CGS電磁単位系
[Wikipedia|▼Menu]
ϵ 0 = λ Z 0 c {\displaystyle \epsilon _{0}={\frac {\lambda }{Z_{0}c}}}

μ 0 = γ 2 λ Z 0 c {\displaystyle \mu _{0}={\frac {\gamma ^{2}}{\lambda }}{\frac {Z_{0}}{c}}}

で関係付けられる。

微細構造定数磁束量子と導電量子は、電気素量、作用量子(プランク定数)と

α = Z 0 e 2 2 h {\displaystyle \alpha ={\frac {Z_{0}e^{2}}{2h}}}

Φ 0 = γ h 2 e {\displaystyle \varPhi _{0}={\frac {\gamma h}{2e}}}

G 0 = 2 e 2 h {\displaystyle G_{0}={\frac {2e^{2}}{h}}}

で関係付けられる。

ボーア半径ハートリーエネルギー、及びボーア磁子は電子質量と

a 0 = 4 π Z 0 c ℏ 2 m e e 2 {\displaystyle a_{0}={\frac {4\pi }{Z_{0}c}}{\frac {\hbar ^{2}}{m_{\text{e}}e^{2}}}}

E h = Z 0 c 4 π e 2 a 0 {\displaystyle E_{\text{h}}={\frac {Z_{0}c}{4\pi }}{\frac {e^{2}}{a_{0}}}}

μ B = 1 γ e ℏ 2 m e {\displaystyle \mu _{\text{B}}={\frac {1}{\gamma }}{\frac {e\hbar }{2m_{\text{e}}}}}

で関係付けられる。
量体系の分類
対称化

ローレンツ力の式に含まれる係数 γ は対称化係数、あるいは連結因子と呼ばれる係数であり、電気的な量と磁気的な量の結びつけ方を決める係数である。電磁気学の法則は電気と磁気について式の形は対称的であるが、電気的な量と磁気的な量で次元が一致するとは限らない。対称化の係数 γ が速度の次元を持つとき、電気的な量と磁気的な量の次元が一致する。電磁気学において速度の次元をもつ普遍定数は、真空における電磁波の伝播速度、即ち光速度 c である。電気的な量と磁気的な量の次元を一致させる対称な量体系では γ = c とする。一方で対称化を行わない量体系では γ = 1 である。

なお、特殊相対性理論を扱う場合には、しばしば c = 1 に固定するため、この場合は両者に違いはない。
有理化

マクスウェル方程式に含まれる係数 λ は有理化の係数で、有理系(rationalized system)においては λ = 1 をとり、非有理系(non-rationalized system)では λ = 4π をとる。この係数 4π は全周の立体角に由来しており、点電荷の帯びる電気量が、有理系では全周の電束に等しく、非有理系では立体角あたりの電束に等しい。角度が無次元量であるとするならば、電磁気的な量の次元には影響しない。

歴史的には、クーロンの法則やビオ・サバールの法則がマクスウェル方程式より先に知られていたため、初期の単位系ではこれらの法則の係数 λ/4π が消える非有理系だった。後により基本的な関係式であるマクスウェル方程式が確立されたことにより、マクスウェル方程式に現れる係数 4π を消去する有理化(rationalizarion)が1882年にオリヴァー・ヘヴィサイドにより提唱された[1]無理数である 4π を消すことが「有理化」と呼ばれた由来である。有理系では 4π が完全に消えるわけではなく、非有理系では現れなかったクーロンの法則やビオ・サバールの法則の係数に 4π が現れる。しかし、球対称問題において、立体角に由来する 4π が現れるのは全くもって自然なことである[1]
次元

構成方程式に含まれる係数 ε0, μ0 はそれぞれ電気定数磁気定数と呼ばれる。これらは光速度と関係付けられており独立ではない。力学量の体系は3つの基本量の組み合わせで構築される。電気定数、もしくは磁気定数を、力学量と独立した電磁気学に独自の次元を持つ定数として導入すると、次元の自由度が一つ増えて基本量が4つとなる。一方、これらを数学定数(無次元量)もしくは力学量の次元を持つ定数に固定する場合は次元の自由度が増えず、基本量は3つのままである。
単位系の分類

単位系力学単位有理化対称化次元λγε0μ0基本単位
CGS電磁単位系
(CGS-emu)
CGS単位系非有理非対称34π11/c21cm, g, s
CGS静電単位系
(CGS-esu)非有理非対称34π111/c2cm, g, s
CGSガウス単位系非有理対称34πc11cm, g, s
ヘヴィサイド単位系有理対称31c11cm, g, s
一般化電磁単位系非有理非対称44π11/μ0c21 dyn/Bi2cm, g, s, Bi
一般化静電単位系非有理非対称44π11 Fr2/erg·m1/ε0c2cm, g, s, Fr
MKSA単位系MKS単位系有理非対称4111/μ0c24π×10−7 H/mm, kg, s, A
MKSC単位系m, kg, s, C
MKSΩ単位系m, kg, s, Ω
MKSP単位系有理対称31c11m, kg, s
実用単位系QES系非有理非対称34π11/c21109 cm, 10−11 g, s

力学単位

力学的な量の基本単位をMKS単位系とするかCGS単位系とするかの違いである。単位の大きさにしか影響せず、式の形などは変化しない。
次元

基本単位が3つか4つかの違いである。3元系の場合、力学の単位系に新たな基本単位を加えることなく、電磁気の単位を生み出す。

たとえばCGS静電単位系では、ε0 = 1(無次元)と置くことで、クーロンの法則から ε0 が消去され F = Qq/r2 となり(λ = 4π も代入した)、これに F = 1 dyn、r = 1 cm、Q = q = 1 esu を代入すれば電荷の単位 esu = dyn1/2cm が導き出される。dyn と cm から組み立てられていることからもわかるとおり、これは基本単位ではなく組立単位である。どの定数をどのような値に置くかにより、さまざまな単位系ができ、単位の大きさだけでなく次元も異なる。

CGS系電磁単位系・静電単位系・ガウス単位系では λ, γ, ε0, μ0 の全てが、4π のような数学定数や、1/c2 のような他の物理定数から計算できる量になっており、方程式から消去できる。これらは3元系である。

それらに対し、MKSA単位系は μ0 = 4π×10−7 H/m が独立した物理定数であり、消去できない。そのため、電磁気の単位は力学単位から組み立てられない次元を持つ。余分な物理定数が1つなので、それらの次元は自由度が1つで、基本単位を1つ追加すればいい。なお ε0 は ε0 = 1/μ0c2 と消去できるので数に入れない。

3元系は理論的な取り扱いには便利で、理論科学や数値実験に好まれる。しかし、自由度が低いため、単位の大きさが非日常的なサイズになりやすく、実験科学や工学には不便である。特に電磁気の単位では、3つの基本単位は力学単位系としてすでに決まっているので、λ, γ, ε0, μ0 を決めれば、全ての電磁気の単位が一律に決まってしまう。

それに対し、4元系では自由度が多いので、単位の大きさを調整でき、日常的なサイズに近づけることができる。たとえば、電流の単位を10倍にするには、μ0 の次元は L2 M T−2 I−2 で電流 (I) の指数は?2なので、μ0 の値を 10−2 = 1/100 倍にすればいい。MKSA単位系の μ0 が不思議な値なのは、このような調整をした結果である。
各々の単位系

国際単位系(SI)において、電磁気量に関わる単位は電気素量の値を固定することで定義されている。このような形になるまでには、様々な変遷があった。電磁気学に関する研究が始められ、その単位が作られ出したころ、広く使用されていた単位系はCGS単位系であった。初期の電磁気量の単位はCGS単位系の上で構築された。
主要な単位系
CGS電磁単位系

CGS電磁単位系(CGS-emu)は、3元の非対称な非有理系である。最初に構築された電磁気の単位系で、ウェーバーにより作られた。電磁単位系は非対称な非有理系であり、γ = 1, λ = 4π である。さらに、ビオ・サバールの法則が一つも係数を含まなくなるように μ0 = 1 に選ばれている。

このとき、離隔距離 a の平行な直線電流 I に作用する長さあたりの力は d F d L = 2 I 2 a {\displaystyle {\frac {dF}{dL}}={\frac {2I^{2}}{a}}}

である。従って、電流の次元は [力]1/2 となる。

力学単位としてCGSを選んでいるため、一貫性のある力の単位はダイン(記号: dyn)であり、一貫性のある電流の単位は dyn1/2 となる。これを電流の電磁単位(electromagnetic unit)と呼び、emu と書く。ただし、emu は電流の単位の固有の名称ではなく、他の電磁気量にも用いられる単位である。例えば一貫性のある電荷の単位は dyn1/2 s であり、これも emu である。どの量の単位であるかを区別するため量の名称を付記する。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:57 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef