COVID-19に対する薬剤転用研究(コビッド19にたいするやくざいてんようけんきゅう)は、既存薬において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも薬効を示す薬剤を発見する研究である。
2020年代に入り、SARS-CoV-2感染者数は急拡大し、世界中の研究機関や医薬品会社では新薬の開発やドラッグリポジショニングによる対応を迫られている。一時期脚光を浴びたアビガンも当初は別の目的で開発された薬剤だった。また既存の漢方薬も治療薬の候補として期待される[1]。「COVID-19に対する薬剤研究」も参照 新薬の開発には多数の候補の化合物から絞り込み臨床試験を経て上市される。そのためには数年の月日と同時に場合によっては数百億円規模の多大な投資を要する。一方、既存の承認済みの薬剤には効果が期待できるものが少なからず存在する。それら既存の薬剤は既に副作用が判明しているので臨床試験を含む認証までのプロセス及び期間を大幅に短縮できる。また、製薬会社にとっても新薬の市場規模はそれほど大きくはなく、収益が見込めない可能性があり、既存の薬剤の転用のほうが投資額が少なくて済むため魅力的である[2]。 ロピナビル・リトナビル(商品はこれらの成分からなる合剤である。商品名 カレトラ
薬剤転用の背景
主な候補の薬剤body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}
アジスロマイシン[3]
アンジオテンシンII受容体拮抗薬[4]
I型インターフェロン[5]
イベルメクチン[6]
エリスロポエチン[7]
エリスロマイシン[8]
カモスタット[9]
クロロキン/ヒドロキシクロロキン[10]
コルヒチン[11]
サリルマブ[12]
シクレソニド/オルベスコ[13]
ダパグリフロジン[14]
デキサメタゾン[15]
トシリズマブ[16]
ナファモスタット[9]
ニコチン[17]
ビタミンC[18]
ビタミンD[19]
ファビピラビル/アビガン[20]
ラクトフェリン[21][22][23]
リトナビル[24]
レムデシビル[25]
レンジルマブ
ロピナビル・リトナビル[27]
TMC-310911[28]
ロピナビル・リトナビル(抗HIV薬;プロテアーゼ阻害剤)の合剤
2020年2月26日の日本感染症学会の文書でも、現時点で日本での入手可能性や有害事象等の観点を考慮した抗ウイルス薬の選択肢として筆頭に名前が上がっている[29]。日本の症例報告レベルでも有効とする報告がみられる一方[30][31]、復旦大学のチームが2020年1月から2月に行ったロピナビル・リトナビル投与群52例を含む134例の比較臨床試験の結果、「症状緩和やウイルス除去促進の影響が見られなかった」と報告した[32]。また、同様の時期に行われた、中国 首都医科大学など多くの医療機関の共同研究でも、計199例で半数にロピナビル・リトナビルを投与するRCTを行った結果、「重度の患者では標準治療を超える利益(benefit)は観察されなかった」と報告した[33]。