E-4_(航空機)
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また発生当時、大統領はフロリダ州を訪問しており、専用機で移動しているので本機も随伴していた。大統領は当日中にルイジアナ州バークスデール空軍基地(給油と国民に向けた声明発表を行うため)と本機が所属しているネブラスカ州オファット空軍基地、更に大統領専用機が所属するメリーランド州アンドルーズ空軍基地と3つの空軍基地を経由してワシントンD.C.へと帰還した。しかし、いずれの移動にも本機が使用されることはなかった。

2017年6月23日ネブラスカ州オファット空軍基地(英語版)周辺で竜巻が発生、軍用機10機が損傷を受けた。この中には普段、動静が明らかにされていないE-4が2機含まれており注目を集めた[2]

現在では国防長官の外遊にも使われ、飛行中に同行した記者団に会見する[3]
開発

アメリカ空軍は老朽化してきていたEC-135J(英語版)空中指揮機の後継機を1971年より検討していた[4]。この計画は発展型空中指揮機(AABNCAP,Advanced Airborne Command Post)/481B計画として検討が続けられた。1973年2月にボーイング747-200を改装し、国家空中指揮機・E-4A2機を製造する契約が、空軍電子システム部(Air Force Electronic Systems Division)とボーイング社の間で結ばれている。製造中の機体の転用であったため、原型機は1973年6月19日[5]に初飛行している。1973年7月には3機目の発注もなされた。E-4Aは暫定的な機体であり、指揮統制用の通信・電子機器はEC-135Jと同等であった。E-4は機体が大型化されたこともあり、EC-135よりも搭載量が大きかった[6]。後に搭載量を生かして、新規電子器材の追加搭載を行なっている。この新規電子器材の開発は、E-システム社が請け負っていた[4]。1号機・2号機はJT9Dエンジン、3号機はF103-GE-100エンジンを装備していたが、1号機・2号機も後にF103に換装されている。1号機は1974年12月、2号機・3号機は1975年に配備された。

1973年12月に改良型のE-4Bが発注された。これは1979年12月21日に納入されている[4]。E-4Bは空中給油装置が付加され、胴体前部上方に瘤状の衛星通信用SHFアンテナファリングが設けられた[7]。VLFアンテナの設置位置も変更され、EMP対策も強化されている。1985年までにE-4A 3機もE-4B仕様に改装されている[6][4]。E-4Bからは国家中枢の指揮機としてだけではなく、戦略軍司令部用のルッキング・グラス任務機としても用いることができるようになった[4]。その後も必要に応じ、通信機能等の強化が行われており、1980年代後半にはEHF衛星通信機も搭載された[8]
改造した点

E-4Bのベース機であるボーイング747-200Bと基本的に飛行性能は同じであると思われる。しかし、任務に応じた改造がなされている。
内装の変更
キャビン内には国家指揮権限作業区画、会議室、ブリーフィングルーム、戦闘幕僚作業室、通信
管制センター、休憩室、記者会見室などを設置している。
空中給油受油装置の付与
任務の性質上、長時間空中に留まる可能性があることから空中受油設備を備える。しかし、エンジンオイルは空中給油によって補充することができないため、航続時間はエンジンオイルがなくなるまでの72時間に限られる。受油口は機首に設置された。なお、無給油では12時間の航続能力を持つ。
各種電子機器の追加
搭載された電子機器は核爆発によるEMPに対抗するためのシールドを施してある。EHF(ミリ波)通信による衛星通信能力、VLF(超長波)通信による対潜水艦通信能力などを備える。機体上部の出っ張りはSHF/EHFアンテナ。LF/VLFアンテナは長さ6kmで、機体尾部から曳航する。
レイアウト
上部デッキ

フライトデッキ
コクピットには機長副操縦士航空機関士・ナビゲーター(航空士あるいは航空通信士に相当するものと思われる)が乗務する。フライトクルーのラウンジ・仮眠区画などはフライトデッキ後方に設置されている。

中央デッキ

会議室/映写室会議用の区画、その後部に
プロジェクタ映写室がある。映写室でブリーフィングルームで表示される映像をコントロールしている。

国家指揮権限作業区画(NCA-Area)国家指揮権限作業区画は大統領用の区画で、執務室・仮眠ベッド・更衣室を備え付けている(大統領も含め、運用時に搭乗する最も位の高い者が利用する)。

ブリーフィング・ルーム作戦計画等の情報伝達(ブリーフィング)を行う。会議机では21の椅子が利用できる(高級幹部用3席、一般用18席)。ブリーフィング・ルーム後方に、2つのプロジェクタを有する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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