FSFならびにFLOSSコミュニティは、これら懸念に対し真剣に取り組むべく、バージョン3への改訂作業を始めた[16][17]。2005年後半、FSFは、GPLバージョン3 (GPLv3) の策定に関するアナウンスを行った[18]。2005年の時点でGPLは様々なFLOSSプロジェクトのソフトウェアに採用されていたこともあり、FSFが単独で改訂することにより起こりえる問題を回避するため、改訂プロセスは公開で行うことが同時に発表された[18]。2006年1月16日、GPLv3の最初の議論用草稿 (discussion draft) が公開され[19]、公開協議プロセスを開始した。当初公開協議は9ヶ月から15ヶ月を想定していたが、終わってみると、4つの草稿公開に延べ18ヶ月にまで要した。公式のGPLv3は2007年6月29日、FSFにより発表された。GPLv3は、リチャード・ストールマンにより起草され、エベン・モグレンならびにSoftware Freedom Law Center (SLFC) による法的助言を受けている[20]。
公開協議プロセスは、FSFを調整役、SFLC・Free Software Foundation Europe (FSFE)[21]その他フリーソフトウェア開発組織による支援のもと進められた。この間、gplv3.fsf.org[22]というウェブポータルサイトが立ち上げられ、ここを経由し多くの一般からのコメントが集められた[23]。このポータルサイトは、策定プロセスのために開発されたstet[24]というソフトウェア上で稼働している。これらコメントは、およそ130名ほどから成る4つの協議グループ (committee)[25]に渡された。この130名はFSFの目標に対しそれを支持する人物並びにそれと対立する人物双方が含まれている。これら協議グループは一般から提示されたコメントを精査し、新しいライセンスがどうあるべきか決定するため、ストールマンにその要約を回付した。
公開協議プロセスを経て、初回の草稿には962ものコメントが提出された[26]。終わってみると、延べ2,636ものコメントが提出されていた[27][28][23]。
初版の草稿公開ののち、GPLv2とGPLv3の非公式な差分(但し、これはdiff出力による行単位ごとの単純な差分)が、FLOSSコミュニティ向け法律サイトGroklawにより公開された[29]。GNU LGPLv3のロゴ
2006年7月27日、GPLv3の討議用第2次草稿[30]が、LGPL第3版 (GNU LGPLv3) の初版草稿とともに公開された[31]。初稿と第2稿の差分は、FSF[32]とFSFE[33]からそれぞれ提示されている。第2稿ではDRMに対抗する明確な目標が取り入れられている[34]。
第3稿は2007年3月28日に公開された[35][36]。この草稿は、かの物議を醸したマイクロソフトとノベルが締結したような特許相互ライセンス (patent cross-license)[37][38][39][40][41]を排除する意図を持つ文言を含んでおり[28][42]、反TiVo化条項 (anti-tivoization clauses) はユーザ製品 (User Product)・コンシューマ製品 (Consumer Product) といった一般家庭で使用される製品に限定する旨定めている[28][43]。また、公開協議開始時点で削除が予告されていた地理的 (頒布) 制限 (Geographical Limitations)[44]の項については、明白に削除されている。