この項目では、ZELDAの1983年のアルバムについて説明しています。その他の用法については「カルナヴァル」をご覧ください。
『CARNAVAL』
ZELDA の スタジオ・アルバム
リリース1983年11月5日
ジャンル実験音楽 、パンク・ロック、ニュー・ウェイヴ
レーベルフィリップス・レコード/日本フォノグラム[1]
プロデュース白井良明[1]
ZELDA アルバム 年表
ZELDA
(1982年)CARNAVAL
(1983年)空色帽子の日
『CARNAVAL』(カルナヴァル)は、1983年11月5日にリリースされたZELDAの2枚目のスタジオ・アルバム。発売元は日本フォノグラム。LP、カセットテープで同時発売された[2]。サウンドプロデューサーは白井良明[1][3]。 前作のファースト・アルバム『ZELDA』メジャー・デビュー前から交流のあったLIZARDのモモヨをプロデューサーとして、東京ロッカーズの影響を受けたパンク・ロック色の強い音作りとなった。しかしながら初のメジャーレーベルでの制作ということで、自由かつ自主的に制作できたインディーズ時代とは異なり、制作には様々な制約もあったようである。 これに対し、2作目の『CARNAVAL』と3作目の『空色帽子の日』ではムーンライダーズの白井良明をプロデューサーに迎え[4]、本作では武川雅寛、小林克也、矢口博康、美尾洋乃、小滝満などムーンライダーズ関係の人脈を中心に多彩なゲストを招き[1][3]、ニュー・ウェイヴ色を強めた自由奔放な音作りで初期ZELDAのカラーを固めた。全曲の編曲を白井が手掛けており[1][3]、ムーンライダーズらしいひねったポップセンスが散りばめられている。 また収録曲の「Are You "Lucky" ? ―ラッキー少年のうた」は、ムーンライダーズのリーダー・鈴木慶一とZELDAの共作である[1][3]。ただし鈴木慶一は楽曲提供のみで、ゲストミュージシャンにはクレジットされていない[3]。 同じ白井のプロデュースによる、初期ZELDAの最高傑作と評される『空色帽子の日
解説
本作の収録曲「スローターハウス」は、山川直人監督の日本映画『ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け』挿入歌となっており、映画撮影当時のメンバー全員がバンド「ZELDA」として出演し、挿入歌と主題歌を担当した。
収録曲
うめたて
作詞:高橋佐代子/作曲:高橋佐代子・小嶋さちほ/編曲:ZELDA・白井良明
初期ZELDAの定番にして、東京出身の高橋の原風景である「埋立地」を歌った楽曲の代表作。バスに乗って毎日埋立地へ行く少女の心象風景が描かれ、工場や団地、キリンに見立てたクレーンなどが次々とテンポよく描かれる。また2000年代以降はあまり用いられなくなった「飯場」の表現もみられる[1][3]。
私の楽団(オーケストラ)
作詞:高橋佐代子/作曲:小澤亜子/編曲:ZELDA・白井良明
楽団(オーケストラ)の曲名にふさわしく、白井によるストリングスアレンジが施され、武川雅寛や美尾洋乃らによるヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの弦楽三重奏が参加している[1][3]。
サラブレッド(ソナタII)
作詞:高橋佐代子/作曲:高橋佐代子・小嶋さちほ/編曲:ZELDA・白井良明
サラブレッドやメリーゴーランドが登場する、馬をモチーフとした楽曲。
Are You "Lucky" ? ―ラッキー少年のうた
作詞:鈴木慶一・高橋佐代子/作曲:鈴木慶一・ZELDA/編曲:ZELDA・白井良明
鈴木慶一とZELDAの共作。1980年代に多く見られた「少年」をモチーフとした楽曲。
スローターハウス
作詞:高橋佐代子/作曲:小嶋さちほ/編曲:ZELDA・白井良明
山川直人監督の映画『ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け』挿入歌。「スローターハウス」は屠場のことで、映画の舞台である酒場の店名。映画では酒場でZELDAがこの楽曲を歌うシーンがある。酒場の名はカート・ヴォネガットの小説『スローターハウス5』から取られており、オリジナルはヴォネガットの同作によることがアルバムのライナーノーツにも記載されている[3]。
天鵞絨(ビロード)の島
作詞:高橋佐代子/作曲:石原富紀江/編曲:ZELDA・白井良明
セイレーン
作詞:高橋佐代子/作曲:小澤亜子/編曲:ZELDA・白井良明
「セイレーン」はギリシア神話に登場する女性の怪物。海上から美しい歌声で人を惑わし、船を難破させると言われた。歌詞ではウォーターフロントの高速道路と港湾、誘いかける精霊の声が描かれている。
東京TOWER
作詞:小嶋さちほ/作曲:小嶋さちほ/編曲:ZELDA・白井良明