原作の士郎正宗は「原作者が横から口を出すとかえってややこしくなる」と危惧し[39]、企画段階から「原作を気にしないで欲しい」と要望を出しており[40]、その後も度々制作について相談して、押井の演出プランを見る度に、段々と心配がなくなっていった[39]。試写後に押井と会っても挨拶しかしなかったというが[40]、後に本作に対して「気に入っているシーンは、夜に素子がバトーに海に潜る理由を語る所と、素子が自分と同型の義体を使っている人物と目が合う所」「もっと押井監督の意向を全面に出させる様に働きかけるべきだった」「時間があれば、自分の手で映画化したかった」[39]「CGの技術課題もあるもののそれを忘れる程優れた演出だった」[41]と複雑な胸中を吐露している。
ジェームズ・キャメロンは、「大人のSFに刺激を受けた。素晴らしい作品だと思う。いろんな点で最高」と語っている。お気に入りのシーンは水面に浮上するシーンと博物館の銃撃戦、ネットワークに入り込むシーンで、ガンアクションには「『どうやって映像化したんだ?』と感嘆した」[26]・水面に映るビルや信号には「詩的さを与えている」と述べており[42]、自らの映画『アバター』もその影響を受けたとしている[43]。
ウォシャウスキー姉妹は、『マトリックス』を監督するにあたって製作のジョエル・シルバーに本作を実写化したいと語っていたという[44]。マトリックスではオープニングの黒い画面にグリーンの文字が流れる通称「マトリックスコード」[注 4]、後頭部にプラグを挿す、ビルの屋上に着地した際に地面のコンクリートがめくれ上がる、ロビーでの銃撃戦で柱が粉砕される、市場での銃撃シーンでスイカが被弾して割れる、全裸で水溶液に浸かる人間などは本作と共通している[45]。
関連書籍
『攻殻機動隊』(アニメコミックス) (講談社、発売日:1995年11月22日、ISBN 978-4061744806) 全カラー、映画のシーンから全セリフを採録
『THE ANALYSIS OF攻殻機動隊―GHOST IN THE SHELL』ムック(講談社、発売日:1995年11月、ISBN 978-4063196405) 映画の原画、レイアウト収録
『攻殻機動隊絵 コンテ集』 ペーパーバック(キネマ旬報社、発売日:1995年11月28日、ISBN 978-4873761473)
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 原画集 -Archives-』(マッグガーデン、発売日:2014年8月8日、ISBN 978-4800003539)
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 2.0では芸名変更によりうえだゆうじ名義。
^ 後に「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」でも少女姿の素子役を演じているほか、「攻殻機動隊ARISE」では成人後の素子役を演じる。
^ 「日本語が話せ「広東語」で歌える歌手」を日本国内で探したものの見つからず、香港の音楽代理店の協力で作曲家のイメージした「若く、ハイトーンボイスの歌手」としてFang Ka Wingを見いだした。
^ もっとも、攻殻機動隊はアラビア数字が横方向に流れるが、マトリックスは仮名が縦方向に流れるという相違もある。
出典^ 押井守『これが僕の回答である。1995-2004』インフォバーン、2004年、p.115。
^ Redmond, Sean (2004). Liquid Metal: The Science Fiction Film Reader. Wallflower Press. pp. 101?112.
^ "Production Report". Ghost in the Shell (DVD). DVD Extra: Production I.G. 1996.
^ a b “デジナタ連載「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」押井守インタビュー - コミックナタリー 特集・インタビュー”. ナタリー. 2019年9月11日閲覧。
^ a b c 梶山寿子『雑草魂 石川光久 アニメビジネスを変えた男』日経BP、2006年、pp.142 - 144。
^ a b c d e f g “「攻殻機動隊」25周年リレーインタビュー 映画監督 押井守 前編 素子の胸を小さくした理由”. アニメハックー. 2022年11月10日閲覧。