FUTURE_WAR_198X年
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FUTURE WAR 198X年
監督
舛田利雄
勝間田具治
脚本高田宏治
製作横井三郎
製作総指揮渡邊亮徳
今田智憲 (クレジットなし)
出演者北大路欣也
夏目雅子
野田圭一
柴田秀勝
音楽横山菁児
主題歌ポプラ「愛ゆえに哀しく」
撮影白井久男
寺尾三千代
編集千蔵豊
吉川泰弘
配給東映洋画
公開 1982年10月30日
上映時間125分
製作国 日本
言語日本語
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『FUTURE WAR 198X年』(フューチャーウォー198Xねん)は、1982年日本で制作された劇場用アニメーション
概要

制作時期に国際的な問題となっていた米ソの冷戦激化を題材にして制作された劇場アニメ。劇場公開用パンフレットに掲載されたプロデューサーの吉田のコメントによれば、近未来戦争の恐怖を訴えつつ、『地獄の黙示録』や『復活の日』の面白さを取り入れて完成させた作品。

ほぼ同時期に制作された劇場版『宇宙戦艦ヤマト』シリーズで実績を持つ舛田利雄勝間田具治を監督として起用したほか、制作に際しては『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』のポスターのイラストなどでも知られていた生頼範義にイメージイラストを依頼している。

当初、制作主体として予定されていた東映動画は、労働組合が「内容が好戦的である」として制作をボイコットし、これはマスコミでも取り上げられた[1][要ページ番号]。このため、作画などの実制作は大半が外注スタッフによって行われている。詳細は#反対運動とその反響を参照。
あらすじ

198X年、宇宙探査機ボイジャー2号が人類の平和と友好のメッセージを発信しながら宇宙を旅している頃。

ソビエト連邦の潜水艦基地より、戦略原潜「リューリック」が出航した。東西ドイツ国境ではNATO軍兵士のマイケルが地元の少女マリーネと出会い、互いに惹かれあう。そして宇宙空間では、アメリカ合衆国が戦略核ミサイル迎撃用として開発したレーザー砲搭載有人衛星「スペース・レンジャー」の試験機による射撃テストが行われていた。テストは成功し、計画の主任であるバート・ゲイン博士と三雲渡、そしてバードの妹のローラは喜ぶが、翌日ゲイン博士がソ連のスパイに拉致されてしまう。秘密保持を最優先課題としたギブスン大統領は、博士が乗せられていた原子力潜水艦をミッドウェー沖で核魚雷によって撃沈した。ソ連の主戦派の筆頭であるブガーリン国防相は、これを好機と考えオルロフ書記長に開戦を提案したが、書記長はこれを退けた。

だがその後、東西ドイツの国境付近でソ連の最新鋭戦闘機「ブラック・ドラゴン」が亡命を求めて西ドイツの空軍基地に不時着。オルロフは機密保持のためにこの空軍基地の攻撃を指示したが、これによってNATO軍とワルシャワ条約機構軍の機甲部隊が戦闘状態に陥った。そのさ中、戦火でマリーネを失ったマイケルは、錯乱して戦術核ミサイルでワルシャワ軍を攻撃。これによって戦火は世界中に拡大。穏健派のオルロフが病床にあったことから、ブガーリンが政府の実権を掌握し、撤兵条件に北緯30度以北の中近東の割譲を要求。ブガーリンに抵抗するクツーゾフ外相らも逮捕されてしまう。待機中に魚雷攻撃を受け大破したリューリックでは政治将校が艦長を殺害して戦略核ミサイルを発射。結果、アメリカ各地に核弾頭が降り注ぎ、ギブスンは苦悩しつつ戦略核ミサイル及び核搭載巡航ミサイルによる報復攻撃を決意する。一方、病状が回復したオルロフは、「名誉ある敗北」を望みホットラインによる会談に挑むが、その最中にブガーリンら主戦派によって射殺されてしまう。そして、ブガーリンは西側主要都市への核ミサイルの発射スイッチを押し、ついに米ソ双方が戦略核ミサイルを打ち合う事態に発展した。

ギブスンは、「スペース・レンジャー」4機を打ち上げて核ミサイル迎撃を行うよう指示する一方、ソ連訪問による講和を考える。しかし、打ち上げられた「スペース・レンジャー」にキラー衛星が攻撃を開始、「スペース・レンジャー」はレーザー砲による迎撃を行うも2号機から4号機までの3機が破壊されてしまい、残った1号機も中破して乗員は全員死亡してしまった。

折りしも、世界各地で厭戦ムードが広がり、ソ連ではクツーゾフ外相らが解放され主戦派を拘束し、ブガーリンは射殺される。だが、ブガーリンは死の間際にさらに核ミサイルを発射、クツーゾフらは発射を中止させようとするが、そのためのシステムはブガーリンの手により既に破壊されており、ミサイルは発射されてしまう。クツーゾフから連絡を受けたギブスンは核ミサイルの迎撃を命令、「スペース・レンジャー」支援のために打ち上げられていたスペースシャトル「アルバトロス号」に乗り込んでいた三雲は、2時間分の携行空気だけで半壊した「スペース・レンジャー」に乗り込み、ソ連の有人科学衛星「バイカル」の支援の下、核ミサイルを阻止しようとする。そしてローラは宇宙船に乗り込み、三雲を救出に向かった。
登場するメカニック
実在
西側諸国

レオパルト2

ルクス装甲車

ゲパルト自走対空砲

多連装ロケットシステム(MLRS)

AH-64 アパッチ

CH-47 チヌーク

F-15J イーグル

トーネード IDS

B-1 ランサー

P-3 オライオン

オハイオ級原子力潜水艦

LGM-118A ピースキーパー(劇中では「MX戦略核ミサイル」として登場)

AGM-86 ALCM

東側諸国

T-72

BMP-1

ZSU-23-4

Mi-24 ハインド

Mi-8 ヒップ

MiG-29

Tu-22M

An-12

架空

デザインはいずれも辻忠直によるもの。
スペース・レンジャー
アメリカ宇宙防衛軍が開発した有人レーザー戦闘衛星宇宙防空司令部と未来科学研究所によって20年の歳月をかけて共同開発された。乗員は3名。ICBMの迎撃を目的としており(戦略防衛構想)、機首に5,000km先の鋼鉄板を貫く威力を持つ高出力レーザーを装備している。冒頭ではアルバトロスに搭載されて宇宙に運ばれ、アラスカから発射された標的ミサイルの撃墜に成功した。その後、ソ連のICBMによる第二波攻撃を阻止すべく、SR-1号からSR-4号までの4機が衛星軌道進入ロケットに搭載されてヴァンデンバーグ空軍基地から打ち上げられるが、キラー衛星の攻撃を受けてSR-1号を除く3機が撃墜され、残るSR-1号も中破し乗員は全員死亡。ブガーリンが死に際に発射したSS-18ICBMの迎撃は、アルバトロスから移乗した三雲が行う事になる。
アルバトロス
アメリカが運用しているスペースシャトル。乗員は7名で、三雲らが搭乗している。実在するスペースシャトル・オービタと比較すると若干大型であり、尾翼が双垂直尾翼となっている事や、打ち上げ時に外部燃料タンクを装着しない事などの相違点がある。冒頭ではスペース・レンジャー試験機を宇宙に打ち上げるのに使用された。その後、スペース・レンジャーの作戦行動をサポートすべく、再びヴァンデンバーグ空軍基地から打ち上げられ、キラー衛星によって破壊された偵察衛星の代わりにスペース・レンジャーのコントロールを行った。
キラー衛星
ソ連が複数機を運用しているキラー衛星。1機につき5発の対衛星ミサイルを装備している。ソ連軍地上部隊の展開に呼応してアメリカの偵察衛星ビックバードを撃墜。その後、軌道上のスペース・レンジャーを複数のキラー衛星が攻撃した。
バイカル
ソ連が打ち上げた有人科学衛星。乗員は3名で、形状はソユーズ7K-TMなどのソユーズ宇宙船に類似している。ブガーリンが発射したSS-18の迎撃を支援するために、コースを変更してアルバトロスに情報を送信。その後、行動不能に陥ったSR-1号の救援に向かった。
ブラック・ドラゴン
ソ連空軍の最新鋭戦闘爆撃機。双発単座・ダブルデルタ翼の機体で、完全電子装備を有する。パイロットであるボリス大尉により、実験飛行中に亡命の為に西ドイツの空軍基地に着陸するが、An-12で基地に強行着陸したソ連軍の空挺部隊によって爆破され、ボリス大尉も射殺された。


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