D端子
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D-sub端子」あるいは「DVI端子」とは異なります。
D端子ケーブル コネクタ部
このケーブルはD4対応のもの。液晶テレビに搭載されたD端子。上図の機器はD4まで対応している。D端子(D5)を装備している薄型テレビ(2010年)

D端子(ディーたんし)とは映像機器のアナログ映像信号を伝送するために規格された日本独自の接続端子である。

D端子という名称は、ハーフピッチベローズコネクタの形状が「D」の文字型をしていることから命名されたものである[1]

主にPCのコネクタを思わせる形状やデジタル放送受信・録画再生機器に用いられることからD端子の「D」は「デジタル」を示していると誤解[注釈 1]されることが多いが、前述の通りあくまで形状による命名であり、内部の信号はアナログ信号である[注釈 2]
概要

EIAJ(Electronic Industries Association of Japan; 日本電子機械工業会)によってRC-5237として1999年7月に制定された規格で、「デジタル放送映像信号用(Y, Pb, Pr)接続用D端子コネクタ」の名称が付いている。専ら日本国内で利用されている規格で、名称にデジタル放送映像信号用とあるが実際に内部を流れているのはアナログ信号である。

従来はコンポーネント映像信号(SD信号専用は「Y/Cb/Cr」、HD信号にも対応した端子なら「Y/Pb/Pr」と表記される)を伝送するためにはコンポーネント端子を用いていたため、入力側・出力側それぞれ3つの端子の間を計3本のケーブルを使って接続する必要があった[注釈 3]。これを1本のケーブルで接続できるように端子を1つにまとめたものが、D端子である。また、コンポーネント映像信号だけではなく走査線数・走査方式アスペクト比を切り換えるための識別信号の伝送も可能になり、プラグ挿入の検知機能も付いた。

コネクタは14のピンを7つずつ2段にまとめた構造をしており、そのうち輝度信号の伝送に2つ、色差信号の伝送に4つ、走査線数・走査方式・アスペクト比を切り換えるための識別信号の伝送に3つ、プラグの挿入を検知するために2つのピンを用い、残り3つのピンは予備ライン用である。なお、識別信号を伝送する場合は外被 (FG) の接続が必須となるため、実質的な端子数は15となる。また、ハンディカムなど機器の都合で物理スペースが十分に確保できない場合、特殊D端子が用いられることがある。

コンポーネント端子と比べても値段はほとんど変わらず省スペースであるため、日本国内ではコンポーネント端子よりも普及しているが、コネクタの構造(接続部での整合が取れない・信号線のシールドが維持できないなど)に起因して画質が若干コンポーネント端子に比べて劣るという声もある。日本独自の規格であるため、諸外国の製品では特に日本向けとして生産されたものでない限り、採用されていない[注釈 4]。よって、D端子の映像をHDMIに変換する器具は未だ登場していない。

映像信号のみの伝送に用いるので、音声の伝送は行わない。機器間で音声信号も受け渡したい場合には、音声についてさらに別線(RCA端子など)で接続する必要がある。

なお、D3・D5がフルハイビジョン(フルHD)の解像度、D2・D4・D5がプログレッシブに対応している。
規定されている規格

映像信号規格(フォーマット)ごとに対応規格がさらに細分化されている。端子の形状は全て同一。

映像信号規格の名称表記については、有効走査線数と総走査線数(本文では( )内表記が総走査線数)による表記がある。また、ドット数表記は水平×垂直を表す。映像信号規格の区分名称はその映像フォーマットの垂直解像度を表していて、表記している水平解像度は想定される対象の信号フォーマットの最大サイズを示している。なおD端子の規格定義上では伝送が可能な対象の各信号フォーマットについては上位互換を保証していて、細分化された各区分名称の解説で対象としている以外の若番の映像信号フォーマットも含まれる(詳細は以下の各章を参照)。
対応規格
D1
480i (525i) :720×480ドット インターレース(標準画質)
アナログテレビ放送 (NTSC) 及び、地上デジタルBSデジタルSD放送と同等の画質。また、VHS/S-VHSDVDビデオソフトもこの画質である。DVDなどのデジタル圧縮映像用にはこのD1 (Full D1) の他に3/4 D1 (544×480)、2/3 D1 (480×480)、1/2 D1 (352×480)、1/4 D1 (352×240 : SIF) もD1での伝送対象に含まれる。ワイドサイズ(縦:横=16:9)映像の場合は、720×480内に横方向を圧縮する形で記録されている(参考:スクイーズ方式)。映像信号はコンポーネント映像信号で、S端子と違って色差信号も分離されているため、S端子よりさらに画質が向上している。主にプログレッシブ出力機能を持たない製品に搭載されている。
D2 480p (525p) :720×480ドット プログレッシブ(標準画質)
ワイド映像なども含めた基本的なところはD1と同様だが、走査方式がプログレッシブ表示に対応した映像信号の伝送規格。D2接続の場合はハイビジョンにより近い解像感が得られるのが特徴で、DVDビデオソフトをプロジェクタを使ったホームシアターシステムやプログレッシブ方式対応テレビで視聴する場合は激しい動きのある映像の場合を除けば480iの場合よりも鮮明な映像が楽しめる。DVDプレーヤーでプログレッシブ出力機能を持つ製品はD2出力を搭載している。
D3 1080i (1125i) :1920×1080ドット インターレース(フルハイビジョン画質)
ほとんどのデジタルハイビジョン放送番組が対応している画質。1920×1080の他に1440×1080のフォーマットもあり2007年(平成19年)現在、実際のデジタルテレビ放送や撮影機材の規格として実際に多用されている(映像フォーマット上は画面のサイズ比が横:縦=4:3になるが、表示時に16:9の画面サイズに拡大される。参考:スクイーズ方式)。ハイビジョンビデオカメラ(HDV規格)では民生機でも放送取材用でも、多くがD3以上での映像信号出入力端子を標準搭載している。ハイビジョン試験放送などで使用されていた、1035iベースバンド信号も扱える。
D4 720p (750p) :1280×720ドット プログレッシブ(ハイビジョン画質)
2009年(平成21年)現在、多くのデジタルハイビジョンテレビや機器で対応している最上位の画質。D3出力の上位規格だが、水平解像度はD3出力に劣る。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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