DVD
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またECMA-330[22]により標準化されている。

PD規格を提案した松下電器産業(現・パナソニック)が中心となってPDの技術をもとに開発され、1998年4月にパナソニックと日立製作所から最初の製品が発売された[23]

DVD-RWとは異なりデータの記録面の材料にはアモルファス金属材料を用いているが、レーザー光照射による加熱での結晶化を利用している(結晶化することで反射率が変化する)点では同じである。

DVD規格の一つであるが、記録密度・ランダムアクセス性向上のために通常のDVDとは異なるアドレス方式やトラッキング方式をとっており(前述)、ディスクの回転制御の方式も大きく異なるなど他のディスク (DVD-ROM/DVD-R/DVD-RW) とは物理的記録方式に異なる点が多いため、特に対応したドライブでしか読み書きができない。他の書き換え型DVDであるDVD±R/RWが一般のDVD機器で読み書きができるのとは対照的である。また、初期のDVD-RAMドライブはPDも使用可能であったが、Version2.0対応のドライブからは互換性がなくなった。

記録面は、円周方向に他のDVDメディアには見られない細く短い線が微妙に角度を変えながら全面に分布している。これは埋め込みサーボ技術のサーボパターンであり、このパターンを検出することで瞬時にヘッドの位置を認識することが出来、ランダムアクセスの高速化に役立っている。同様の技術はMOHDD(磁気情報なので肉眼では見ることが出来ない)にも使われている。

かつてはDVD-RAMへ書き込みを行うにはドライバ(UDF)のインストールが必要だったが、Mac OS XやWindows XP以降ではOS標準でサポートされるようになった(FAT32形式のみ)。また読み書きに専用のライティングソフトは必要とせず、通常のファイル操作で使用できるのも特徴である。Windows 95ではHDDだと1つのドライブにつき2 GB以下のパーティションしか扱えないというFAT16フォーマットの制限があったが、DVD-RAMの場合はUDFフォーマットが利用できるため、Windows 95であっても2.6 GBや4.7 GBといった大容量を1つのドライブとしてHDD感覚で読み書きできた。こうした環境ではデータ用HDDの代替としても利用価値があった。[要出典]

当初はデータ用として普及したが後にビデオ録画用にも普及した。民生機では書き込みの高速性を利用して録画を行いながら別番組を再生することなども可能。また、DVD-RAMは不要な部分だけを簡単に消せるうえ、録画したDVD-RAMを別の機器で再生させる場合でもファイナライズ処理が不要である。

アナログ放送用のDVD-RAMレコーダーでは、DVD-VR方式で記録する。このため、パソコンを使って映像をDVD-VR方式で書き込めばレコーダーで再生することができる。逆に、レコーダーで録画したディスクをパソコン上で再生することもできる。これらを可能にするソフトウェアとしてはパナソニックのDVD-Movie album、UleadのDVD Diskrecorder(DVD MovieWriterにも実装)、ペガシス製のTMPGEncシリーズ等がある。これらは主にタイトル名編集、カット編集、DVD-Videoモード形式への変換などの機能がある。

ハイビジョン放送用のDVD-RAM対応レコーダーでは、AVCREC方式で記録する。これもパソコンで扱えるが、UDF2.5フォーマットに対応していること、アプリケーションがAVCRECに対応していることが前提となる。

なおDVD-Video方式でDVD-RAMに書き込むことも可能であり、対応するアプリケーションも存在するが、市販されているDVDプレーヤーの多くは最新機種も含めてDVD-RAMには未対応のまま現在に至っている。

ファイルシステムとして読み書きすることが前提となっているため、回転速度は各ドライブの設計に依存する。ただし実際には低速度メディアではZCLV、高速メディアではPCAVで制御しているドライブが大半である。

DVD±RWの1000回を上回る、10万回以上の書き換えが可能である。さらに不良セクタの代替機構の構築や、書き込み時のベリファイ[注釈 4]が自動的に行われる。ただしベリファイを行うため、たとえば2倍速の書き込みは1倍速の読み出しと同程度の時間を要する。

デメリットは構造上の特徴からDVD-Videoとの互換性が無い点であり、DVD再生専用プレイヤーやDVD再生対応ゲーム機などで対応機種が少ない点である。また、カートリッジ付メディアの挿入は出来ないドライブが多い。現在[いつ?]、カートリッジ型対応のドライブを生産しているのはパナソニックほか少数である。ただし後年は読み取りドライブのマルチ化が進んでおり、未対応ドライブを除いて実用上の互換性は大きな問題にはならなくなりつつある。[要出典]

当初規格統一に参加していたソニーやフィリップスなどはDVD-RAMがDVD-ROMとの互換性が比較的低いことなどを理由に、1997年5月になってDVD+RWを対抗する規格として提唱した。これは片面3 GB、両面6 GBの容量を持ちDVD-ROMと互換性があった。しかしDVD-RAM陣営は1999年6月、これを上回る片面4.7 GBのVersion 2.0規格の決定を発表した[24]。ソニー、フィリップス、ヒューレット・パッカードの3社を中心とするDVD+RWアライアンスは、独自の対抗規格として同等の容量を持つDVD+RWを策定している。

DVD-RAM陣営はドライブの製造メーカーとしてはパナソニック、日立LGデータストレージ東芝サムスンストレージ・テクノロジーなどが、テレビの録画用DVDレコーダーとしてはパナソニック、日立、東芝、日本ビクターなどがあった。2006年4月にはパイオニアも加わった。このうち日立・日本ビクター・パイオニアはカートリッジタイプのディスクは使用できなかった[注釈 5]

2003年の時点では記録型DVDとしての世界シェアは約10 %、日本国内ではレコーダーの普及により約60 %のシェアを持っていた。2001年発売されたApple Power Mac G4 にDVD-RAMドライブがオプションでラインナップされたことにより、一時的にシェアが増大したこともある。[要出典]しかしその後日立と日本ビクターが民生用DVDレコーダー事業から事実上撤退し、2007年12月以降はパナソニック・東芝の2社のみとなった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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