Bluetooth
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Bluetooth規格には以下のバージョンがある。普及バージョンである1.1以降においては、3.0以前、3.0+HS、4.0以降の3グループで通信方式が異なるため、各グループ内でのみ互換性を持っている。ただし、複数の通信方式を同時に実装することが可能であり、論理層の基本的な仕様は大きく変わらないため、統一的なユーザーインターフェイスでラップされ、一般利用者が非互換性を意識する必要が無いよう配慮された実装となっている場合が多い。
1.0b
最初のバージョン。
1.0b + CE (Critical Errata)
1.0bに修正を加えた。
1.1
Bluetoothリリース後、最初に広く普及したバージョン。
1.2
2.4 GHz帯域の無線LAN (IEEE 802.11/b/g) などとの干渉対策が盛り込まれた。2003年11月公開。
2.0
容量の大きいデータを通信する際に最大通信速度を3 Mbpsの通信に切り替える Enhanced Data Rate (EDR) がオプションで追加できるようになった。2004年11月公開。
2.1
ペアリングが簡略化され、近距離無線通信の Near Field Communication (NFC) に対応した。マウスやキーボードなどのスリープ時間が多い機器のバッテリーを最大で5倍延長できる「Sniff Subrating」機能を加えた。2007年3月公開。
3.0
Protocol Adaptation Layer (PAL) とGeneric Alternate MAC/PHY (AMP) によって無線LAN規格IEEE 802.11のMAC/PHY層の利用が可能となり、最大通信速度が24 Mbpsとなる High Speed (HS) がオプションで追加できるようになった。また、電力管理機能を強化して省電力性を向上させた。2009年4月公開[19]
4.0
従来からの Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate (BR/EDR) に加えて、BR/EDR に比べ大幅に省電力化された Bluetooth Low Energy (LE) が追加された。Bluetooth SIGが公開する資料によれば、ボタン電池1つのみでも数年駆動可能としている。転送速度は1 Mbpsだが、データパケットサイズが8 - 27オクテットと非常に小さくなっている。これは、例えば家電製品などに搭載されたセンサーとのデータ通信に向けた仕様となっている。この点が BR/EDR と方向性が異なっており、互換性が無く、ベンダーは BR/EDR と LE をそれぞれ目的別に採用するものとされている。ホスト側は両方を組み込んだ「デュアルモード」を実装できる。BR/EDR に ATT and GATT over BR/EDR を追加。2009年12月公開。
4.1
Bluetooth Low Energy にモバイル端末向け通信サービスの電波との干渉を抑える技術、データ転送の効率化、自動の再接続機能、直接インターネット接続できる機能、ホストとクライアント同時になれる機能[要出典]、が追加された[20]
4.2
Bluetooth Low Energy に Data Packet Length Extension を追加し、通信速度(アプリケーションスループット)が260 kbpsから650 kbps[21]に2.5倍高速化。Bluetooth Low Energy が IPv6/6LoWPAN でインターネット接続できるようになる[22]
5.0
Bluetooth Low Energy のデータレートが2 Mbps, 1 Mbps, 500 kbps, 125 kbpsになり、2 Mbpsおよび1 Mbpsは従来通り到達距離が100 m、125 kbpsは到達距離が400 mとなった[23]
5.1
ペアリングされているBluetooth機器の方向を探知する機能が追加された。
5.2
LE Audio規格の追加を含む複数の改良。
5.3
LE Audio規格の改良。
5.4
電子棚札(ESL)への対応。

Bluetooth BR/EDR 最大実効速度[21]バージョン非対称型通信時対称型通信時データレート
BR (1.0 以降, GFSK)下り723.2 kbps / 上り57.6 kbps433.9 kbps1 Mbps[3]
EDR (2.0 以降, π/4 DQPSK)下り1448.5 kbps / 上り115.2 kbps869.1 kbps2 Mbps[3]
EDR (2.0 以降, 8DPSK)下り2178.1 kbps / 上り177.1 kbps1306.9 kbps3 Mbps[3]

Bluetooth+HS 最大実効速度[21]バージョンデータレート
HS (3.0 以降 5.2まで, 802.11 PAL)24 Mbps[24]

Bluetooth Low Energy 転送速度バージョンアプリケーションスループットデータレート
4.0260 kbps[21]1 Mbps[25]
4.2 Data Packet Length Extension650 kbps[21]1 Mbps
5.02 Mbps, 1 Mbps, 500 kbps, 125 kbps[3][23]

プロファイル詳細は「Bluetoothプロファイルの一覧」を参照

Bluetoothはその特性上、様々なデバイスでの通信に使用されるため、機器の種類ごとに策定されたプロトコルがあり、それらの使用方法をプロファイル (Profile) と呼び標準化している[26]。通信しようとする機器同士が同じプロファイルを持っている場合に限り、そのプロファイルの機能を利用した通信をおこなえる。代表的なものに以下のプロファイルがあり、Bluetooth対応機種であっても利用する機器の双方が適切なプロファイルに対応している必要がある。
A2DP (Advanced Audio Distribution Profile)
音声をレシーバー付きヘッドフォン(またはワイヤレススピーカー)に伝送するためのプロファイル。HSP/HFPと異なり、ステレオ音声・高音質となる。
AVRCP (Audio/Video Remote Control Profile)
AV機器リモコン機能を実現するためのプロファイル。
BIP (Basic Imaging Profile)
静止画像を転送するためのプロファイル。
BPP (Basic Print Profile)
プリンターへ転送・印刷するためのプロファイル。
DUN (Dial-up Networking Profile)
携帯電話PHSを介してインターネットにダイヤルアップ接続するためのプロファイル。
FTP (File Transfer Profile)
パソコン同士でデータ転送を行うためのプロファイル。コンピュータネットワークなどで用いられるファイル転送プロトコルのFTPとは無関係。
GAP (Generic Access Profile)
機器の接続/認証/暗号化を行うためのプロファイル。
HCRP (Hardcopy Cable Replacement Profile)
プリンターへの出力を無線化するためのプロファイル。
HDP (Health Device Profile)
健康管理機器同士を接続するためのプロファイル。
HFP (Hands-Free Profile)
車内やヘッドセットでハンズフリー通話を実現するためのプロファイル。HSPの機能に加え、通信の発信・着信機能を持つ。
HID (Human Interface Device Profile)
マウスキーボードなどの入力機器を無線化するためのプロファイル。
HSP (Headset Profile)
Bluetooth搭載ヘッドセットと通信するためのプロファイル。モノラル音声の受信だけではなく、マイクで双方向通信する。
OBEX (Object Exchange)
オブジェクト交換 (OPP、BIP、FTP、SYNC) で用いる認証方式の一つ。データ転送プロファイルの一つで、実装しているとデータ送受信時にOBEX認証パスキーの入力を接続相手に要求する。
OPP (Object Push Profile)
名刺データの交換などを行うためのプロファイル。
PAN (Personal Area Network Profile)
小規模ネットワークを実現するためのプロファイル。
PBAP (Phone Book Access Profile)
電話帳のデータを転送するためのプロファイル。
SDAP (Service Discovery Application Profile)
他のBluetooth機器が提供する機能を調べるためのプロファイル。
SPP (Serial Port Profile)
Bluetooth機器を仮想シリアルポート化するためのプロファイル。
SYNC (Synchronization Profile)
携帯電話・PHSやPDAと、PCとの間で、スケジュール帳や電話帳のデータ転送を行い、自動的にアップデートするためのプロファイル。

これらプロファイルのうち、DUN/FTP/HID/OPP/HSP/HFP/A2DP/AVRCPなどの使用頻度が高い。GAPやSDAPのような下位層のものは実装されていても意識されないことが多い。また、プロファイルによっては実装されていてもほとんど使われていないものもある。

同じプロファイルでもクライアント側とサーバー側の違いがあり、逆方向にも使えるとは限らない。DUNの場合を例にとると、本体になる側(PC・PDAなど)からモデムになる側(携帯電話・PHSなど)に対してBluetooth接続を要求する。つまり前者はクライアント (DUN-DT)、後者はサーバー (DUN-GW) であり、通常は片方の役割しか実装されていないため、役割を入れ替えて逆方向に使うことはできない。例えば、DUN-GWを実装しBluetoothモデムになれるスマートフォンがあったとして、これを本体として、DUN-GWを実装した他の携帯電話をモデムとしてダイヤルアップすることは通常できない。

プロファイルは、各機器がBluetoothを使って何ができるかを示したもので、機器同士の接続性が一目でわかるようになるものと期待された。しかし現実には、Bluetooth応用分野の拡大に伴って急激にプロファイルが増加したこともあり、以下のような問題が目立つ。

同じような機能のプロファイルが乱立気味であり、利用可能な、あるいは目的に適したプロファイルがわかりにくい。

対応プロファイルの少ない古い製品の陳腐化を助長し、しかもアップグレードが提供されないことが多いので買い替えを余儀なくされる。

「同じBluetoothなのにプロファイルの有無が原因でつながらない」という印象を与えやすい。

Advanced Audio Distribution Profileのように、基本的にプロファイルに対応していれば接続可能でも、コーデックなどが乱立しており、全て実装すると高価になるためにメーカーがトレードオフな開発を強いられる場合にユーザーは製品を選びにくくなる。

クラス

Bluetoothには、電波強度を規定したクラスという概念がある。各機器はいずれかのクラスに分類される。電波強度の差だけであり、両方が同じクラスである必要はない。

Bluetoothのクラス (BR/EDR)[3]クラス出力到達距離
Class 1100 mW100 m
Class 22.5 mW10 m
Class 31 mW1 m

Bluetoothのクラス (LE)[3]クラス出力
Class 1100 mW
Class 1.510 mW
Class 22.5 mW
Class 31 mW

実際の接続手順Bluetooth対応製品には、ペアリング状態を示す何らかのランプや画面が搭載されており、青色で点灯する製品が多い。


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