作業員は発電所の放射線汚染から守られた避難場所で寝食を交替でしていると報じられている。避難場所は平均的なリビングルームぐらいの広さであると、アメリカのABCニュースは報じている[26]。
放射線「シーベルト」および「被曝」も参照
原子力発電所での作業における国際的な放射線被曝限界は5年間平均で年20ミリシーベルトであり、1年あたり50ミリシーベルトを越えてはならない。しかしアメリカ合衆国環境保護庁は緊急時に対処する要員は「高い財産を保護するため」100ミリシーベルト、「多くの人々の生命を助け保護するため」250ミリシーベルトまでを許容している[27]。
日本では、事故に直面した際の最大許容量を1年で100ミリシーベルトとしていた。しかし2011年3月15日、厚生労働省は福島第一原子力発電所の状況を鑑みて、これを250ミリシーベルトまで引き上げた[28][29][30]。
発電所の作業員たちは放射線に対して万全の体制で臨まなければならず、突発的で予想されなかった放射線量の増加にも備えなければならない[31]。2011年3月15日朝、1時間あたり1000ミリシーベルトが検出された瞬間には、作業員たちは一時退避しなければならなかった[32]。これは事故を通じて最大の測定値だった。
1日に250ミリシーベルトの放射線を浴びた場合、状況によっては即座に兆候が現れる場合がある。吐き気や食欲不振
の症状から、骨髄、リンパ節および脾臓へのダメージである。一般的に、1 - 3シーベルトのレベルではより大きな影響が現れ、回復が難しくなる可能性がある。3シーベルトを超えると影響は深刻となり、皮膚の剥離や出血、生殖障害などが現れ、治療が施されなければ最悪の場合、死に至る場合もある。また、5シーベルト以上なら、治療を施しても確実に死に至る。15日第4原子炉で爆発と火災が起こった際に、フクシマ50は現場にいた[33]。そこでは彼らに状況がはっきり知らされなかったため、どの程度の放射線が放出されたのか判然とせず、またパニック発生を恐れた日本政府がこれに対し緘口令を敷く可能性があるかもしれないとの混乱があった[34]。 メディアは、現場に残った従業員たちの勇気を讃え、彼らをヒーローと紹介し、“Fukushima 50”の名が知れ渡った。フランスの国際ニュース・チャンネルFrance 24は、彼らを“Japan's faceless heroes”(日本の顔が知れない英雄たち)と紹介した[35]。イギリスの新聞ガーディアンは、“Other nuclear power employees, as well as the wider population, can only look on in admiration”(他の原子力発電所に従事する者たちは、他の多くの人々と同様に、強い賞賛をもって見ていることしかできない)と書いた[36]。ドイツのニュースサイトは、彼らの献身を四十七士にたとえている[37]。中国語のニュースサイトは彼らを“福島50死士”と名づけた[38]。2011年9月7日にスペイン皇太子賞(アストゥリアス皇太子賞)の受賞が発表され[39][40][41]、同年10月22日に同賞平和部門を警察、消防、自衛隊の現場指揮官ら計5人が代表として受賞した[42]。
メディアや政府の反応
脚注^ a b c ⇒“「英雄フクシマ50」欧米メディア、原発の作業員ら称賛”. 朝日新聞 (JP). (2011年3月18日). ⇒http://www.asahi.com/national/update/0318/TKY201103180477.html 2011年3月23日閲覧。
^ a b Branigan, Tania; McCurry, Justin (2011年3月15日). ⇒“Fukushima 50 battle radiation risks as Japan nuclear crisis deepens”. UK: The Guardian. ⇒http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/15/fukushima-50-workers-nuclear-plant 2011年3月23日閲覧。
^ 福島第一原子力発電所 労働環境の改善への取組み 2016年6月1日
^ Winerman, Lea. ⇒“The 'Fukushima 50': Nuclear Workers Stay Behind to Brave Plant's Woes”. PBS NewsHour. ⇒http://www.pbs.org/newshour/rundown/2011/03/nuclear-plant-workers-become-anonymous-faces-of-bravery.html 2011年3月16日閲覧。
^ a b ⇒“Toshiba, Hitachi send engineers to stricken nuclear plant”. Reuters. (2011年3月22日). ⇒http://www.reuters.com/article/2011/03/22/us-toshiba-idUSTRE72L0U020110322
^ a b ⇒“【計画停電】東芝が対策チーム…福島原発にも派遣 [[Planned Black Out Toshiba set up task force....site includes Fukushima N-plant]”] (Japanese). Response. (Car Tech Magazine) (JP). (2011年3月22日). ⇒http://response.jp/article/2011/03/22/153615.html 2011年3月28日閲覧。
^ Katrandjian, Olivia (2011年3月16日). ⇒“Japan's Fukushima 50: Heroes Who Volunteered to Stay Behind at Japan's Crippled Nuclear Plants”. ABC News. ⇒http://abcnews.go.com/m/story?id=13147746&sid=76&p=2 2011年3月23日閲覧。
^ “BBC News - Japan hails the heroic 'Fukushima 50'