Ball_grid_array
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電子部品のパッケージ(外周器:がいしゅうき)とは、電気製品を構成する個別部品の外形を構成する部分であり、通常は小さな電子部品を包む合成樹脂金属セラミックを指す。1mm方眼紙上のチップ抵抗(3216サイズ)アキシャルリード電解コンデンサ
機能・要求

電子部品を収めるパッケージの機能と要求には次のものがある。
中の素子を外部からの衝撃、湿度、熱、ガス、光線などから守ること

接続端子を保持して外部との間で正しく信号や電源を伝えること

製品の組み立てに適する形状をなすこと

内部で発生した熱を速やかに放熱
すること[注 1]

コストが安いこと

電子部品の機能を検査しやすいこと

製造社名、製品型番や製造番号、ピン番号といった表示を保持すること

可能な限り正規製品であり、類似製品との区別を示すこと

環境問題に対応すること[注 2]

また、デジタル半導体に代表される高性能電子部品の多くが動作周波数が高く消費電流も大きくなるため、寄生容量や電流抵抗の小さな短く太い接続端子と放熱性の良いパッケージが求められる[注 3]。携帯機器に使用される部品では小型化が求められる。
個別受動部品アキシャル部品とラジアル部品 こういった形態の部品はリード部品と呼ばれる。

抵抗(レジスタ、抵抗器)やコンデンサ(キャパシタ)、コイル、小型トランス等が個別受動部品(ディスクリート・パーツ またはコンポーネント、discrete component)と呼ばれる。半導体部品である単品のダイオードもパッケージ形態として見れば、抵抗等と同じアキシャル部品の形態が多い。

1990年代からはプリント基板上に表面実装されるチップ部品の使用が増え始め、2009年現在ではアキシャル部品やラジアル部品の形態はかなり減りつつある。アキシャル(axial)と、ラジアル(radial)は、リード(導く、lead)線が取り付けられている方向の違いを表している。個別受動部品の場合、表面実装用部品では専用の形状にされることが多いが、中にはリード型部品のリードを短くしただけのものもある[注 4]
半導体部品
歴史

電気的接続については、銅板をエッチングしたリードフレームとともにチップを封止した端子形(挿入形)が一般的であったが、1980年代後半以降、リードをプリント基板の穴に通さず基板表面に片面からはんだ付けする表面実装方式のパッケージが導入され、現在に至るまで広く普及している。また時代が進むにつれ端子の数も集積度の上昇や素子の多機能化により大きく増加したため、DIPやSIP、SOPといった従来のパッケージでは対応できない製品が増え、端子を微小化したQFPやLCC、底面に丸ピンを格子状に並べた剣山のようなPGA(Pin=ピンを Grid=格子状に Array=配置)などが導入された。さらに大規模なLSIでは外部との接続が数千にも及ぶため、BGAなどの端子密度の高いパッケージを必要とする。交換する可能性がある部品はソケットによって実装することもある。

過去には、ICパッケージ上に他のICパッケージを載せる「ピギーバック」のものがあり、不揮発性メモリ内蔵のCPUなどで、ソフト開発時にメモリの交換を容易にする目的で使用された。1980年代に普及した、紫外線照射によって記憶内容を消去するUV-EPROMというメモリ半導体のパッケージには、石英ガラスの窓が付いていた。また、ICカードなどの内部情報を読み取られない「耐タンパー性」を要する用途向けの半導体部品では、1つの半導体チップ上にCPU、ROMRAMなどの必要な論理回路の全てを含むことで、2-8本程度の外部接続端子だけ持つようにしているものがある。また近年ではPoPやPiPといった、ピギーパックの再来とも言える実装方法が普及し始めている。
材質

半導体のパッケージは、半導体と外部を電気的に接続する端子と、半導体を搭載・密封保持する封止材に分かれる。かねてより、より高い信頼性をより長時間維持し、より取り扱いやすく、より低価格に製造できるような材料の開発のために努力が続けられてきたが、2000年代以降は、有害物質を含まない封止材の使用や、などの有害物質を含まないはんだで信頼性の高い接続が可能であることが求められるようになり、残存有害物質だけでなく製造工程においても有害物質が発生しない封止材料や、鉛フリーはんだに適した特殊な表面加工をされた端子が用いられるようになってきた。
端子

外部と電気的な接続を行う端子やリードフレームには、鉄・ニッケル合金が使われることが多く[注 5]、銅が用いられることもある。BGAパッケージでは半球状のはんだが使われる。ソケットによる実装を想定した製品や高周波を扱う製品、高い信頼性が求められる製品では、端子に金メッキを施して酸化防止、浮遊容量の低減を図ることが多い。それ以外の製品では主にニッケル合金やはんだでめっきをしており、これには酸化防止や導通不良の低減に加えはんだのぬれ性を良くする効果がある。特殊な場合を除いて、酸化しやすい鉄や銅を露出したままとすることはない。

ダイを載せるリードフレームは端子と同時にプレス加工で作られることが多い。ダイのリードフレームへの固定では樹脂の他に、ダイとリードフレームの導通が必要な場合には銀粒子が含まれる樹脂ペーストや、放熱のために熱抵抗を下げる必要があればはんだも用いられる。端子とダイを接続するボンディングワイヤには金線やアルミ線が使われる[1]
封止材

封止材の材質は、かつては金属(鉄、アルミ、真鍮など)がよく用いられたが、コストダウンや多ピン化への対応、小型化などの要求が出てくると、通常の温度・湿度の範囲で使うものはエポキシ樹脂など低価格な耐熱樹脂によるレジン・モールドが、また温度特性を広く必要とする工業用・軍事用や発熱が大きいデバイスではアルミナなどのセラミックが用いられるようになった。

金属やセラミックはあらかじめプレス及び焼結により成型しておき、内部にダイを実装した後に組み立てて、低融点ガラスなどシーリング材で密封する。一方、レジンモールドの場合は金型に入れて樹脂を射出成形する。テープ状パッケージでは、耐熱性と柔軟性の高いポリイミドで作られたテープ上にダイを実装する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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