Free-to-play
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Free-to-play(フリー・トゥ・プレイ、略:F2PまたはFtP)は、コンテンツの重要な部分へのアクセスを無料でプレイヤーに提供するコンピュータゲームを指す。F2Pゲームは数種類存在するが、最も一般的なのはフリーミアムソフトウェアモデルをベースとしたものであり、したがってF2Pゲームは完全無料ではないことが多い。フリーミアムゲームではユーザーはゲームの全機能にアクセスすることができるが、追加コンテンツにアクセスするためにはマイクロトランザクション(アイテム課金)を支払わなければならない。F2Pは初めてサービスを利用する前に支払いが必要な「Pay to play(英語版)」とは対照的である。日本では「基本プレイ無料」または「基本無料」が一般的である。

最初に本モデルが普及したのはカジュアルゲーマー向けの初期の大規模マルチプレイヤーオンラインゲーム(MMO)においてであり、その後ビデオゲームの海賊版や高いシステム要件に対処するために大手ゲームパブリッシャーがリリースするゲーム等での幅広い採用が見られるようになった。前払いがなければパブリッシャーはゲーム内アイテムに課金するかゲーム内広告をゲームに設置することがある。
カテゴリー

F2Pのゲームにはいくつかの種類がある。
シェアウェア
pay to playゲームの完全版ライセンスをユーザーに購入してもらうことを意図して用意された試験版ソフトウェア。体験版という名でも知られており、シェアウェアはしばしば完全版のゲームに比べて機能が著しく制限されたものを無料ユーザーに提供する。
フリーミアムゲーム
『Star Wars: The Old Republic』や『エーペックスレジェンズ』『フォートナイト バトルロイヤル』および大半のMOBAゲームは無料で製品の「完全版」を提供する一方で、ユーザーはプレミアム機能を利用したり部分的な服装などの仮想アイテムを入手したりするためにマイクロペイメントを支払うことになる[1][2][3][4]
ゲームメカニズム

ゲーム内アイテムは純粋に容姿を変えることができるものや、プレイヤーのパワーを強化するもの、進行スピードを加速させるものなど多様なアイテムがある。これらのゲームのデベロッパーが用いる共通のテクニックは購入アイテムに期限を設けることであり、期限切れ後にユーザーがアイテムを引き続き利用するには再購入する必要がある。他の共通したメカニズムは2種類のゲーム内通貨の搭載である。一つは通常のゲームプレイで獲得でき、もう一つは現実世界の金で購入することが可能である。第二に、時々少量の「有償」通貨が特定時(最初にゲームを始めた時やクエスト完了時、ゲームを友人に紹介した時など)に無料でプレイヤーに与えられる。多くのブラウザゲームはプレイヤーが行動を起こすと枯渇していく「エネルギーバー」を搭載している。これらのゲームはその後、バーを満たすためのコーヒーやスナックなどのアイテムを販売する[5]

F2Pゲームはインストールとプレイは無料であるが、プレイヤーはゲームをプレイするようになればアイテムやマップ、拡張カスタマイズオプションなどのコンテンツを購入できるようになる[6]Id Softwareの『Quake Live』[7] などの一部ゲームではまたF2Pのゲームの収入源としてゲーム内広告を利用している。購入用のゲーム内アイテムの導入に加えて、エレクトロニック・アーツ(EA)はゲーム内広告を同社のゲームに組み込んだ。2007年8月、EAはMassive incorporatedとの契約を締結し、Massive社がEAゲーム内でリアルタイムにゲーム内広告を更新・変更できるようになった[8]。独立ゲーム開発者のエドモンド・マクミランは収益の大半はゲームのイントロダクションとゲームのタイトル画面に広告を設置したことでスポンサーから得たものであると主張した。
歴史

オンラインゲームにおけるF2Pのビジネスモデルは韓国ネクソンによって開発された[9][10]。F2Pを用いた最初のゲームはリー・スンチャン(Lee Seugchan)が開発しネクソンが1999年10月にリリースした『QuizQuiz』であり、スンチャンは後に『メイプルストーリー』を制作した[11]

F2Pのモデルは1990年代後半及び2000年代初期の『Furcadia』、『ネオペット』、『RuneScape』、メイプルストーリーなどの大きな成功を収めた子供・カジュアルゲーマー向けのMMOゲームのシリーズ[12][13] 及び『Achaea, Dreams of Divine Lands』などのテキストベースのダンジョンが由来である[14]。革新的な作品を生み出すことでも知られ、小規模の独立開発者もまたF2Pゲームをリリースし続けている。インターネットはF2Pモデルの使用の増加の主な影響として引用されており、特により大規模なゲーム企業及び批評家は増え続けるいつでもどこでも利用可能な無料コンテンツの需要を指摘した。

F2Pのゲームは韓国や中華人民共和国などの国々で特に流行した[6][15]。日本でも『パズル&ドラゴンズ』『艦隊これくしょん -艦これ-』『アイドルマスター シンデレラガールズ』などのマイクロトランザクション型のF2Pのモバイルゲームブラウザゲームが大人気となった[16]。特に、日経新聞は『シンデレラガールズ』はマイクロトランザクションで毎月10億円以上の収益があると報じた[17]。EAは韓国でリリースした『FIFA Online』において同社の作品で初めてF2Pのコンセプトを採用した[8]

2000年代後半には多くのMMOゲームがサブスクリプションからF2Pモデルへと移行し[18] その中には『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』『Age of Conan: Hyborian Adventures』『ダンジョンズ&ドラゴンズ オンライン[19] 及び『Champions Online』などのサブスクリプション型のゲームも含まれていた[6]。このサブスクリプション型のモデルからF2Pモデルへの移行は一部ではかなり恩恵があると証明されている。『Star Wars: The Old Republic』はサブスクリプション型からF2Pへと移行したゲームの好例である。2010年9月10日時点でTurbineはロード・オブ・ザ・リングス オンラインへキャッシュショップオプションと共にF2Pを導入したことで利益が3倍になった[20] 。ソニーオンラインエンターテインメントの『エバークエスト』のサブスクリプション型からF2Pとサブスクリプションのハイブリッド型への移行後、アイテム売上が125%、ユニークログインが150%上昇し、アカウント登録数も3倍以上に増加した[21]

F2PのMMOが主流になっていく動きも他のジャンルにおいても一致していた。本モデルは大規模なデベロッパーと更なるジャンルにおいても採用され、『Battlefield Heroes』[8]、『Free Realms』『Quake Live』及び『Team Fortress 2[7] などのゲームが2000年代後半に登場した。しかしながらその実験は全てのジャンルで成功はしなかった。『エイジ オブ エンパイア』や『コマンド&コンカー』などの従来のリアルタイムストラテジーのフランチャイズは両作ともF2Pの作品を試みた。『Age of Empires Online』はプレイヤー層が少なく収益が停滞していた中で閉鎖され[22]、『Command & Conquer: Generals 2』はプレイヤーからのネガティブな反応が原因でアルファ版で閉鎖された[23]

2011年にはAppleのApp Storeのトップ100ゲームの中で、F2Pゲームの収益が有料ゲームの収益を上回った[24]。これらのゲームのゲーム内アイテムに金を使う人の数はゲームの質とメカニズムによって0.5%?6%と幅がある。これは大多数の人々はゲームに金を費やさないということを意味するが、ゲームが無料で提供されているという事実から金を費やす人数はかなりの数に達する可能性があることも意味していた[24]。実際にはモバイル広告代理店企業SWRVはプレイヤーの1.5%のみがゲーム内アイテムを購入しており、そのようなゲームの収益の50%はプレイヤーの10%からきていることが多いと述べた[25]。それにもかかわらず、ワシントン・ポストスーパーセル(『クラッシュ・オブ・クラン』)とMachine Zone(『Game of War: Fire Age』)の2つのゲームのデベロッパーは2015年のスーパーボウルで大物有名人(それぞれリーアム・ニーソンケイト・アプトン)を起用したスポットCMを流すほどの余裕があったと指摘した[26][27]


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