ビデオ用フォーマットの規格としては基本的にはDVD-Videoの規格仕様にほぼ近いものであるが、若干異なっている。以下にその仕様を整理する。
解像度
NTSC
Full D1:720×480
Cropped Full D1:704×480
3/4 D1:544×480
2/3 D1:480×480
Half D1:352×480
SIF:352×240(MPEG-1専用)
PAL
Full D1:720×576
Cropped Full D1:704×576
3/4 D1:544×576
2/3 D1:480×576
Half D1:352×576
SIF:352×288(MPEG-1専用)
多重化ストリーム
符号化方式:MPEG-2プログラムストリーム
最大多重化レート:8Mbps
映像ストリーム
ストリーム数:1
符号化方式:MPEG-1/MPEG-2
最大レート
MPEG-1:1.856Mbps以下
MPEG-2:7.80Mbps以下
音声ストリーム
ストリーム数:2
符号化方式:リニアPCM/Dolby Digital (AC-3) /MPEG-1オーディオ/MPEG-2オーディオ
詳細(サンプリング周波数/量子化bit/レート/ch数)※それぞれ最大値
リニアPCM:48kHz/非圧縮 (16bits) /1.536Mbps/2ch
Dolby Digital (AC-3) :48kHz/圧縮/488kbps/5.1ch
MPEG-1 Audio Layer-2:48kHz/圧縮/384kbps/2ch
MPEG-2 Audio Layer-2:48kHz/圧縮/912kbps/7.1ch
副映像(サブピクチャ)ストリーム
ストリーム数:1
符号化方式:ランレングス符号化ビットマップ(2bit/ピクセル)
最大データサイズ:52kB
最大画素数
525/60システム:720×478
625/50システム:720×537
その他
VRモードで記録した動画を編集・管理するソフトウェアとして、パナソニックの「DVD-MovieAlbum」が有名である(なお、これはハードウェア付属ソフトウェアとしての限定提供である)。
当初はVRモードで録画できる市販メディアはDVD-RAMとDVD-RWに限られていたが、2004年にVR録画に対応したDVD-Rメディアとそれに記録できるDVDレコーダーが登場した(規格上は、規格策定当初から存在していた)。
関連する規格
DVD+VR
DVD+RW・DVD+Rメディアで使用するフォーマット。DVD-VRとは関連性がない。DVD-Videoのフォーマットに準拠し、カット編集などを行った後でもDVD-Videoとの互換性を保つのが特長。パソコン向けDVD+RW/+Rドライブを使ってディスクにダイレクト録画・編集できることを売りにリコーが推進したが、ほとんど普及していない。
DVD-SR
デジタル放送などのストリームを記録するためのフォーマット。製品化されていない。
DVD-AR
DVD-Audioフォーマットに準拠した、主に音声を記録するためのレコーディングフォーマット。製品化されていない。
BDAV
BD-R、BD-REなどの書き込み式Blu-ray Discで利用されているアプリケーションフォーマットの一種。
HD DVD-VR (HDVR)
記録型HD DVDで用いられたビデオフォーマット。
HD Rec, AVCREC
ハイビジョン映像がDVDに記録できないDVD-VRの欠点を克服するためのフォーマット。それぞれHD DVD陣営・Blu-ray Disc陣営が採用した。
脚注[脚注の使い方]^ アプリケーションフォーマットとして適用された最初のDVDメディアはDVD-RAMで、後にDVD-RW、DVD-Rに順次適応が拡大した。
^ 「編集できるのがDVD-VR、編集できないのがDVD-Video」などのように誤解しやすい説明がされている場合があるが両者とも書き込み型DVDメディアに記録・保存(録画)する場合(ディスクメディアに記録する前は)、編集することは可能である。使い勝手の面で両フォーマットの大きく異なる点は、ディスク上に一度記録した後に再編集が可能かどうかである。DVD-Videoフォーマットは元々パッケージビデオソフトを作成するために定められたもので、ビデオ作品として編集が完成した状態のもの(デジタルビデオデータ)を記録するのに適したフォーマットであり、一旦DVDメディアに記録した後に再編集するということは一切考慮されていない。一方DVD-VRは読み取り専用であるDVD-Videoフォーマットの策定と関連商品の展開(ビデオメディアとしての販売・レンタルや再生機の販売)が先に行われ、それらが社会に流通・普及した後に録画用として新たに規格の策定や関連製品の商品化(レコーダーや記録メディアの製造・販売)が行われた。DVD-VRフォーマットは基本的な部分ではDVD-Videoフォーマットが基になっているが、読み取り専用としては不要であった技術を可能にする関係でDVD-Videoフォーマットよりも追記や記録後の再編集に都合がよい論理構造を用いた規格として定められた。これらの事からディスクメディアに一旦記録した後で一部を削除したり、まだ空いている部分への追記や一度削除して空いた部分へ再記録するといった使い方は基本的にはDVD-VRでしかできない。ただし、DVD-VRフォーマットを用いた場合でもDVD-Rを使用した場合は一度記録したデータエリアの再利用が不可能というディスクメディア自体の物理的な特性・制限により、可能な編集は部分削除のみとなる。
^ 映像ファイルの生成に圧縮コーデックのMPEG-2を使用している制限上、映像ファイルの実際の編集単位はDVD-Videoフォーマットと同様のGOP (Group Of Picture) 単位である(データ上はあくまでGOP単位で記録されている)が再生時の処理工夫により擬似的なフレーム単位編集を実現している。
^ 同一音声ストリームとして2つのチャンネルが定義されているところはステレオ2ch音声と同じだが、デュアルチャンネルとしての識別が可能な状態で記録している。