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CHOP療法(チョップりょうほう)とは、非ホジキンリンパ腫に用いられる化学療法のレジメンのひとつである[1]。シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4剤の英語の頭文字より命名された。 CHOPの内訳は、 原則的には21日で1サイクルである。 CYはシクロホスファミド(エンドキサン)、DXRはドキソルビシン(アドリアシン)、VCRはビンクリスチン(オンコビン)、PSLはプレドニゾロンである。化学療法では骨髄抑制、嘔気、脱毛は必発なのだが、特にCHOPで重要な副作用としてはCY(エンドキサン)の出血性膀胱炎やSIADH、VCR(オンコビン)の便秘、腸閉塞、末梢神経障害、DXR(アドリアシン)の心筋障害である。DXR投与中は100mg/m2ごとに心電図、200mg/m2ごとに心エコーを実施し心毒性をチェックする。投与方法としては、CY(エンドキサン)は生理食塩水500mlに溶解し2?3時間かけて点滴静注する。DXR(アドリアシン)は生理食塩水100mlに溶解し約30分で点滴静注する。VCRは生理食塩水20mlに溶解し、側管からゆっくりと静注する。点滴とプランとしては以下に一例を示す。1.カイトリルバック 100ml 30min2.オンコビンXmg 生理食塩水20ml iv3.アドリアシン Xmg 生理食塩水100ml 30min4.エンドキサン Xmg 生理食塩水 500ml 2hour5.ソルデム3A 500ml メイロン 20ml プリンペラン 1A 2.5hour6.ソルデム3A 500ml メイロン 20ml プリンペラン 1A 2.5hour7.体重増加でラシックス10mg 生理食塩水50ml 15min 腫瘍融解症候群予防で食事可能でも5,6,7は翌日、翌々日も輸液、利尿を継続することもある。ただし、CHOP療法も、後述するR-CHOP療法も外来での治療が可能な化学療法である。翌日の輸液はなどは外来治療では行うことはできない。必要性がある場合は入院にて治療ということになる。 CHOP療法は1970年代に開発された第一世代の化学療法である。その後第二世代、第三世代の中悪性度リンパ腫(aggressive lymphoma)に対する化学療法が開発されたが1990年代の大規模比較試験で治療効果として3年生存率では差がなく、毒性は第一世代のCHOP療法が最も軽度であったため現在、CHOP療法は標準的な治療と言われている。Ageressive lymphomaの治療の原則としてはstageI?IIの限局期はCHOP療法3course+RTであり、stageIII?IVではCHOP療法6?8course+RTである。 限局期に関しては非常に面白いデータもある。CHOP療法8courseとCHOP療法3course+RTを比較したデータがある。それによると5年のPFS(無憎悪生存期間)、OS(全生存期間)はCHOP療法3courseの方が優れているということである。1998年、NEJMにこの論文が掲載されCHOP療法3courseが標準療法となるかに思われた、しかし、2001年度に追跡調査が発表され、5年後以降の再発がCHOP療法3course+RTではCHOP療法8courseでは多く、PFS(無憎悪生存期間)では7年以降でOS(全生存期間)では9年以降でいずれもCHOP療法8courseの方が成績が良いというデータが出ている。これらのデータがそろったのは2005年頃であり、2008年現在、CHOP療法3course+RTで治療したため悪性リンパ腫が再発したという症例もいくつか報告されている。現在、agressive lymphomaの治療がCHOP療法からR-CHOP療法に移行しており、R-CHOP療法8courseとR-CHOP療法3course+RTの大規模比較実験はまだ報告されていないため、どのような治療をするかは主治医との相談によって決定するべきであると考えられている。化学療法だけなら週に数回の外来を7ヶ月ほど通うことになる。放射線療法併用ならば、週に数回の外来に3ヶ月ほど通ったあとひと月間だけ毎日朝だけ病院にきて放射線をあてる必要がある。こういったライフスタイルの違いも治療の選択によって出てくる。また放射線療法では頸部リンパ節に病変がある場合は唾液の分泌が阻害されることがある。 前述のように、第二、第三世代の化学療法のレジメはシクロホスファミドやドキソルビシンといった抗腫瘍効果の高い薬が従来のCHOP療法のレジメよりも少なかったことがCHOP療法よりも優れた治療効果が出なかった原因のひとつと考えられている。近年の支持療法の進歩、特にG?CSF投与によって重篤な骨髄抑制を防ぐことができるようになったため、CHOP療法をさらに強化できる可能性が示唆されている。 考え方としてdose intensity(単純に抗ガン剤の投与量を増やす)とdose density(サイクル間隔を短くする)という二つが真っ先に考えることができる。 もともとCHOP療法療法が効果的な疾患では毒性が増すだけで大きな効果は見込めないものの、成人T細胞白血病など効果が予後不良な疾患に対しては効果があり、特にdose densityの方が治療効果が高い傾向がある。 21世紀に入ってから分子標的薬であるリツキシマブを併用することでAgeressive lymphomaの治療は劇的に変わった。Ageressive lymphomaの治療はCHOP療法からR-CHOP療法が主流に変化したのである。R-CHOPではCHOP療法のプランでday-2,-1などにリツキシマブを投与することが多い。1サイクルが21日であることはCHOP療法と変わりはない。 リツキシマブ(リツキサン)は遺伝子組み換え技術を用いて作りだされたマウス?ヒトキメラ型モノクローナル抗体である。リツキシマブはヒトB細胞表面抗原であるCD20に結合し、抗体依存性細胞介在性細胞障害作用(ADCC)および補体依存性細胞障害作用(CDC)によりB細胞を特異的に傷害する。すなわちB細胞性の悪性リンパ腫やB細胞性の白血病には効くがT細胞性には効かない。リツキシマブは骨髄抑制がほとんどないため通常量の化学療法との併用も可能である。21世紀に入ってからCHOP療法とR-CHOP療法の比較試験が数多くなされており、リツキシマブ併用の方が有用とされている。 リツキシマブの投与にあたって気をつけるべきことはマウス抗原が一部体内に入るためアレルギー反応が起こることである。おそらくアレルギーで良いのであるが、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}それをクームス分類して機序を解析しようという発想が臨床家にはないため、infusion related toxicityと勝手に名前をつけて、対処することになっている[独自研究?]。臨床家にとってはリツキシマブを安全に投与できれば良いのでこのアプローチは非常によい。Infusion related toxicityは投与後1時間半から2時間の頃に最もよく見られ、発熱、皮疹、胸部違和感、咽頭部違和感などが高頻度にみられる。重度の場合は血圧低下、アナフィラキシー様症状を呈することがある。これらは炎症性サイトカインの増加によるものと理解されており炎症が軽度である場合は経過観察のみで自然軽快することも多い、重度のinfusion related toxicityは末梢血中のへの腫瘍細胞の出現、骨髄浸潤、bulky病変、頸部・咽頭部病変などを有する場合に多いと言われている。これらを予防するためにNSAIDsであるブルフェン(100)2T、セレスタミン といった具合になる。infusion related toxicityを発見し、安全な投薬を行うには、投与前、投与後、30分後、1時間後、2時間後のバイタルや各種所見(アレルギー症状として悪寒、悪心、頭痛、掻痒、皮疹、咳、虚脱感、血管外漏出)を記載することが望ましい。なお入院中なら翌日からはCHOP療法が行われる。 再発例にもR-CHOPが効くというデータはいくつかあるが、その再発例が現在はほとんどがCHOP3course+RTの症例(1998年のデータで流行ったからであろう)であるためリツキサンが効いているだけなのかもしれず現在は評価不能である。教科書的には原則として再発例はsalvage療法であり代表的な治療はEPOCH療法となる。
CHOP療法の内訳
Cyclophosphamide - シクロフォスファミド。商品名:エンドキサン
750 mg/m2, day 1
Hydroxydaunorubicin - ドキソルビシン、アドリアマイシンの別名。商品名:アドリアシン
50 mg/m2, day 1
Oncovin 商品名オンコビン - vincristine、ビンクリスチン
1.4 mg/m2, day 1
Prednisone または Prednisolone. - ステロイド(プレドニゾロンなど)
100 mg/body, day 1-5(プレドニゾン、プレドニゾロンの場合の用量)
CHOP療法の実際
agressive lymphomaの治療の推移
CHOP療法の改良
新しい分子標的薬リツキサン
Agressive lymphomaのsalvage療法
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