FM補完中継局
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

FM補完中継局(エフエムほかんちゅうけいきょく)とは、日本において、超短波放送(FM放送)用周波数の90.1メガヘルツ (MHz) から94.9メガヘルツまで[注釈 1]を用いて、中波放送(AM放送)の放送区域における、同放送の補完的な放送「FM補完放送(エフエムほかんほうそう)」を行う中継局である。1990年代に難聴取対策や災害対策として検討が開始され、2014年から本格的に実施されている。

本項目ではFM補完中継局および、FM補完放送についてあわせて記述する。
定義

「補完中継局」は、総務省告示基幹放送用周波数使用計画第1総則 第5項[1] に「中波放送を行う基幹放送局の放送区域において災害対策等のため補完的に超短波放送用周波数を用いて放送を行う中継局」と定義している。

「補完放送」は、総務省令電波法施行規則第2条第1項第28号の9[2] に次に掲げるものを定義している。(1) 超短波放送であつて、主音声(超短波放送又はテレビジヨン放送において送られる主たる音声その他の音響をいう。以下この号において同じ。)に伴う音声その他の音響を送るもの、又は主音声に併せて文字図形その他の影像若しくは信号を送るもの(2) テレビジヨン放送であつて、静止し、若しくは移動する事物の瞬間的影像に伴う音声その他の音響(主音声を除く。)を送るもの、又は静止し、若しくは移動する事物の瞬間的影像に併せて文字、図形その他の影像(音声その他の音響を伴うものを含む。)若しくは信号を送るもの引用の促音、拗音の表記は原文ママ

基幹放送の区分を規定する放送法施行規則別表第5号には定義されていない。本項目で述べる「FM補完放送」は上記の(1)が相当する。
前史

FM放送波をAM放送の難聴取対策に使用したのは、1990年7月に放送用周波数使用計画(現:基幹放送用周波数使用計画)に中波放送の外国波による混信対策が追加されて以降で、最初に開設されたのは富山県北日本放送新川FM中継局1991年9月26日に開局[3] した。その後、日本放送協会 (NHK) が1991年11月2日に沖縄県西表島祖納NHKラジオ第1の中継局を開局した。

その後も21世紀初頭にかけて、沖縄県ではラジオ沖縄2001年4月1日に[注釈 2]琉球放送が2001年4月1日[注釈 3]と、2004年4月1日[注釈 4]に、さらにNHK沖縄放送局2003年10月24日[注釈 5]2007年4月1日[注釈 6]にそれぞれ離島の混信対策のためにFM中継局を開局している。

災害対策としては、2004年の新潟県中越地震NHK新潟放送局赤塚放送所に併設した中継局[4]NHK新潟放送局#平成16年新潟県中越地震発生後の主な対応も参照)、2011年東日本大震災岩手県IBC岩手放送がテレビジョン放送の山田中継局に併設した臨時中継局[5][6][7] がある。

後に民間地上基幹放送事業者(民放)の周波数は、基幹放送用周波数使用計画に規定[8] された。
概要

2013年7月、総務省の「放送ネットワークの強靱化に関する検討会」が中間とりまとめを公表[9] し、「AMラジオ放送によるFM波の利用促進(難聴対策、災害対策)、地上デジタルテレビ放送への移行により空いたV-Low帯域(アナログテレビの1 - 3chがあった帯域)の新たな活用(AMラジオ事業者等による難聴対策等としてのFM波利用)」などを骨子とする災害対策・難聴対策としての送信ネットワークの強靭化が提言された[10]

総務省はこれを踏まえ、同年9月に「V-Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針」を公表[11][12] した。この方針にAM放送の補完放送をFM放送により行うことができるとされた。

2014年1月に総務省は「AMラジオ放送を補完するFM中継局に関する制度整備の基本的方針」を公表[13][14] した。

この基本的方針では、補完放送を行う中継局を「FM補完局」と呼び、その開設目的は「都市型難聴対策」「外国波混信対策」「地理的・地形的難聴対策」「災害対策」とされた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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