続いて『インデペンデンス・デイ』を製作していたローランド・エメリッヒに新たに監督としてオファーがかかる。エメリッヒは4回ほど断ったが、ワニに影響を与えられた全く新しいゴジラのデザインを見せられたことでこれを受諾した[出典 5]。エメリッヒは「第1作の製作者たちが現代のSFX技術を持っていたらどのような映画になったか」を考えて作ったという。第1作でのゴジラが電車をくわえるシーンや調査隊が足跡を調査するシーン、1984年版でのビルにあいた穴からスーパーXがゴジラに攻撃するシーンなどをオマージュとして映画に挿入している。
またエメリッヒは、日本のゴジラをアメリカ流に作り替えることも考えており、リサーチの結果、初代ゴジラが爬虫類をベースにしていたことを知り、あらゆる爬虫類を研究し、最終的にトカゲ(イグアナ)をモチーフにしたゴジラを考えたという。スリムで敏捷な怪獣となったのは、着ぐるみだけではなく、CGも使って制作当時の技術で出来る動きをすべて使い、適切な技術を使ってあらゆるゴジラのアクションを見せたかったとしている[28]。
エメリッヒ版ゴジラのデザインはパトリック・タトプロスによるものであり、「中途半端にアレンジを加えるとオリジナルに失礼だと考え、全く新しいものにした」という。このゴジラを見た東宝のゴジラ製作者たちは、あまりにも違いすぎるデザインにショックを受けたが、それでもハリウッドの作るゴジラ映画を見てみたいと考えて許可した。その際、東宝側の注文によって、足と手に3本と4本の指が付けられ、2列だったエメリッヒ版ゴジラの背びれは日本のものと同じ3列に修正された[27]。この他にも、劇中で人を食す描写を避けるなどの諸注文がトライスター側に出された。米版ゴジラの顎はディズニー映画『ジャングル・ブック』に登場するトラのキャラクター、シア・カーンをベースにしたという[30]。なお、デザイン担当の「タトプロス」は主人公の名前に引用された[27]。コンセプトアートの段階ではトライスター版もレジェンダリー版も互いに良く似たものが存在した。 本作品のゴジラは主に3DCGやアニマトロニクスで撮影されているが、一部では日本のゴジラと同様、着ぐるみも使用されている[出典 6]。ただ、エメリッヒ自身は着ぐるみによる撮影手法には否定的であった。2004年にNHK BS2で放送された特番のインタビューでも、「時代遅れの技術を使うことに抵抗を感じる」と発言している[信頼性要検証]。 2014年のレジェンダリー・ピクチャーズによる新作製作時に『エンパイア』誌が行ったインタビュー企画で[31]、エメリッヒは「当初、隕石が地球を襲う映画の企画をしていたが、東宝から突然本作品のオファーが来た」「自分には知らされずに契約が進行していた」「着ぐるみの怪獣映画には全く興味などなかったが、強い押しがあったので仕方なく受けた」という[32]。 さらに、「今度は『ゴジラが人を食べない』といった細かいルールを提示されたので嫌気がさした」「なので、いい加減な脚本とデザインを提出し『これなら、あちらから断るだろう』と思っていたらゴーサインが出てしまい、仕方なく撮影に入った」「自分が本来作りたかった隕石に関する映画の企画が本作の影響で流れてしまった」などといった旨の、本作品に対する相当な不満を述べている[32]。 そして、「もし、当初の予定通りに隕石の映画を撮っていれば『アルマゲドン』や『ディープインパクト』を上回る作品が撮れたはずだ」と語った。
3DCGと着ぐるみ
エメリッヒ監督の不満