FMV
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この項目では、日本のコンピュータ機器の商標について説明しています。コンピュータゲームの事前作成映像の略称については「カットシーン」をご覧ください。
「FMV」のロゴタイプFMV-DESKPOWER CE55TW/D

FMV(エフエムブイ)は、富士通(現・レノボグループの富士通クライアントコンピューティング)のパーソナルコンピュータ商標
概要

1993年(平成5年)10月18日に発売(同日、富士通はOADGに正式加盟)。FMVの意味は、公式にはFujitsuのF、マイコンのM、DOS/VVictoryのVをとったものとされる[1]。異説としてFujitsu Multimedia Visionの略という説もある。Fujitsu Multimedia Vision(富士通マルチメディアビジョン)は元々、1991年(平成3年)に富士通が発表した[2]マルチメディア構想の名称である。

2010年(平成22年)夏モデルからは「FMV」の意味は「F」ujitsu PC 「M」aterializes your 「V」ision.(富士通PCは、あなたのやりたいことを実現します。)となった[1]バクロニム)。なお、1980年代初頭から富士通製PCには「FM」ブランドが冠される伝統が残っており、国内外を含め、このような例は他社には見られない。

発売当初のキャッチコピーは「富士通の国際標準機"FMV"」。規格としてはPC/AT互換機相当で、従来の独自規格パソコンであるFMR、FM TOWNSと当初併売され、のちに集約した(特にFM TOWNSは末期には「FMV-TOWNS」という名で、FMVのPCIスロットにTOWNSカードを搭載した形のハイブリッド機に移行)。それまでのパソコンでの部品は国産品が多かったが、FMVでは部品を海外で安く調達して組み上げる、または設計そのものを海外に委託する、という生産方法が取られた(FMVの初期シリーズではエイサー製マザーボードを採用)。

なお、現在は一部のシリーズ・機種を除き、デスクトップモデルは福島県伊達市にある富士通アイソテック、ノートブックモデルは島根県出雲市にある島根富士通で部品受入検査・CPUや部品の組み込み・最終組み立て・出荷試験(品質管理)を行っているほか、ユーザーからの意見は開発拠点となっている富士通川崎工場へフィードバックさせ、使いやすさの向上や信頼性の確立などのより良い製品作りに生かされている。また、2011年(平成23年)9月からは高品質・高信頼をアピールするため、国内で生産された機種を「伊達モデル」・「出雲モデル」としてプロモーション展開を開始している。
歴史

当初は企業向けデスクトップPCとしてIntel 486SX/DXといった当時の最先端CPUを採用したラインナップを展開していた(Intel 486SX 搭載モデルに FMV-425D、486DX搭載モデルにFMV-466D[3][4])が、高機能化していくPC用サウンドカードの市場動向・需要や、Microsoft Windows 3.1が豊富なマルチメディア機能を搭載したOSとなったこともあり、次第にFMVはコンシューマを意識したラインナップとなっていった(サウンドカード同梱の限定モデル等も発売した)。一例として限定モデル「FMV-499D2sp」では、DX4-100MHzという当時の高速CPU搭載に加え当時8万円以上もした最速ビデオカードDiamond社製ViperVLBを同梱する等ハイエンドを志向した。FMVに先駆けて「ライバル」NECは「PC/ATをも包み込む」仕様と銘打ってPC-9821シリーズを投入しており、日本独自仕様一色だった日本のコンシューマパソコン市場はコンパックの日本上陸の衝撃から確実にPC/AT系ハードウェアとWindows 3.1搭載パソコンが標準となっていった。
FMV-DESKPOWERの投入

そして非マニアの一般消費者に訴求するべく投入されたのが、初心者にも易しく(独自メニューウィンドウの自動起動)、「マルチメディア」をキーワードに(SoundBlaster16を搭載・アクティブスピーカーまで同梱)、大量のプレインストールソフトウェアをバンドルした初代「FMV-DESKPOWER」である。1995年Windows 95の発売とともに大々的な低価格路線と販売攻勢を打ち出し、ついに富士通のパソコンシェアはNECを抜いて悲願の1位となった。しかし、大量に売れたFMV-51**D3/D4系ベースのDESKPOWERでは、PCI機器の相性問題・Plug&Play実装周りに問題があり、ユーザーからのクレームも多かった。PCIバスの拡張カードによっては、FMVのD3系だけ動作保証外とされていた程であった。また、あまりに値段を下げすぎたため赤字となってしまい、その後は販売方法の見直しが行われた。ちなみに当時の搭載フロッピーディスクドライブはNEC製である。
DESKPOWERシリーズの発展・多様化

Windows 98が発売される頃までは、FMV-DESKPOWERとビジネス向けFMVとでハードウェアデザインは筐体含めて共通化を行っていたが、SONYVAIOシリーズによるPC/AT互換機市場への参戦等でユーザ嗜好の多様化や、PCのデザイン性が売上げへの重要なファクターとなり、次第にコンシューマ向けDESKPOWERは、独自の筐体・デザインとなりビジネス向けFMVと分離される。一方のビジネス向けのデスクトップPCブランドは「FMV-DESKTOP」といい、次第にコンパクト筐体がメインとなりながらも、他メーカーは既にやめてしまっているサービスコンセント付電源を採用し続けるなど、堅牢な企業向けPCとして現在もラインナップが展開されている。

販売形態としては、パソコン初心者向けを意識したために、イメージキャラクター高倉健木村拓哉を起用したり、ワープロソフト(Word)や表計算ソフト(Excel)など、多くのアプリケーションソフトをあらかじめインストールプリインストール)して販売される方式が取られ、その後の各社のパソコン販売形態の基本となった。

かつてはワープロソフトと表計算ソフトの組み合わせを「一太郎Lotus 1-2-3」・「OASYS+Lotus 1-2-3」・「Word+Excel」から選べるのも大きな特徴であったが、Microsoft Office 2000が発売される頃になると、FMVの大半はMicrosoft Officeシリーズをプレインストールするようになり、2010年現在ではプレインストールされるワープロ・表計算ソフトは「Microsoft Office 2010」のみとなっている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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