしい。性別は女の子。巨大な鳥に頭を齧られたり、トリハロンとベリンの仲を取り持とうとして逆にベリンに足蹴にされたり、トリハロンにウォー・キャスターの腕力で時速200km以上の超豪速球でぶん投げられたりする本作のコメディリリーフ。しかし滑稽に見える描写の裏では実際に頭蓋骨が砕けたり首の骨が折れて死亡しており、その都度たった数秒で何事も無く生き返っていたという不可思議な生物である。テロリストとの戦いの後では非情な戦いぶりを巫女達から忌み嫌われたトリハロンに対して健闘を讃えるなど健気な一面も見せる。ラブの正体についてはセントリー「ライブ」の項参照。
アデム(アデム・ライト・ミカレス)
声 - 折笠愛ベリンの補佐を務める聖都「ハ・リ」の最高神官。最高神官としての最初の仕事として、ベリンと共にハ・リへの旅をする。身長173cm。ベリンの教育係で相談役でもあるアデム自身も、ベリンの補佐として選ばれた存在である。意外とオチャメとの設定がある。アデム以外の5人の女官も先代詩女の女官に代わり聖都「ハ・リ」にてベリンを支える為に都行に同行する。ベリンと同様にトリハロン一行を侮蔑する。
ボットバルト(ボットバルト・デュー・バルバロッサ大王)
声 - 大塚明夫トリハロンが幼少の頃からトリハロンに仕えている副官。身長210cm。トリハロンの性格を知り尽くしており、トリハロンの下で参謀的な役割を担う。ボットバルト自身もドナウ帝国の構成国バルバロッサ王国の国王かつウォー・キャスターでもある。生涯、トリハロンだけに仕えた。
ムンセン(ムンセン・ルルラン・“ル・ゾラ”)、ナナド(ナナド・ホル・“フ・リエ”)
声 - 幸田夏穂小林由美子詩女の行幸に付き従い護衛する「護衛神官」と呼ばれる役目の神官。身長ムンセン165cm ナナド180cm。「ボルテッツ」を使うが、2人は通常のボルテッツのみならずウォー・キャスターをも上回る反応速度を持つ、最強の護衛、最強魔導師である。戦いを一方的に批判するベリンに、トリハロンはこの2人もまたウォー・キャストと同様の存在だと切り返した。
ルドルフ・サヤステ(ルドルフ・サヤステ シュペール太閤)
皇帝直下の騎士、ハイランダーで、ゴティックメード・ウィリーズ(NT2022年12月号より)を担当する。身長210cm。他国の出身だがドナウ帝国の騎士として皇帝に仕え、帝国のすべての騎士の教官も務めるドナウ帝国最強の騎士。
シャンディ・マーカス(シャンディ・マーカス ハロルドラント王女)
ゴティックメード・メロウラを担当するもう一人のハイランダー。ドナウ帝国の構成国の一つハロルドラントの王女。身長202cm。サヤステと同格の強さを持ち、トリハロンの教師でもある。シワルベの唯一の女性乗組員で、シャンディー以外の乗組員は全て男性である。
ブラウニー・ライド
ドナウ帝国の誇る天才GTMガーランド。身長182cm(DESIGNS3より)。


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