COVID-19ワクチン
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.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) > 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) > COVID-19ワクチンワクチンの承認状況と展開により色分けした地図 .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  一般認可 (Approved) 、集団予防接種を実施中   EUA付与、集団予防接種実施中   EUA付与、制限付き予防接種   一般認可、集団接種を予定   EUA付与、集団接種を予定   EUA保留中COVID-19ワクチンを少なくとも1回接種した人の割合

COVID-19ワクチン(コビッド19ワクチン、: COVID-19 vaccine)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)原因ウイルスであるSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対して、ヒト獲得免疫を提供することを目的としたワクチンである。新型コロナウイルスワクチン、新型コロナワクチンとも呼ばれる。

2021年5月時点で、接種開始済みから開発中まで、複数の方式や製造元のワクチンが存在する(mRNAワクチンDNAワクチンウイルスベクターワクチン不活化ワクチン組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチンなど)[1]

世界的に見て、2020年末や2021年初頭から複数の製薬企業が開発・製造した複数種のCOVID-19ワクチンの接種が始まっている。各国のワクチンの接種状況を概観すると、早期にワクチン調達契約を結ぶことに成功して既に大規模に接種が行われた国がある一方、ワクチン調達で遅れをとり接種がほとんど進んでいない国も存在する(後節の「ワクチンの確保・接種状況」を参照)。オーストリアのように接種の義務化を決定した国もある[2]。日本におけるCOVID-19ワクチンの接種については「日本におけるCOVID-19ワクチンの接種」を参照
概要[ソースを編集]2022年3月、3回目の接種を受ける岸田文雄内閣総理大臣

既に複数の製薬企業によってワクチンは臨床試験も済んでおり、世界各地で接種は行われている。有効性は各ワクチンごとに異なる(後節の「有効性」を参照)。

各国・各地の接種状況については後節の「ワクチンの確保・接種状況」を参照のこと。

いまだにワクチン開発に成功していない製薬会社の中には、今も新たな種類のCOVID-19ワクチンの開発の努力を続けている企業もある。なお2021年5月18日時点で、日本の製薬企業はいずれも自社のCOVID-19ワクチンの承認を得ることに成功していない。
開発開始までの経緯と開発の加速[ソースを編集]

COVID-19の大流行に先立ち、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)などの病気を引き起こすコロナウイルスの構造と機能に関する知識が確立されていた為、2020年初頭に様々なワクチン技術の開発を加速できた、とされた[3]。2020年1月10日、SARS-CoV-2の遺伝子配列データがGISAIDを通じて共有され、同年3月19日までに、世界の製薬業界がCOVID-19への取り組みを大々的に発表した[4]

2020年代に入り、COVID-19は世界規模で急ピッチに広がりを見せたことから、各国の研究機関や医薬品メーカーは、新たなワクチンの開発や他のウイルス用に開発された既存ワクチンの再評価に乗り出した。世界保健機関(WHO)は、2020年5月までに世界で118の計画が進行中とするリストを公表。うち8の計画は、その時点で既に欧米中華人民共和国(中国)で臨床試験の段階に入っていた[5]。また、WHOはワクチン開発に各国が共同出資・購入する枠組み「COVAX(コバックス)」を立ち上げた[6]

なお、2020年6月時点では、「最初に開発されるワクチンについては、感染防止よりも重症化や死亡を防ぐタイプのワクチンを開発する可能性がある」などと報道されていた[7]。また、高齢者にはワクチンが効きにくいと指摘する声もあった[8]

COVID-19用ワクチンの製造に当たり、新たな製造手法を模索する企業も現れた。これは、従来の鶏卵によるインフルエンザワクチンの生産手法を応用した場合、生産性が低いうえに時間がかかるというリスクがあること、また、卵に注入したウイルスが変異して、ワクチンの有効性が低下することも考えられるためである[9]。具体的には、DNAワクチンmRNAワクチンの開発が進められることとなった[10]

2020年5月時点で、WHO、感染症流行対策イノベーション連合(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations, CEPI)、およびゲイツ財団(GF)は、COVID-19感染症の継続を防ぐためにいくつかのワクチンが必要になるという見通しのため、資金と組織のリソースを投入していた[11]。ワクチン候補の迅速な投資と開発のために20億ドルの世界基金を組織しているCEPI[12] は、2020年9月に、ライセンス取得を支援するための臨床データが同年末までに入手できる可能性があることを示した。2020年5月4日には、WHOが主催したテレソン(長時間特別番組)で、40カ国から81億ドルの誓約書が寄せられた[13]。同時に、WHOは、第II/III相臨床試験に到達した複数のワクチン候補の同時評価のための国際的な「連帯試験」の展開も発表した[14]

2020年11月、バーレーンは中国のシノファーム社製ワクチンの緊急販売承認を与え、アラブ首長国連邦(UAE)がこれに続いた。12月には、バーレーンと英国が米ファイザー社製ワクチンを緊急時の使用を承認した一方[15][16]、UAEとカナダは一般使用を承認した[17][18][19]
臨床試験の状況[ソースを編集]

第III相臨床試験では、いくつかのCOVID-19ワクチンが、症候性COVID-19感染症の予防に95%という高い有効性を示している。2021年4月現在、16種のワクチンが少なくとも1つの国の規制当局から一般公衆用として認可を受けている。2種類のRNAワクチンファイザー - ビオンテック社製ワクチンモデルナ社製ワクチン)、7種類の従来型不活化ワクチンBBIBP-CorVCoronaVacCovaxin、WIBP-CorV(英語版)、CoviVac、Minhai-Kangtai(英語版)、QazVac(英語版))、5種類のウイルスベクターワクチン(スプートニク・ライトスプートニクVオックスフォード-アストラゼネカコンビディシアジョンソン・エンド・ジョンソン)、2種類のタンパク質サブユニットワクチンEpiVacCorona、RBD-Dimer(英語版))である[20]。合計すると、2021年3月時点で、308のワクチン候補が様々な段階で開発されており、73件が臨床研究中で、そのうち24が第I相試験、33が第I/II相試験、16が第III相試験となっている[20][21][22][23]
生産・配布計画[ソースを編集]

多くの国では、高齢者などの合併症のリスクが最も高い人や、医療従事者などのウイルスへの曝露・感染のリスクが高い人を優先して段階的に配布する計画が実施されている[24]。また、ワクチンの入手性が向上するまでの間、できるだけ多くの人々に接種を拡大するために、単回接種による暫定使用が検討されている[25][26][27][28]。2021年5月19日時点、各国の保健機関からの公式報告によると、全世界で13億回のCOVID-19ワクチンが投与された[29]。アストラゼネカ-オックスフォードは2021年に30億回、ファイザー - ビオンテック社13億回、スプートニクV、シノファーム、シノバック、ジョンソン・エンド・ジョンソン社はそれぞれ10億回の生産を見込んでいる。モデルナは2021年に6億回、コンビディシアは5億回の投与を目標としている[30][31]。2020年12月までに100億回以上のワクチンが各国から予約注文されており[32]、世界人口の14%を占める高所得国がその約半数を購入している[33]

欧米企業のワクチンを十分に調達する経済力がない中・低所得国に対しては中華人民共和国ロシア連邦インドが大量のワクチンを輸出しており、外交的影響力を拡大する意図が指摘されている[34]。日本政府は購入したアストラゼネカ製ワクチンを、台湾やベトナム、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイへ無償提供している[35][36]
接種状況[ソースを編集]

既に世界各地でワクチンの接種が開始されている。日本含む各国・各地の接種状況については後節の「ワクチンの確保・接種状況」を参照のこと。

接種を行った人々に様々なインセンティブ(優遇)・特典を与えて接種を加速させる取り組み[37] や、接種済みであることを証明する「ワクチンパスポート」を発行する動きもある[34]。ガイダンスによると、完全に予防接種を受けた人は、マスクなしで、また物理的な距離を置くことなく、屋内と屋外のすべての活動に参加できるようになった[38][39]。しかし、2021年7月、アメリカ疾病予防管理センターは、完全にワクチン接種された人を含むすべての人に、ウイルスの感染がかなりまたは多い地域の公共の屋内の場所でマスクを着用するように勧告した[40]
ワクチンの余剰・廃棄問題[ソースを編集]

ワクチンの開発・生産が進んで供給量が増えたことや、接種への忌避感が根強い地域があることなどで、ワクチンおよびその生産能力の余剰と、使用期限切れによる廃棄が生じている。先進国[41]のほか、南アフリカ共和国で製薬会社アスペンが他のアフリカ諸国への供給用に建設したワクチン工場は、アフリカ諸国の接種率が低いにもかかわらず2022年6月時点で受注が得られず閉鎖危機にある[42]
接種推奨の更新[ソースを編集]

2022年1月、欧州医薬品庁(EMA)は、ブースター接種を頻繁(4か月毎)に繰り返しすぎると、ワクチン接種に対する免疫反応が弱まる可能性があると指摘し、ブースター接種は季節性インフルエンザと同じく寒い時期のはじめに行うよう推奨した[43][44][45]

2023年3月28日、世界保健機関(WHO)は、感染やワクチン接種により多くの人が免疫を持っている状態であることを前提としたうえで、医療資源の最適な分配について検討し、重症化および死亡のリスクが高い者へのワクチン接種が優先されるように提言を行った[46][47][48][49][50]。この提言は、医療費が限られた低・中所得国を含む全世界に向けて出されたものであり[51][52]、ワクチン接種の優先度を「高・中・低」の3つのグループにわけ、「疾病負担や費用対効果などに基づき各国で判断する」ことを促している[46][48][49]


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