飛行するF4F-3 3987号機
(第2戦闘飛行隊所属、1942年2月撮影)
用途:戦闘機
分類:艦上戦闘機
設計者:ロバート・L・ホール
F4F ワイルドキャット(Grumman F4F Wildcat)は、アメリカ合衆国のグラマンが開発し、第二次世界大戦中に使用された艦上戦闘機である。愛称の「ワイルドキャット(Wildcat)」は山猫・野良猫の意味であるが、スラングでは意地悪女という意味も持つ。グラマンではF4F以降、艦上戦闘機に『○○キャット』という愛称を採用している。
グラマンだけではなくジェネラル・モーターズ社(GM)でも「FM ワイルドキャット」として製造された。生産機数自体はGM社製の機体の方が多い[2]。また、英海軍航空隊でも「マートレット(Martlet、イワツバメの意)」として運用された。
操縦経験のあるエリック・ブラウンは、第二次世界大戦初期に使用された戦闘機としては最優秀の一つと評価している[3]。目次
1 概要
2 各型
2.1 F4F-3
2.2 F4F-4
2.3 F4F-7
2.4 FM-1
2.5 FM-2
2.6 諸外国のF4F
3 活躍
4 派生型
5 諸元
6 現存する機体
7 脚注
8 参考文献
9 関連項目
10 外部リンク
概要 空母エンタープライズ艦上のF4F 1942年撮影のF4F
アメリカ海軍は1936年の新型艦上戦闘機の開発を、ブルースター社、セヴァスキー社とともにグラマン社にも競争試作を指示した。本機の最初の設計案は複葉機(XF4F-1)であったが、それでは他の案に劣っていたことから単葉機(XF4F-2)として再設計され選定試験に応じた。
結果採用されたのはブルースター社の提案したF2Aバッファローであり、本機は落選した。しかしアメリカ海軍は本機にも興味を持ち、開発を続行させた。
第二次世界大戦の開戦時アメリカ海軍の主力艦上戦闘機として日本海軍の零戦と戦った。防御力よりも運動性能を重視した零戦とは対照的に、「グラマン鉄工所 (Grumman Ironworks)」と呼ばれる強固な構造と生産性を重視したグラマンの設計思想[4]を体現した機体であり、後継機のF6Fヘルキャットが配備される大戦中盤まで主力として使用された。 最初のロットは1940年12月5日に部隊配備、「レンジャー」と「ワスプ」に配備されたほか、海兵隊にもまわされている。しかし、実際に飛ばしてみるといくつかの問題点が残っており、パイロットの死亡事故が発生した。1941年11月には欠陥箇所を改良、エンジンを1段過給器付のP&W製R-1830-90に換装した型がF4F-3Aとして採用された。生産機数は3A型の95機を含めて288機。 なお数機が偵察機に改造され、F4F-3Pとなったほか、3A型を改造したF4F-3APも1機が製作されたとされる。 この型から折り畳み翼を採用した。それまでのF4F-3などの型は翼が固定式であったために空母上での取り扱いに難があった上、珊瑚海海戦の教訓から空母に戦闘機の配備数を増やすという目標があったのだが、F4F-3では数を載せる上でも問題となっていた。
各型
F4F-3
F4F-4 空母ロング・アイランドの格納庫に主翼を折り畳まれた状態で保管されるF4F-4。