DVDは、大容量の記録を目指したディスクであり、CDではレーベル面に当たる面にも記録できるよう、両面記録の規格が存在する。しかし、レーザーディスクのように一面の読み込みが終わった際に裏返すのは手間がかかる。そこで、片面に二層構造を持たせれば、一層構造より多くの容量を確保することができ、裏返す手間もなくなる。ユーザ記録型のDVD+R DLが市場に登場したのは2004年6月で、DVD-R DLが2005年5月である。光学ドライブによっては、相性や仕様で読み取れない場合もある。また、単層方式に比べレーベル面の取り扱いに注意しないと、CDのように記録層が破損する等のトラブルに見舞われる。また、ドライブがあまりにも古い場合(例えばPS2のSCPH-10000)、レンズの経年劣化が原因で二層DVDだけを読み取れなくなる症状に陥ることも多い。Xbox、Xbox 360規格のディスクは二層DVDを独自規格にしたものが採用されている。
二層構造の場合、全反射をする層を2つ持たせると奥にある層の読み込みができなくなる。それゆえ、片面(両面)二層ディスクの第1層目(「レイヤー0」、あるいは略して「L0」と呼ぶ)が薄い金属膜でできており、第2層目(「レイヤー1」または「L1」と呼ぶ)は全反射をする構造になっている。レイヤー0は薄膜であるのでレイヤー1よりも読み取りのための反射光の検出率が悪くなるが、記録密度を下げることで読み取り性能を確保している。したがって、二層ディスクの容量は単層ディスクの2倍よりも少ない。
レイヤー0は(CDと同じで)内周側から外周側に向かって記録・読み込みを行う方式であるが、レイヤー1の記録方式には以下の二通りがある。
パラレル方式
レイヤ―0(第1層目)と同じく、内周側から外周側に向かっていく方式。
オポジット方式
レイヤー0とは逆で、外周側から内側に向かっていく方式。
これらの情報は、DVDの管理情報としてレイヤー0の最内側に記録されている。ちなみに、DVD+R DLではオポジット方式のみとなっている。二層ディスクのDVDを再生していると、途中で読み込むレイヤーを切り替えるときが来る。DVD-Videoを再生している場合、一部の再生機ではレイヤーの切り替えの際に時間がかかってビデオ再生が一瞬停止したような状態になることがある。(連続再生時にレイヤーが切り替わる際の読み取りピックアップの移動はオポジット方式であればパラレル方式よりも少なくて済む利点がある。)
二層方式のDVDはDLと略して呼ばれることが多いが、正式名称はDVD-DLではDual Layer、DVD+DLではDouble Layerと、それぞれ異なる。 トラックに沿って、ピットと呼ばれる凹みを作ることで記録することができる。読みとる際はレーザー光線を当て、凹み有無による反射の違いを利用する。 DVDのトラック形状は同心円型ではなく、CDと同様の渦巻き型である。 トラック・フォーマットは物理規格ごとに異なっている[9]。 ウォブル・ランドプリピット方式を採用したDVD-R/RWディスクには、グルーブ(溝)とランド(丘)があらかじめ刻まれており、グルーブは蛇行している。この蛇行をウォブルと呼ぶ。またランドにはあらかじめランドプレピットというランド部分の途切れている部分がある。ドライブは、ウォブルとランドプレピットにより、位置決め(アドレッシング)を行う。記録されるデータ(ピット)はグルーブに書き込まれる。 高周波ウォブル・グルーブ方式を採用したDVD+R/RWディスクでは、ランドプレピットがなく、ウォブルの蛇行周波数が高い。ピットはDVD-R/RWと同じくグルーブに書き込む[10]。 ウォブル・ランドグルーブ方式を採用したDVD-RAMではグルーブとランドにピットを書き込む。 読み出し専用のDVD-ROMはピット方式を採用している。 なお、位置情報の記録方法はDVD-RW系とDVD+RW系で異なる。 データの転送速度は等倍速で11.08 Mbps (=1385 kiB/s) である。これはCDの転送速度を1倍速 (150 kiB/s) として、9倍速程度に相当する。規格上定められている最大転送速度は16倍速(DVD-Rの場合)であるが、これは177.28 Mbps (=22.16 MiB/s) に相当する。 DVDに使用される論理フォーマットは主に以下の二つである。 CD時代から使用されているISO 9660に加えて、Optical Storage Technology Association(略:OSTA)が策定した、拡張性の高いUDFに対応している。映像用途ではDVD-VideoがUDF 1.02、デジタル放送の録画で使われるDVD-VRにはUDF 2.00が使用されている。 PC向けのデータDVDでは上記のどのフォーマットでも使用できるが、PCのDVDドライブとOSが対応していないければ読み込むことができない。ISO 9660は古い規格で拡張性に乏しいのでそれだけ互換性には優れているため、ISO 9660とUDF 1.02の両方に対応したUDF Bridgeも使用される。 実際のファイルシステムは使用するOSやドライバーソフトに依存する。
記録方法
転送速度
論理フォーマット
ISO 9660
Universal Disk Format (UDF 1.02, 1.50, 2.00, 2.01)
UDF - 他のOSとの互換性に優れる。通常はこれが推奨される。リッピングを行うと「.iso」ファイルのみが出力される。
UDF1.02 - DVD-ROMの標準フォーマット。記録型メディアにも使用できるが、一度に全体を書き込む必要がある。DVD-Video方式での記録ができるようになる。DVD-RAMではほとんど使われない。
UDF1.5 - CD-R/RWの登場を機に、UDF1.02にパケットライト機能を追加したもの。パソコン用途でよく使用される。
UDF2.00 - UDF1.5の拡張版で、DVD-VR方式での記録ができるようになる。DVD-RAMの標準的なフォーマット。アナログ放送用のDVD-RAMレコーダーで使用されていたほか、パソコン用途でもよく使用される。
UDF2.01 - UDF2.00のバグ修正版。DVD-AR (DVD-Audio) 等で利用。
UDF2.5 - 本来はBD用のフォーマット。AVCREC方式での記録ができるようになる。ハイビジョン対応のレコーダーで使用される。
UDF2.6 - UDF2.6はBD-Rにファイルの疑似消去や疑似書き換えを盛り込んだ規格。
FAT - FAT16とFAT32が使える。主にWindows用のフォーマットであり、Windowsを除く古いOSとの互換性に問題がある。Windows XPや、デスクトップ向けLinuxディストリビューションなど、OSに標準搭載されているディスク・ユーティリティがUDFでのフォーマットをサポートしていない場合を除き、DVD-RAMではほとんど使われない。Windows 8以降の標準ディスク・ユーティリティ上でのフォーマットはサポートされていない。
HFS、HFS+ - 主にMac用。他のOSとの互換性に問題がある。ほとんど使われないが、2000年頃のPower MacにDVD-RAMドライブが搭載された事が有り、一部機種では起動ディスクにする事が出来たためメンテナンス用には重宝した。
ISO 9660 - ほとんど全てのOSで読み込みができるが、ファイル名などに制限がある。DVD-RAMではほとんど使われない。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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