DOMMUNE
[Wikipedia|▼Menu]

DOMMUNE (ドミューン)は、ライブストリーミングスタジオチャンネル宇川直宏が主催する。ライブ配信黎明期の2010年に日本初のUstreamライブストリーミングとスタジオを兼ねる場として開局し、Ustreamのサービス終了を経て2021年時点ではYouTubeを中心に配信している。DOMMUNEという名称は、小規模な共同体を指すcommune(コミューン)の次のレベルに来るものという意味(Cの次のD)の造語である。撮影現場にいるオーディエンスと、ネットで鑑賞する視聴者の交流を核としている[注釈 1][1]

2021年時点までに約5000番組以上を配信し、配信時間は約10,000時間、20,000組以上のゲストが出演している[2]。2011年に文化庁メディア芸術祭推薦作品に選出され、開局10年後の2021年にコロナ禍においてアート/エンターテインメントがオンライン化してゆく中、DOMMUNEの活動のその先駆性が改めて認められ、文化庁芸術選奨の文部科学大臣賞を宇川直宏自身が受賞した[3]。宇川はDOMMUNEの活動と番組を、自らの芸術活動/美術作品と捉えており、現代美術よりも即時性のある「現在美術」と呼んでいる[注釈 2][4]
時代背景
ソーシャル・ネットワーク・サービス

ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)は2000年代に相次いで開始された。初期に多くのユーザーを獲得したとされる2002年のFriendsterに続いて、2004年頃からLinkedInMyspaceOrkutなどが参入し、日本でも2004年のmixiや2006年のTwitterによって普及が進んだ。2006年にMyspaceのユーザー数が1億人を超えたが、大学内のSNSだったFacebookが2006年から一般向けサービスで大きくユーザー数を増やして世界最大となった[5]
動画配信サービス

動画配信サービスは、個人撮影のビデオ動画の販売代行をする1997年のshareyourworld.comが最初期とされる。2004年にパンドラTV、2005年にYouTube、2006年にStickam、2007年にUstreamの一般向けサービスやニコニコ動画などが始まった[注釈 3][7][6]。初期の配信サービスには、BlogTVなど一部を除けばSNSへの連携がなかった。のちにDOMMUNEのプラットフォームになるUstreamはイラク戦争(2003年-2011年)でアメリカ軍の兵士が家族とコミュニケーションをするために始まったサービスであり、一般向けサービス開始当初はコメント機能のみだった[8]
経緯
Mixrooffice(2006年-2008年)

SNSが日本で普及し始めた2005年以降、宇川はSNSのコミュニケーションは希薄と考え、ダンスを通じた物理的な交流の場を設立した。これが「Mixrooffice」(マイクロオフィス)というオフィス兼クラブであり、2006年から2008年に運営され、DOMMUNEの前身にもなった[注釈 4][10]。Mixroofficeのパーティにはフライヤーがなく、告知はmixiのMixroofficeコミュニティで行われ、前日や当日の告知も多くリアルタイム性を重視していた[注釈 5][11]DJが1人で12時間プレイする「HALFDAYS」というレギュラーパーティのほか、MOODMANやDJ NOBUなどのDJによるパーティがあり、国外からはデリック・メイ、ウエストバム(英語版)らが来日してプレイした[10]三田格野田努のトークプログラムもあり、芸術家や評論家をゲストに招いていた[12]。クラブの運営においては風営法があるため、24時で終了するという構成もDOMMUNEに引き継がれた[注釈 6][15]
DOMMUNE(2010年-2019年)

Mixroofficeの契約満期が近づく2007年から、宇川は全世界に向けて現場の模様をストリーミングする企画を構想した[13]。宇川は京都造形芸術大学で2003年から京都と東京を双方向配信でつなぐ番組制作の授業を行ない、iSightiChat AVを使ってノウハウを蓄積していた[注釈 7][18]。動画配信を始めるにあたり、宇川は当初は独自の手段を検討していた。しかし2009年にTwitterのAPIがUstreamに採用され、配信のリアルタイムの感想がTwitterに流せるようになったため、Ustreamをプラットフォームとして2010年3月1日に開局となった。スタジオは地下にありキャパシティは約50人、中心スタッフは3人だった[注釈 8][7]

DJプレイを配信する上で、DJが使用する楽曲の著作権の扱いが課題となった。楽曲の著作権をクリアするため、音声と動画についてはJASRACの利用許諾を得た[注釈 9][21]

当初は、スタジオの他にもカメラを置く企画があった。定点カメラで富士山を撮り、四季の変化に合わせて石野卓球が24時間の音をつける「THE FOUR SEASONS」や、カメラのさくらや新宿店の前に定点カメラを置いてジョン・ライドンが偶然通ったら終了する「LIVE IN TOKYO」などのアイデアがあったが、実現していない[注釈 10][22]
SUPER DOMMUNE(2020年-)

2020年からは渋谷PARCOの9階にスタジオを移転し、5G以降の技術を取り入れる「SUPER DOMMUNE」が開局した[注釈 11][2]。従来の番組に加えて、渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトとの協力で拡張現実(AR)のライブも配信されている[注釈 12][2]。渋谷PARCO2周年記念配信では、立花ハジメの詩人デビュー記念番組として7時間の配信を行なった[27]
番組構成・機材
配信時間・構成

主に月曜日から木曜日にかけて、19時から24時まで配信される。番組の構成は、1部がトークを2時間(19時から21時)、2部がDJやライブを3時間(21時から24時)となっている。この構成はMixrooffice時代に原型が作られていた[注釈 13][29]。また、DOMMUNE開局の時期には雑誌の休刊が相次いだため、1部のトークでは紙メディアに関わっている編集者やライターに番組を依頼するという意図もあった[注釈 14][31]
機材

サウンドシステムは、ファンクション・ワン(英語版)と、マスターブラスター(Master Blaster)のスピーカーをもとに構築された[注釈 15]。サウンドエンジニアとして、フジロックフェスティバルMETAMORPHOSE、LIFE FORCEなどのフェスティバルのPAも担当した浅田泰がMixrooffice時代から関わっている[32]。ただ、開局当初の環境では音や動画のクオリティに配信が追いつかず、ビットレートを落としていた[33]

渋谷PARCOに移転したSUPER DOMMUNEでは、ほぼ全てのポイントにアコースティック・リヴァイブの製品を使っている。併用アンプの電源、スピーカー・ケーブル、DJミキサーの電源ケーブルやライン・ケーブル、レコードの針飛びを防止するマグネット・フローティング・インシュレーター、ターンテーブルシート、超低周波発生装置、コンディショニング・エキサイターなどにアコースティック・リヴァイブが採用されている[注釈 16][35][34]
現場

DOMMUNEにおいて、現場は3つに分類されている。
第1の現場は撮影をしているスタジオを指す。人とハグできる距離とも表現される
[36][34]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:194 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef