EDA_(半導体)
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EDA(: electronic design automation)、DA(: design automation)とは、電子機器、半導体など電子系の設計作業を自動化し支援するためのソフトウェア、ハードウェアおよび手法の総称。半導体の設計工程とその製造工程、さらにそれを部品として実装するプリント基板設計の自動化で使われる用語である。それぞれの製造工程、検査工程でのデータ処理技術を意味するともいえる。

従来から単体で存在した電子系のCADCAEを包含した用語として使われるようになった。実際のシステムのことをEDAツールといい、開発・販売業者をEDAベンダーという。電子・半導体メーカーなどが内製する場合もある。
目次

1 歴史

1.1 1960年代

1.2 1970年代

1.3 1980年代

1.3.1 ハードウェア記述言語の登場


1.4 1990年以降


2 製品種別、守備範囲

2.1 デバイス・プロセス設計

2.2 システム、回路設計

2.3 マスク設計、検証作業

2.4 基板設計、評価


3 ベンダー

3.1 ソフト

3.1.1 FPGA関連

3.1.2 オープンソース


3.2 催し


4 関連項目

5 脚注

6 外部リンク

歴史
1960年代

回路シミュレータSPICEカリフォルニア大学バークレーで開発された。当時のプラットフォームとしてはメインフレームが主流であった。その後各所で派生版が生まれ、改良されながら2008年現在も使用されている。
1970年代

半導体レイアウト設計用のCADシステムとして、アメリカのカルマー社(Calma)、アプリコン社(Aplilicon)などのシステムが登場した。いずれもミニコンをホストコンピュータとしたターンキーシステムであった。両社ともその後の買収などを経たのち消滅したが、カルマー社のフォトマスクのデータ形式であるGDS2(ストリーム)形式は現在に至るまで使用されている。日本ではセイコー電子工業や図研のシステムも登場している。

当時のCADは高価なものであったため設計者が直接使用せず専任オペレータがデータ入力、修正するといった使われ方をした。
1980年代

論理回路設計用のCAEシステムとしてメンター・グラフィックス、デイジー、バリッドなどが登場する。プラットフォームには汎用のエンジニアリングワークステーション(EWS)を使用したもの(メンター)と専用のハード・OSを使用していたものがあった(後の2社)が、その後UNIXベースのEWSとOSが一般的になった。

これらのツールは論理回路入力をするエディターとその動作検証をシミュレータなどを一体としたものである。またこのあたりから設計者一人ひとりが占有して使うという形態が一般的になってくる。

レイアウトCADで作成データと論理設計ツールのデータを比較するツールも登場する(ECAD社、後にCadence社)回路図をもとにレイアウトデータの自動配置配線を行うツールも出てきた。当初はゲートアレイなどのセミカスタム半導体を対象したが、より汎用性の高いものへと進化していった。この種のツールにおいては多数の図形データを処理する必要があるが、計算幾何学の成果も取り入れ性能の向上が図られていった。

複数のベンダーが各種ツールを発表した結果、データの互換がとれない等の問題も生じている。当時2大ベンダーであったケイデンス社(Cadence)とメンター社(Mentor)がそれぞれフレームワークという枠組みに他社製品を取り込んで統合しようとの動きもあったが成功していない。またデータを交換する共通フォーマットとしてEDIFの研究が始まった。
ハードウェア記述言語の登場

カーバー・ミードリン・コンウェイの著書『超LSIシステム入門』で、プログラミング言語のコンパイルによって回路を生成することが提唱された。これは論理合成として後に実用化される。

1980年代半ばに、回路図ではなくプログラム言語に似たハードウェア記述言語(HDL)の一つであるVerilogとそのシミュレータが登場、回路図に代わって言語記述で設計する手法が始まった。1980年代後半には、そのHDLから論理回路(ネットリスト)を自動生成するシステムが実用化された。この技術は論理合成と呼ばれ、シノプシスにより製品化された。
1990年以降

それぞれのツールの性能向上が続くなかで、半導体製造工程の微細化による様々な問題を解決するためのツールが各種登場する。シミュレーションを行わずにタイミングの問題を検証するツール(静的タイミング解析)、複数の回路の等価性を比較するツール(形式等価判定)、配線遅延や負荷を考慮しながらクロック配線網を生成するツール(クロックツリー合成)など各種のものが登場している。また実際ウェハーにパターンを露光する際、光の波長に近づき近接効果が無視できなくなってきたため、あらかじめ補正する光学近接効果補正技術(: optical proximity correction、OPC)も使われるようになった。

1990年代後半よりHDLより抽象度の高い記述を可能とする言語の開発が始まった。C/C++を元にしたSystemC、SpecCや既存のVerilogの拡張であるSystemVerilogなどである。これらはシステム記述言語などと呼ばれる。

プラットフォームはサン・マイクロシステムズを中心とした各種ワークステーションのシェア向上が続いたが、PCの性能向上によりLinuxを使う動きがでてきた。Windows NTおよび後継のサポートもされるようになってきた。2000年以降、ハードウェアとしてPC/AT互換機を、OSとしてWindowsやLinuxを使う動きが加速している。
製品種別、守備範囲

実際の設計フローにしたがって各製品の種別と守備範囲を示す。
デバイス・プロセス設計

プロセス工程設計実際の半導体プロセス条件の最適化を行うプロセスシミュレーション


デバイス設計デバイスの構造から特性の計算を行うデバイスシミュレーション。適切なデバイスの構造の条件を決定する。プロセス工程の設計とリンクした設計が可能。近年では、半導体製造を専門に請け負うファウンドリの登場により、デバイス・プロセス設計、モデルパラメータ抽出が不要となる場合が多い。

モデルパラメータ抽出測定結果やデバイスシミュレーションの結果から回路設計において必要なモデルパラメータを決定する。各種のモデル抽出用のCADツールを使用する。

システム、回路設計

システム、アーキテクチャ設計全体のシステムの要求より、構成するブロックと各ブロックの要求性能を決定する。この際に行われるシミュレーションをシステムシミュレーション
という。

個別ブロック設計各ブロックはシミュレーションを利用して、個別に要求性能を満たす設計を行う。デジタル回路のブロックはVerilogVHDL等を用いた論理記述で、アナログ回路はSPICEネットリスト等を利用した記述で回路図へ変換を行う。必要に応じてIPを利用する。

IP: intellectual property)知的財産権をもった既製品の回路ブロックのこと。

シミュレーション回路シミュレーション・論理シミュレーション・アナログデジタル混載シミュレーション(: mixed signal simulation)・故障シミュレーション・プロセスシミュレーション・デバイスシミュレーション・システムシミュレーション等がある。


DFT (: design for test) / DFM (: design for manufacturing)DFTは製造時の製品の欠陥を検出する仕組みを、あらかじめチップの回路に作りこんでおく手法で、バウンダリスキャン、BIST (built-in self test)、ATPG(: auto test pattern generation)などの欠陥検出回路を追加する。DFMは欠陥があることを前提として歩留まりを向上させる仕組みを、あらかじめ作りこんでおく手法。


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