初期のMacintoshのグラフィックシステムはグレースケール表示がサポートされておらず、モノクロ表示のディスプレイにおいて「選択できないメニュー項目」を示すために網目のトーンで文字がグレーアウト表示されても、可読性を持つことがChicagoの特徴である。大文字のO(オー)と区別するため0(ゼロ)にはスラッシュがある。
当初は12ポイントのビットマップフォントのみであったが、以後、他のサイズのタイプフェイスも追加され、1991年に書体デザイナーBigelow & HolmesによってTrueType規格のアウトラインフォントが作成された[3]。その後、文字間隔の微調整が行われたのみで、Mac OS 7.6までシステムのメニュー、ダイアログ、ウインドウタイトルおよびテキストラベルに使用された。
日本語版Mac OSのシステムフォントは、Sapporo、OsakaなどChicagoとは異なるゴシック体で、ラテン文字部分はHelveticaやGenevaであった。欧米版システム風の外観を好むユーザーのために、Chicagoに似せて作られた日本語フリーウェアフォントがインターネット上で流通していた[4]。
1997年、Mac OS 8でグラフィカルユーザーインターフェースの外観が一新されたのに伴い、システムフォントがChicagoからCharcoalフォントに変更された。Chicagoは標準インストールされるフォントとしては残り、CharcoalはChicagoの形状を基に設計されていたことから、AppleはChicagoを基準とするユーザインタフェースをデザインし続けるよう開発者に促していた。
1990年代、任天堂スーパーファミコン用のスクウェア製ゲームソフト「ファイナルファンタジーVI」や「クロノ・トリガー」などの英語版に採用された[5]。
Chicagoは低解像度のモノクロスクリーンでも読みやすいという特徴から、2001年に発売された小画面の携帯型音楽プレーヤーiPodのユーザーインターフェイスで復活した。2004年のiPod miniではより小さなフォントが必要となり、Apple Newtonから転用されたEspy Sansフォントに置き換わった。カラースクリーンが搭載されたiPod Photo(2004年)のインターフェースでは、2002年からAppleがマーケティング素材に段階的に採用してきたMyriad Proフォントに似たビットマップフォントであるPodium Sansフォントが採用された。
Mac OS X以降、Chicagoフォントはシステムに含まれなくなったが、タイ語フォントである「Krungthep」と「Silom」は、ラテン文字部分にChicagoを使用しているため、代替フォントとして使用することができる。
Chicagoは、1996年8月から米国での「コンピュータソフトウェアに記録された書体フォント」においてAppleの登録商標となっている。
脚注^ ケア, スーザン (1983年8月). “Folklore.org: World Class Cities”. www.folklore.org. 2021年1月8日閲覧。
^ “Elefont? font family 。Linotype.com”. www.linotype.com. 2021年1月8日閲覧。
^ チャールズ・ビゲロウ (1991年3月15日). “ ⇒Notes on Apple 4 Fonts”. Electronic Publishing, Vol. 4(3), ノッティンガム大学. 2021年1月8日閲覧。
^ “Macintosh カスタマイズ(2)”. web.archive.org (2017年4月27日). 2017年4月27日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2021年1月8日閲覧。
^ Patrick Lauke, "Chrono Trigger Proportional" Archived 2019-06-19 at the Wayback Machine., Smartfonts, 2017-03-29
外部リンク
⇒「KernYourEnthusiasm:The Friendliness of Chicago」 、Slate、2014年9月18日
「Browse Dozens of Retro Classic Mac OS Screen Shots from 1984 to 1999」、OSXDaily、2019年6月30日、Chicagoが用いられたClassic Mac OSのデスクトップ画面集