CCDイメージセンサ
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CCDは、1969年、アメリカ電信電話[7]ベル研究所にいたウィラード・ボイルジョージ・E・スミスによって、磁気バブルメモリの動作原理から着想し、半導体に応用することによって発明された[8]フェアチャイルドセミコンダクターRCAテキサス・インスツルメンツを含むさまざまな会社がその発明を採用し、プログラム開発を始めた。フェアチャイルドが、商用デバイスに利用した最初の会社となった。1974年までに、500セルの一次元素子との100x100セルの二次元デバイスを発売した。岩間和夫によるリーダーシップのもと、ソニーは、注目すべき額の投資を含むCCDへの大きな開発努力を始めた。結局、ソニーは自社のカムコーダー用にCCDを大量生産することが可能になった[9]

ベル研究所での発明の後、遅延線として、あるいはイメージセンサとしての応用研究が進み、1970年代後半には試作カメラが、1980年代には実用的なカラーテレビカメラが製品化され、半導体加工技術の進歩により撮像管を代替した。1990年代にはデジタルスチルカメラが誕生し、21世紀初めには銀塩カメラを代替しつつある。

2006年1月、ボイルとスミスは、CCDに関する仕事が認められ全米技術アカデミーチャールズ・スターク・ドレイパー賞を受賞した[10]。2009年、二人はノーベル物理学賞を受賞した[11]
製造

CCDイメージセンサは、ほかの半導体集積回路と同様にシリコンウェハーから製造する。他の半導体集積回路の製造と基本的には変わらないが、受光面への配慮が求められ通常のモールディングは行なわれず、サブストレートへの実装などで保持される。
応用

デジタルカメラ

ビデオカメラ

カメラ付携帯電話

複写機、ファクシミリ

自動車用カメラ

胃カメラ(上部消化管内視鏡)

CCDイメージセンサによるカラー撮像LCD表示素子の画素配置単板式カラーカメラのベイヤー配列3板式カラーカメラのCCD素子の空間配置3板式の別方式(緑色解像度優先)

他の多くのカラー撮影方式と同様、1枚のセンサにRGBの各色を作り込む単板方式と、光学的にRGBの各色を分離したものをそれぞれのセンサで撮影する多板(3板)方式がある。
単板方式

CCDイメージセンサそのものには、ほかの撮像管や固体撮像素子と同様、の識別能力はない。一般的なCCDの波長ごとの感度特性(分光特性)はおおむね300nm?800nmでゆるやかな山型のピーク特性を持ち、可視光範囲をカバーしている。従って、カラー撮影を行うためにはカラーフィルタにより光の三原色に色分解を行う必要がある[12]。三原色分解には加色法による方法と減色法によるものがあり、原理的には後処理の単純な加色法は色再現性に優れ、光通過量が多い減色法は感度に優れるとされるが、素子レベルの性能や後述の色処理技術による差異もあるため、製品レベルでの比較ではその差が顕著ではない。

カラーフィルタのマスクパターンにもいくつかの方法が考えられる。まず、LCDなどの表示素子のように、正方形に敷き詰められた各画素に対してRGBそれぞれの受光部を配置する方法が考えられる。画像データなどの、各ピクセル毎に色の値があるモデルと整合性が良いが、各受光部が細長くなり、また3倍のピッチで微細構造を作り込まねばならず、製造上よろしくない。

一般に固体撮像素子では受光部毎にマイクロレンズを置くので、各受光部は縦横比を1とするか、それに近いことが望ましい。従って正方形を敷き詰めた上にベイヤー配列(Bayer arrangement)[注釈 1]のフィルター(ベイヤーフィルター)を掛けるという手法が一般的である。

ベイヤー配列では、CCDの総画素数Nに対して、緑の解像度はN/2、赤および青の解像度はN/4になるため、各画素毎に周辺の画素の出力を用いて補間演算を行うことによりN個のRGBの組を作り出している。補間演算の方式により画質が影響を受けるため、各カメラメーカーは独自に処理方法を考案している。ここで、緑の画素を2倍設けているのは、人間の眼の分光感度が緑付近をピークとしており、緑の解像度が見かけ上の解像度を向上させるためである。

この他、富士フイルムスーパーCCDハニカムやその他のパターン(参考:英語版)、またフィルタではなく深さにより色を識別するFoveonの方式などがある。
多板方式

放送用カラーテレビカメラなどでは、高画質・高感度の要求性能を満たすため、3板方式を採用することがある。これは、上述のような微小構造のフィルタによる方式が不可能だった撮像管時代の方式と同様のもので、RGB各色それぞれに1枚のCCDイメージセンサを用意し、ダイクロイックプリズム(各波長に対し、ミラーあるいはフィルタとして働く)により各色に分けて感光させてRGBそれぞれの色信号を取り出す。3板式には、RGB均等方式だけでなく、2枚の緑色用素子を水平に1/2画素ずらすことで見かけ上の水平解像度を向上させる手法を採用することもある。この場合、青・赤用のCCDは2色共用としており解像度は低下するが、緑解像度の向上で補償できることを狙う。さらに、緑CCDを1枚だけにすると2枚CCD方式のカラー撮像も可能である(2板方式)。
その他

実用的なものではないが、錯視現象を利用して色を知覚させる手法がある。ベンハムの独楽を参照。
冷却CCD「冷却CCDカメラ」も参照

冷却することにより熱に起因するノイズを減らし、長時間の露光を可能にした。なお、熱雑音とショット雑音を混同する向きもあるが、まったく別種のノイズである。
CCDイメージセンサのサイズ呼称

イメージセンサのサイズ呼称については2通りの方式がある。これはCMOSイメージセンサについても同様である。
インチ単位による呼びサイズ


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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